編集長コラム

人が歴史をつくる
◆十月末の十勝2×4協会25周年式典の打ち合わせでカナダ林産業審議会(COFI)の方と話をしていたときのこと。『ツーバイフォーの盛り上がりを十勝だけにとどめたくはない。関東以西で普及させるいい方法はありませんか』と質問されたので、即座に「ツーバイフォーを愛し、熱い情熱を持って活躍できる人」と答えた。気象条件や地域環境などさまざまな違いはあるが、工法を根づかせるためには、利害を超えた信念と人の和が必要だ。◆振り返れば、北海道の住宅改善の歴史は傑出した人物の登場で進化したと言える。通気層工法を唱えた江本央氏(江本工業創業者)、気流止めと気密化を唱えた鎌田紀彦氏(室蘭工業大学助教授)、ツーバイフォーでは高倉俊明氏(元よねくらホーム社長)。これらの人物と、その主張に賛同し利害を超えて住宅改善に貢献した多くの人たちがいた。◆道内の住宅が一定レベルに達し、景気も後退している現状では、世まい言にも聞こえるかもしれないが、変革の時には強いリーダーシップで業界を引っ張る人物が不可欠。われわれは目先だけを見過ぎてはいないか。自分自身も反省した。

(平成15年11月18日)
十勝2×4協会の25周年に寄せて
十勝2×4協会の25周年記念イベントにご招待いただき、去る10月31日と11月1日の両日、十勝を訪問した。25年と言えば四半世紀である。この間、ツーバイフォー工法を軸に十勝のユーザーに住宅を供給し続けた会員各位に、あらためて心からお祝いを申し上げたい。◆北海道・十勝地方は日本で最もツーバイフォー工法が普及している地域といわれる。本州の方からするとツーバイはよそ者工法で、プレハブと同じハウスメーカーの工法という見方もあるが、北海道では違う。もはや地場工法、在来工法とも言え、特に十勝では戸建住宅の工法別でおそらく最も多い工法だから、一般工法そのものである。そのシェアは全道で25%、十勝では50%に達すると見られる。◆イベントは記念セミナー、シンポジウム、式典と続いたが、印象的だったのは翌11月1日の現場見学会だ。丸1日かけて7ヵ所の現場を回ったが、そこには25年続いたこの小さな協会の神髄があった。洗練された技術、磨かれた職人の技能、そして継続的に改善に取り組んできた家づくりの姿である。◆家づくりは住宅会社の規模で決まるものではない。地場工務店が集まった十勝2×4協会は、それを25年かけて証明している。

(平成15年11月4日)
キリギリスの人間観察日記(4) おいらの人生
◆一気に寒くなり、おいらの人生も終わりのようだ。鳴き声もかなりショボい。人間たちは『11月までは何とか』と言っているが、そんなに生きられない。この家の住人にはずいぶんかまわれたが、それも猫のニャースにバトンタッチ、おいらはお役御免というわけだ。◆それにしても、おいらが気持ちよく鳴ける野原が減ってきた。昔はよく住宅街のなかでも鳴いていたとご先祖様が言っているが、考えられないことだ。開発によって消えていくのは貴重な動植物だけではない。おいらたちや、もっと目立たない虫たちも住む場所を奪われている。◆人間たちに言いたいのだが、たまには子供のころに返って草むらに目を向けてほしい。そしてつらいけどおいらたちを捕まえてほしいのだ。そこにはいろいろな生き物が暮らしている小さな世界と命がある。◆それにしても観察箱のなかはあまり住み心地がよくなかった。こんど捕まえたら虫かごに入れて天井からつるしてくれ。

(平成15年10月30日)
2003年十勝沖地震 (2)
◆今回の十勝沖地震は地域によって揺れの感じ方や被害に大きな違いがあるのだが、被害が大きかった地域では50年前の十勝沖地震よりもはるかにすごかったと語る住民が多い。十勝川河口にある大津漁港の漁師たちもそう。彼らは地震の前とても不思議な体験をしているという。数日前から船を海に出してもなかなか進まなかったというのだ。『エンジンの調子が悪いのかな』そう思った人が多かったが、仲間が異口同音に同じことを言うため、地震との関連が話題になっている。また数日前に“地震雲”を見た人は多い。やはり地震と何らか関連があるのではないか。◆十勝・釧路地方などでは今でも余震が続いており、住民はなかなか心の休まる時間がない。精神的にもきついようだ。◆被害状況については近いうちに新聞紙面で取り上げる予定だが、ビルダーたちは今回の地震を教訓に早くも対策を打ち出している。例えば外壁下地合板の厚手化、ボードの釘止めからビス止めへの変更などだ。

(平成15年10月22日)
2003年十勝沖地震 (1)
◆先日、十勝沖地震のあと、はじめて十勝・釧路地方を回った。道路の被害は予想以上。住宅についても徐々に被害状況が明らかになりつつあるようだ。◆今回の地震は地盤の悪いと言われる地域に被害が集中している。十勝では帯広市内は比較的被害が少なく、池田、豊頃、浦幌、幕別の各町は地域によって相当の被害が出ている。全壊はほとんどないようだが、不同沈下は相当あり、今後の改修と補償が大きな問題となりそうだ。不同沈下のない家については、外から見ただけではわからないが、建築時期や工法によって被害の状況が微妙に異なることが判明しつつある。例えば基礎だが、軟弱地盤では耐圧板に被害が少なく、摩擦杭はきいていないケースがある。これは支持地盤まで届いていないためと考えられる。◆いずれにしても多くの住宅は重大な被害を免れたわけで、「お客様の生命と財産は守ったと思う」と語ったビルダーの言葉が印象に残った。

(平成15年10月17日)
キリギリスの人間観察日記(3) 驚いた
◆最近の話題はカタツムリの“つみこ”。二女のサルが公園で捕まえてきたらしいが、こいつの食欲がすごい。一晩でレタス一切れがなくなる。おいら、キュウリやタマネギやカツオ節をもらっているが、あんなに食べられない。◆このところ陽気もよく、朝から窓辺に出してもらって気持ちよく鳴いている。ただ問題がある。猫だ。昨日も突然家の中に入ってきて、おいらの部屋に近づいた。おいら、1本足になっちゃったし草むらもないから逃げ切れないと思う。どうするつもりなんだろう、人間どもは…。◆この猫“ニャース”と付けられたんだけど、そのニャースが侵入して驚いたのはおいらだけじゃなかった。『うちの中で飼いたい』と言っていたバッタとチョロが大騒動。きゃーきゃー言いながらソファによじ登ったり食卓にはい上がったりで、ニャースも驚いていた。そんなこんなで、ニャースもこの家に居着いたようだ。

(平成15年10月10日)
キリギリスの人間観察日記(2) 慣れ
◆だんだん気温が下がってきて、おいらも夜はリビングに置かれるようになってきた。先だって、相棒の“キリス”が死んた。ネズミが『昼間は日光の当たるところに置いてあげよう』と言ってまもなくだったから、おいら残念だ。◆昼になると日なたに出してくれるようになったので、体調はすこぶる好調。アンパンマンは『日が陰ったとたんに鳴きやむ気むずかしいやつ』とか言っている。別の観察箱にいるクサキリ※も、メスが死んでオス1匹だけになった。◆最近、この家の外に野良猫が来るようになって、バッタやチョロの関心はすっかり猫に移ってしまったようだ。それでも忘れずエサをくれるアンパンマンには一応感謝している。アンパンマンもおいらの顔がかわいく見えてきたと言っていたっけ。 ※クサキリはキリギリスの仲間で、発達した後ろ足を持っている。『ジーッ』と鳴くので誰でも知っているはずだが、捕獲してわざわざ飼おうという物好きはあまりいないと思う。

(平成15年10月2日)
キリギリスの人間観察日記(1) わがまま
◆台風一過のよく晴れた日、いつものように葉っぱの上で気持ちよく鳴いていると、突然バタッと倒され、虫かごに入れられ今の部屋に着いた。虫かごで暴れているうちに足が一本なくなったようだ。痛くないのはありがたいが、しばらくはうまく鳴けそうにない。◆この家の住人は観察好きだ。入れ替わり立ち替わり俺たちを見に来る。おかげで、みんな同じに見えた人間の顔にも違いがあることに気付いた。俺たちそっくりのバッタ顔やネズミ顔。◆俺は今、「ギリス」という名前を付けられている。一緒に暮らす後からつかまった仲間は「キリス」。『キリスとギリス』だなんてふざけてるじゃないか。だから俺も人間に名前を付けてやった。俺を捕まえたのは“ネズミ”、エサをくれるのは“アンパンマン”、観察好きの女は“バッタ”、いつも跳ねてる女は“サル”、俺たちを怖がっている男は“チョロ”。◆最初の頃、ネズミはずいぶん俺の心配をした。『足がとれて鳴けないのかなあ?いい声で鳴いていたのに』。そうだ、俺はとてもいい声をしている。しかし、そんなに心配なら捕らなきゃよかったじゃないか。結局、俺が鳴かないから心配しているだけだ。人間は本当にわがままだ。

(平成15年9月19日)
神のみぞ知る?家の安全性
◆耐震工学という学問があって、これがなかなか困難な分野だ。というのも、地震の“揺れ”を正確に把握することができないからだ。このため、ある地震の時に計測した“揺れ”をもとに条件を設定し、それに対して安全かどうかの判断を行うことになる。◆とは言え日本の耐震技術は急速に進歩し、権威といわれる人たちの中には阪神・淡路大震災まで『日本で高速道路が崩れることなどあり得ない』と断言する人もいた。しかしこれが過信であったことが図らずも証明された。耐震性とはいわば『ある地震の揺れの場合』という条件付きの安全であって、未知の揺れ、想定外の揺れには安全は保証されない。また構造物に十分な強度があっても地盤が崩壊することもある。あしもとをすくわれてしまえば、構造物が持ちこたえるのは難しい。◆こんな話を聞くと、一般消費者は不安だ。一生のうちに体験するかどうかわからないのが大地震とは言え、わが家の安全性は誰も保証できないといわれているのと同じなのだから。先の大震災を機に、住宅も耐震基準が改められたが、過信は禁物。まさかの時にどう逃げるかを考えておかなければならない。9月1日防災の日、そして関東大震災から80年。

(平成15年8月28日)
◆天然温泉だと思っていたら、塩素殺菌された循環湯と知りがっかりという話がよくある。古来、温泉は大自然の中に湧いていたもので、そこには猿も入ったかもしれないし、蛇が泳いでいることもある。超清潔好きの現代人にはなかなか受け入れにくいゴミや汚れも浮いている。本物志向とは言いながら、本音は“いいとこ取り”で楽をしたいというわがままが現代人にはある。◆清潔さを維持する塩素殺菌のように、本物より使いやすさを追求して化学物質を広く利用してきたのがこれまでの日本だ。水道もしかり、住宅内の化学物質しかり。ところがその化学物質が新たな健康問題を引き起こす、というのがシックハウスの真相である。今月から始まった建築基準法による化学物質規制は当然必要だが、われわれ日本人の潔癖なまでのきれい好き、完璧好きも問題である。家づくりで言えば、枝葉も大切ではあるが、幹に当たる構造や性能にもっと目を向けるべきだ。そうでないと対策は小手先ばかりで、いつまでたってもなぜ化学物質が使われていたかという原因の改善に至らない。難しいことではあるが、消費者は本物を見極める目を養う必要がある。

(平成15年6月30日)
拝啓 新・札幌市長様
◆このたびは長い選挙戦を制し当選おめでとうございます。いよいよ4年間が始まりましたね。◆1回目の選挙の序盤、札幌の街中で何度か演説する姿を拝見いたしました。眼帯が痛々しく、とても心配していました。しかし、当選後のインタビューで、市長はご自身のビジョンと、就任後の姿勢についてとても明快に説明され、心配はずいぶん解消しました。そこでぶしつけながらお手紙を書かせていただいた次第です。◆それは私がいつの日か?市長選挙に立候補するまで秘密にしておこうと決めていた政策案です。札幌の当面の最大の問題は地下鉄事業の赤字だと思うのです。これを早期に解決しない限り、今問題となっている銀行の不良債権と同じく、手に負えなくなるのは目に見えています。私は民営化によって地下鉄事業を市の事業から切り離し、精算をすべきだと思うのです。もう一つの交通問題。それは道路です。札幌は今、南西部への移動に多大な時間がかかります。そこで現在の札幌南インターから西インターに接続する新しい南西部廻りの高速を建設し、環状高速とすべきだと思うのです。◆これはゼネコンへ利益誘導とは全く異なります。札幌は都市の拡大があまりに急激だったために、また中心部が一極集中型のために、様々な問題を起こしています。これを解決しなければ渋滞はますますひどくなり、環境都市どころではなくなるというのが私の考えです。◆豊かな暮らしのために、将来へ重荷を残さないために、ぜひ市長のご英断を期待し、ペンを置きます。
敬白

(平成15年6月17日)

◆住宅新築などに道が融資してきた「ほっかいどうマイホーム資金制度」が、平成14年度をもって廃止となった。ピーク時でおよそ7千件あった融資件数が、昨年度は25件まで低下。融資機関も銀行を中心に多様化する中で、道融資の役割は終わった、ということのようだ。◆確かに利用件数だけを見ると、役割は終わったとも言える。しかし、見方を変えると、実情にあった融資のメニューを揃えようとしなかった道の怠慢ということもできる。住宅融資に関連するある機関の職員は、道融資の終了を皮肉って「都道府県で住宅関連の融資を行っていないのはまれだ」と語っていたが、“住宅産業振興ビジョン”を推進し住宅を盛り立てようという意気込みはどこへ行ったのかと聞きたい。◆ここは新たな政策の提案を紹介し道の奮起を促したい。これまでの融資は住宅金融公庫との併せ貸しを前提にしていたが、融資枠を拡大しても現状で銀行などが100%以上の融資を実行しているのだから、意味はほとんどない。そこで融資に代えて、ローン金利の一部を道が負担する“利子補給”をおこなってはどうか。その場合の基準は次世代省エネ基準、あるいはそれ以上とし、融資の実行機関は民間も公庫も認める。レベルの高い住宅への誘導が市場を活性化させ、購入者のローン負担を軽減し、生活環境、地球環境の改善にもつながる。

(平成15年6月6日)


◆先日、マツダのブランニュー・カー「RX−8」に試乗させてもらった。お世話になっているS氏の好意で1時間あまりも!! 自身、実に15年振りのロータリー。シフトノブの震え、エンジンの吹け上がり、そして車体の微妙な振動がとても懐かしく、マツダのエンジニアの魂というか、21世紀によみがえらせたノンターボ・ロータリーにかけた情熱が、ドライバーズシートを介して伝わる。◆試乗したのはタイプSという250psで18インチタイヤとビルシュタインダンパーなどを装備した本皮シートの赤い1台。助手席のS氏も久し振りの新型ロータリーに語るべきストーリーが多いようで、分析より熱い想いが先にきている。◆試乗しながら思い出したのはイタリア車・アルファロメオだった。国産はもちろん、ドイツ車にもない個性、『普通じゃない車』と表現したらいいのか、そういうものに対する好奇心と刺激。3車線道路の真ん中をズバッと抜いていくときの感覚は、RX−7に乗っていた頃と同じ高ぶりがあった。◆最後になった。RX−8の出来をシロウトなりに述べてみたい。性格的にはドイツ車に近いGTカー的な落ち着きとしなやかさ、懐の深さを持ったスポーツカーだ。この手の車はおそらく日本にはないはず。そして赤がよく似合う。これも日本車にはない。『マツダよ、がんばってるな』全国のマツダファンと一緒に喜べる、会心の出来である。

(平成15年6月5日)


◆今日はRCの外断熱、本来の外断熱に触れたい。日本の外断熱の歴史は、工法規制がなかった黎明期、工法規制が行われた低迷期、そして現在の緩やかな規制の時代に分けられ、工法は物件の建築時期によって異なっている。ところで最近、ある方から興味深い話を聞いた。◆建築にはさまざまな規制があり、外断熱は断熱材の防火性能について、厳しく規制されていたのだが、これがあまり合理的ではなかった。現在は比較的合理的な緩やかな規制に変わったのだが、その合理的でない規制を作り、結果として外断熱を低迷させた人物=X先生とは、当時、外断熱推進のトップにいた方ではないかという話である。◆事情はこうだ。日本の大学の最高峰とされる大学の先生(仮にY先生)から外断熱の防火についての問題点が、当時、唯一と言っていい外断熱建築を行っていた北海道に投げかけられた。これを契機に、問題の規制が自主規制的に作られ、全国基準となった。それを作ることができたのは当時、X先生1人しかいなかったし、『Y先生に詳しく説明しに行く』とおっしゃったある先生を制したのもX先生だったという。◆外断熱を推進する立場の方が、なぜ長期低迷を招く規制を立案したのか。実は学者の世界は規制を作ることで評価が高まるという。我が国では規制立案で名をあげたい行政と一部の学者が、商売を独占したい大手と手を組み、今もなお消費者の利益を阻害している例がたくさんある。

(平成15年5月28日)


◆道内でも『外断熱』がブームである。木造の場合、本来は外張り断熱であって外断熱ではないが、世の中はすっかり外断熱で用語統一されてしまったので、本紙でも外断熱という表現を使っている。しかし、この表現が大きな問題を起こしつつある。◆最近、講演会などで「ヨーロッパでは外断熱しかない」とか、「世界の主流は外断熱」みたいな内容をあたかも見てきたかのように発言する人たちがたくさんいる。これはそもそも、江本工業(現・エア・ウォーター・エモト)の創業者で現在、外断熱を推進している江本央氏が主張し続けてきたことで、RC建築の話である。それを巧みに木造の話にすり替えているのである。◆RCは躯体の外か内にしか断熱層を設置できない。しかし木造は充てんもあれば付加断熱も外張りもあって、内か外かの話ではない。また、北欧や北米の木造建築の主流が外断熱であるという事実もない。こういったウソも三回聞けば“本当かな”と思ってしまうから怖い。◆良識ある外断熱(外張り断熱)推進派の方々は、もっと違った視点で外断熱を推進しており、このような事態を困ったものだと考えているようだ。◆断熱論争が盛り上がっている今こそ、識者は正しい情報を消費者に伝えなければならない。
※江本央氏は平成16年4月、死去しました。心よりごめい福をお祈りいたします。
(平成15年5月15日号掲載)


◆住宅金融公庫の廃止論議が始まった二年ほど前から、それまで北海道で七割シェアを持っていた公庫融資が減少を続け、今年は一割にも満たない激減となっている。これも時代の変化と言ってしまえばそれまでだが、本当にこれでよいのか。◆公庫は現在、八割しか融資しない。自己資金を持たない人が多い道内では、どうしても公庫以外の融資を併用しなければならず、それならいっそ民間ローンで一本化する方が楽。公庫より銀行のほうが資金回収が早い。審査も早い。目先の金利も安い。銀行ローンのメリットとしてこのようなことが言われている。◆では自営業者は銀行から借りられるか。中小企業に勤める人たちはどうか。これらの人たちはほとんどダメというのが現状ではないだろうか。銀行ローンは融資の間口を狭め、結果として住宅景気を冷やしているのではないか。◆ユーザーの支払い計画を考えれば、長期固定の金利は、支払いが多いほどメリットが大きいはず。また、公庫も利用拡大へ向け事前審査を行っており、募集期間外でも三営業日程度で結果がわかる。銀行だけに頼っていてはいかんと思う。

(平成15年5月5日号掲載)