辛口

2010年05月27日(13:20)

住宅新聞版 住宅分野の事業仕分け

5月25日号の北海道住宅新聞・1面に「住宅新聞版事業仕分け」という記事を書きました。
編集会議で
「おおっ、それおもしろいねー。俺書くわ」
ってことで白井が担当したのですが、骨子を考えてみたらけっこう難しい。おまけに書きだしたらちょっと長い記事になってしまい、1本載りませんでした。せっかくだから、ここで披露してみようかと・・・。
1面の掲載記事はホームページにじきにアップされます。


上手な使い方をしたい
〈補助金行政で住宅が第2の公共工事に〉
 長期優良住宅を推し進めるために住宅購入に対して補助金が投入され、エコポイント制度も始まった。補助金に対する消費者の感度は大きく二極化しているとも言われ、まったく執着しない消費者がいる一方で、「補助金受付が始まるまで請負契約しない」消費者もいる。また、補助金を活用すればするほど、住宅会社は事実上、資金回収が遅れる。
 給付コストがかかるうえに、建築時期や土地購入のタイミングによっては給付を受けられないケースもあるなど、機会が均等ではない。おまけにここに来て、補助金に振り回される住宅会社も現れてきて、このままではせっかくの補助金が消費者にも業界にも生かされない心配も出てきている。補助金の出し方を再度見直す必要があると思う。
給付は直接消費者へ。そうすれば機会の不平等は起きないし、住宅会社は右往左往しなくて済む。補助金とエコポイントという二重の助成金制度を1本化することで給付コストも圧縮できるはずだ。

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2010年03月21日(07:47)

そもそも2010年度の着工をどう見るのか?

建材メーカーが2010年4月からの販売予測と売上げ予算を作成する時期に来ている。
1月ころまでは悲観的な見方も多かったが、ここへ来て、上方修正する会社も出てきている。これは販売が上向いているからだろう。
というわけで、自画自賛になるが2月の北海道住宅新聞に掲載した予測記事が注目されている。
記事は昨年11月時点の予想を多少上方修正した。
https://www.iesu.co.jp/column/2010/02/01194619.html

こういう展開は予想屋冥利に尽きますね。
「バカ言ってんじゃねえ」と酷評されたのが、
時間とともに一変する。


上方修正した根拠は、エコポイントも少しだけあるのですが、ベースになるのは子ども手当です。
お金持ちであれ誰であれ住むための家はどうにかしなきゃならない。仮に借家でも中古を買うにしても。
住宅事情を改善したい気持ちが新築に向くかどうかは、最も金がかかる子育て期を乗り切れるかどうかにかかっていますし、乗り切れるなら、この時期が新築の最高の時期なのです。子どもが出て行ったら大きな家はいらないし、家族の交流はこの子育て期しかできないのですから。


いまの日本では、子育て世代の使えるお金が少なすぎる。
所得が少ないのではないと思います。学費や住宅費や食費や、要するに生きることにお金がかかりすぎるのです。
やばい。植松電機の専務と同じ発想になっている。いや、ボクは基本的に同じ考えを持っています。


それはともかく、最近申し上げるのは、「まず持家が建つかどうか、建たないとマズイという会社の立場を置いておいて、どんな住宅が必要で売れそうかを考えてみてください」ということです。
仮にそれが賃貸なら、そっちにシフトしなければならないわけで、そのくらい大きく見ないと、これだけ世の中が変化しているのですから、一筋縄ではいきません。


新聞もそういったことを編集の根っこに据えています。

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2009年08月26日(18:15)

報道、そしてマスコミのあり方 われわれも注意して・・・

◆再三にわたって、テレビ等で報道されています。

酒井法子容疑者が「**」と供述していることがわかった。

でもね、これってじつにおかしな話だと思いませんか。酒井容疑者の供述内容って、警察関係者以外にはわかるはずのないことなのです。それをテレビ局などのマスコミは、「わかった」と表現している。これは報道機関として、明らかに禁じ手の表現です。


◆ギリギリ正しいいい方はこうです。
警察関係者が語ったところによると、酒井法子容疑者は「**」と供述している。
べつにいいじゃないか、では済まされない問題があります。
「わかった」と表現することで、われわれは"酒井容疑者は犯罪を犯した"と刷り込まれていくのです。しかし、酒井容疑者が本当に供述したかどうかは確かめようがありません。その結果、容疑段階で社会的には犯罪者扱い(社会的制裁)になるのです。
なぜ正しく報道しないのでしょうか?


◆えん罪だったらどうしますか。えん罪があると、警察や検察、ときに裁判所を責めますが、実はマスコミも加担している可能性が大きい。マスコミは取り調べ段階で思いっきり犯罪者扱いしているのです。最近では足利事件(菅家さん)がえん罪だったことがほぼ確定しています。
もっとも、公権力を責め立てるのは、かつては犯罪者扱いしていたかもしれないマスコミなのですから、"なにをかいわんや"ですが。


◆われわれ見る側も、こういう情報操作に対してだまされてはいけません。そしてマスコミに対し、正しく報道することを要請したい。警察発表をそのまま流すなら、必ず警察発表(場合によってはリーク?)であることを明示するのが、マスコミとしての生命線だと小生は思います。

なお、今日のネット配信TBSニュースでは以下のような少々異なる表現をしていました。

夫の高相容疑者の携帯電話の番号が残っていたことが、警視庁への取材で新たにわかりました。

ニュースソースを明らかにするのはいいのですが、「わかりました」はどうでしょうかねえ。何がどうわかったのか、と問いたい。
ただ、以下の表現は正しいと思います。

酒井法子容疑者は、警視庁の調べに対しては「覚せい剤を抜くための逃走だった」と供述しているということで、警視庁はさらに追及しています。(26日11:27)


◆酒井容疑者に対する報道があまりに続くので、たまりかねて書きました。
ただ、今回の一連の薬物犯罪容疑事件で、いちどやっちゃうと離れられない現実があることなどを知りました。

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2009年08月22日(16:17)

鎌倉パッシブハウス取材記 04

◆第2回の取材記で

大切なのは何か。森さんは「暖房(冷房)燃費の事前表示、世界基準の性能、ローテクの重要性」と語っておられます。

と書きました。


  1. 1.暖房(冷房)燃費の事前表示

  2. 2.世界基準の性能

  3. 3.ローテクの重要性


特に2と3が、世界の先進国と比べてわが国が客観的に見て遅れている、それを知らないまるで鎖国状態に置かれているように思います。


090821_EnEV2002.gif


◆2の基準レベルですが、以前にも触れたことのあるドイツの現行基準(EnEV2002)は、日本でいえば東北程度の寒さのドイツに、北海道の現行省エネ基準程度を義務づけるものです。日本はなんの強制力もない基準という名の指針、ドイツは義務基準です。
聞くところによると、当初はドイツでも「厳しすぎる」という声が多く、リフォームの場合は緩和したという話もあるようです(未確認)。2002年以前の段階では、日本とEU諸国はそんなに離れていなかったのです。
◆ところがその後、EUだけでなく北アメリカも省エネ建築に大きく踏み込みます。この間、欧米は住宅景気がよかったのに対し日本はいまいちだったという経済環境の違いはもちろんあります。しかし、その違いをつくり出したのは、「環境ビジネスで産業を興す」という発想を持った国と持たなかった国の違いでもあると、小生は思っています。
失われた10年・・・。


書いているうちに、取材記ではなく小生の意見発表になってしまいましたね。
(つづく)

<<鎌倉パッシブハウス取材記 03
  鎌倉パッシブハウス取材記 05>>

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2009年08月21日(17:07)

洗濯機購入 番外編

◆洗濯機購入の記事を読んだ方からおもしろいご意見をちょうだいしました。ご本人の了解を得てここに掲載します。

洗濯機購入のブログ面白かったです。 奥様のドラム式にこだわらないのは大正解ではないでしょうか。


我が家は2年程前にドラム式にしたのです。が・・・
節水、とか言うのですがあんまり汚れ落ちないよーな・・・。
で、汚れを落とすために「温水モードで着け置きをお薦めします」とあるのですが、そうなると電気代がエコでもないよーな。

タオルとかゴワゴワめに仕上がります。
で、「ふんわりさせる為には乾燥モードをお薦めします」とあるのですが、そうなると普通に電気代がエコでもないよーな。


最近は改善されているかもしれませんが。


マンションの洗濯機置き場が微妙に狭くて、縦型にしてもおける機種が限られていたので、ドラム型になったのですが、
給水ホースの高さもぎりぎり。排水は真下排水、重たいドラム型洗濯機を簡単にどかせないので、配水管の高圧洗浄が受けられません。

◆主婦の白物家電に対するレビューはやはり厳しい。
それと、マンションにせよ戸建てにせよ、設計者が使い勝手の良しあしを把握せずに洗濯機置き場を設計しているようです。

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2009年08月06日(18:22)

酔うほどに大いに脱線してしまい・・・

長野編の脱線。

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<赤カブのジュース。食前に食欲を大いに高める>
◆本当に余談です。飲んだ勢いで3人の現役・元職の公務員に向かって、天下り問題、人事評価問題をぶち上げてしまいました。


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<サラダバーには生産者のお名前。地産地消のお店>
◆前回のブログでも触れましたが、ボクは天下りが悪いとは思いません。公務員をしていたことで得られた技術や知識が民間に生かされれば、違ったかたちで社会に還元されるはずで、それは素晴らしいことです。天下りに問題があるのではなく、利権をつくっておいて、そこに天下るから利益誘導が発生する。すなわち利権をなくさなければ、この問題は絶対に解決しない。
利権とは何か。1つは各種規制です。わかりやすい例では、食品や姉歯事件のように消費者問題が起きると、それを人質にとって規制をたくさん作る。役人は規制に絡む仕事をみずからの手で増やした上でそこに天下るという仕組み。もう1つは各種役所発注の仕事。ガチンコならいいのですが、そうでないと利益誘導になりかねません。


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<高級ブランド豚-幻豚のメンチカツ。デミグラスソースが本格的おあじ>
◆もう一つの人事評価システム。人事評価なんていつの時代も試行錯誤の連続ですよね。公務員組織の本当の問題は、評価の仕方ではなく、仕事ができるのに上に上がれないノンキャリアがいる一方で、仕事ができないのに上司になってしまう"キャリア"がいることです。仕事ができる人が上に立つべき。ただそれだけのことですが、役所とそれに近い組織はそうならない。だから人事評価で不満が出るのだと思います。
イギリスや古代ローマはちょっと違いますね。家柄は重要。だから貴族階級や騎士階級は教育を受けて人徳を身につけ、有事には死にものぐるいで戦い、そして戦死もします。彼らはまさにリーダーなのです。

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<写真はすべてランチ(Natural Kitchen TESSHIN)。飲んだのは近くの萬房というお店。幻豚の焼き肉がうまかった>
一緒に飲んだ3人は、利権や老後のための昇進に関心がない方です。それはお話ししていればわかるし、そのくらいは見る目があるつもりです。それはそれとして、ボクは、ノンキャリアがトップに近いところまで昇進できるシステムがぜひ必要だと思います。"大佐"になるつもりで仕事をしてきたわけではなくても、大佐になったらできることもあるからです。

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2009年06月04日(19:14)

拝啓 札幌市長様 真意をうかがいたい

◆6月4日、今朝の北海道新聞・札幌面に市長のインタビュー記事が掲載されておりました。その中で大いに引っかかったコメントがあったので、ぜひ真意をうかがいたいと思います。


以下引用。
「官製談合の再発防止に向けて、OBの再就職を厳しく規制した。姑息(こそく)な利益を求めてOBを受け入れる企業側の動機はつぶすことができたと思う。・・・」


◆このコメントがただ単に道新の客観報道?の結果なのか、意図があるのかも大きな疑問ですが、そのことより小生が知りたいのは、この発言からうかがわれる市長のお考えです。「市役所職員は神聖・聖職、民間は利益を求める姑息(こそく)な集団」と読めます。
◆天下りによる弊害は、役所側だけの問題でないことはよくわかります。むしろ、退職後、そのスキルが生かされる職に就くことは社会のために有益なはずなのに、とも思います。◆ただ、民間はこの問題の本質がそういうきれいごとではない部分にあることを知っています。その本質とは、許認可権限を持つ役所がその地位を利用し、または新たに許認可事業を増やすことで天下り先を確保しようとしていることにあるのです。これは札幌市さんに限らず、むしろ官僚を筆頭とした我が国の制度の問題でもありますが、市長は民間出身だからこそ、問題の本質に切り込み、公益の観点から必要のない許認可を整理することができるのではないかと期待しておりました。(こちらの平成15年6月17日記事)


◆市長は2期目も「市民の目線」をかかげて当選されたはずですが、この発言は役所目線そのものです。


小生は市民税を払う一市民として、この発言の真意を問いたい。


北海道新聞の切り抜きを用意しましたが、著作権上まずそうなので載せません。

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2009年04月07日(20:04)

どこかずれている

◆燃費がいい車に対して減税したり、税を免除する制度が4月から始まって話題になっている。例えばプリウスは自動車重量税に加え取得税も免除になり、合計15万円から20万円安くなるそうだ。この話題で驚いていたら、今度は省エネ家電とエコカーへの買い換えで購入補助制度だそうだ。大盤振る舞いではないか。それでは住宅はどうなのか。燃費の良い住宅に対する減税や購入補助制度はないのだろうか。◆政府に2つの問題を指摘したい。1つは巨大なパワーを持つ自動車と電機産業への配慮はするが、住宅の購入促進策はなぜ行わないか、という点。もう1点は住宅政策は本来、底辺への購入補助と省エネ促進のための誘導策の2本立てであるべきなのに、なぜ富裕層に手厚い減税策などしか出てこないのかという点。◆人が生きている以上、住居費は必ずかかるものだ。それがマイホーム購入の支払いでも、家賃でも、どういう形であれ住むための費用はかかる。そして日本は戦後一貫してマイホーム取得促進政策を推し進めてきた。ところがここ数年、マイホームの夢が遠のいている。では賃貸で住み続けるか、中古のマンションでも買うか。戸建てに関しては居住水準がかなり上がったものの、賃貸は狭くカビなどで不衛生。中古のマンションも賃貸よりはいいがやはり狭い。早い話、日本は戸建て以外の住宅は、居住環境が低いのだ。◆そういう現状でわれわれはどんどんマイホームから遠のいてしまう政策を目の当たりにしている。家を建てれば家電も場合によっては車も買い換えるのに、車と家電の買い換え促進だけではすそ野が広がらない。家電や自動車については物知り顔で燃費やエコを語るのに、住宅の燃費への関心の低さはどうだ。まあ住宅ローン減税があるにはあるが、違うんだよなあ。国の住宅政策はずれている。

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2009年03月30日(18:11)

1月の暖房費7万円超え

◆前の記事のコメントに、長々とテキストを入れました。「気がつかない危険が身の回りにごろごろある。実は住宅も同じで、気がつかないと寒い家をつかまされるかもしれない。本当は住宅も食品も、消費者が気がつかなくても安全・安心な商品が提供されるべきだと思います。しかし現状がそうでないことを消費者は知らない。この問題はとても大きな問題だと思うのです。」この一例を紹介します。
◆多くの消費者は住宅性能はどこの会社も同じで、変わりはそんなにないと思っているようです。では、今年1月の暖房費が7万円を超える新築住宅があることをご存じでしょうか? 5万円超えはいまや珍しくないという声もあります。正直言ってひどい現状が一方であるのに、そんなことを知らずに消費者は家を買って(建てて)いたりする。建築業者も建てたもの勝ち、受注したもの勝ちの無責任さ。

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2009年02月06日(15:19)

道庁というお役所

◆今日は午前中、北海道庁・建築指導課に取材に行ってきました。北方型住宅ECO(国から200万円もらえる補助金事業)がらみ。「21年度もやりますよー」みたいなことを言っていたにもかかわらず、やめるとおっしゃる。新しく民間に動きが出てきたからだという。国の補助金をもらうために、2年目以降も道庁が中心となって動く必要があるとは思わない。それこそ民間の甘えであり、2年目以降は自立すればいいとも言える。ならば、「2年目以降はやめます」と宣言した上で、新しい受け皿を募集すればいいのではないかと思うが、今回の話はそうではない。「民間で動きがあり、相談を受けている。もしそちらが動くならどうは2年目以降はやめます」とおっしゃる。がその民間団体は、「道からの要請を受け」というとても重い意味の一文を入れて発起人会への参加を住宅会社に文書で促した。◆小生はこういうやり方がどうしても好きになれない。だから道に取材に行った。取材を受けている担当の主幹は歯切れが悪い。揚げ句の果てに「何か責められているようですねえ」とおっしゃる。小生は「そうですねえ、苦しいそうですねえ、どうしてですか」とたずねた。◆道は「要請」していないという。じゃあ「道からの要請を受け」という参加依頼文書はいいのですか? ダメならどうするんですか。放置しておくのですか、それとも何かするのですか?-とたずねました。道が推進する「北方型住宅」という枠組みを使う以上、一定の指導は行う。担当主幹は明言しました。◆こういう裏取引があるのではないか、出来レースではないかと疑わせる出来事が、道庁と民間との間でときどきある。当社はそのたびに取材に行く。当社が行政のチェック機能を失ったら、もう誰もチェックしなくなる。そう思っているのだが、今どき時代遅れだろうか? 少なくとも自分と当社の生き方として、使命は果たしたいと思っている。

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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