北海道・札幌

2016年06月17日(19:49)

ニセコ・倶知安エリアの視察に行ってきました その1.機械化林業

6月15日(水)・16日(木)の2日間、ある工務店の視察旅行のツアーガイドとして、ニセコ・倶知安・黒松内・洞爺湖町を回ってきました。
少しずつその内容を紹介していきたいと思います。

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まず最初に見学した木の伐採現場から。
到着した森はトドマツの人工林、いわゆる植林地です。
 
皆さん、木を切ると聞くと、木こり、チェーンソー、危険、という印象を持つかもしれません。ボクたちが見に行ったのは最先端の機械化林業です。
建設機械2台がセットになって林道を進み、「ハーベスター」という電子制御の工作ツールを取りつけた1台が立木を根元からつかみ、ノコの音がしたと思うまもなく木が傾きます。
それはあっという間の出来事でした。

もっと驚いたのがその次。木が倒れて「おおっ」と歓声を上げている最中に、ハーベスターは枝打ちをはじめているのです。伐採から枝打ち。これはほぼ一連の作業です。
大きな立木を「アスパラ」に例えた見学者がいましたが、太くて長い立木がまさにアスパラのように、簡単に持ち上げられ、枝のない丸太柱状になるのです。



ハーベスターはすでに次の作業に取りかかりますが、後ろについている、もう1台が丸太状の木をつかんで土場に集めます。

作業スピードは人力の10倍。ボクは、フォード自動車が自動車のライン生産を開始することで生産性が飛躍的に高まり、価格が劇的に低下したという製造業における伝説を思い出していました。

これはもう、ヒトとは比較にならない。圧倒的な機械力の勝利です。しかも、少なくてもチェーンソー作業より安全だし、雇用を生みます。ハーベスターを操っていた若者は、ホテルマンからの転職。本当に楽しそうに仕事をしていました。
 
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〈本当に気持ちのいい若者たち〉

圧倒的な生産性によって何が変わったか。
視察を受け入れてくれた千歳林業(本社・倶知安町)の栃木社長によると、
丸太の生産原価が落ちる。だから、立木を高く仕入れることができる。立木を高く仕入れる(木が高く売れる)ことができれば、森林所有者は再投資の費用が確保できる。丸太の生産量が拡大するので、増加する国産材・道産材の需要に対応することができる。
 
 
〈千歳林業・栃木社長〉

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これだけ革命的な生産性向上が起きているのに、ボクら建築側にいる人間はそのことをあまり知らない。
そのことにも驚きました。

視察地は黒松内町でした。黒松内道路を黒松内南ICまで進み、そこから黒松内の名流・朱太川(しゅぶとがわ)をさかのぼって山に入っていきます。現場は道有林で、幅が1mほどにまで狭まった朱太川を2度渡り、伐採現場に到着しました。浅瀬とは言え川渡りを中型バスで2度もやってしまいました。運転手さんは緊張の連続だったと思います。
 
黒松内はいいところです。黒松内道路から山に入っていき、ボクはいちどキャンプに行ったことがあり、森の豊かさを再度感じることができたのもうれしい体験でした。
 
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ちなみにこの日の昼食は「道の駅 くろまつない」の有名なピザ「DO」。Lサイズを大人15人であっという間に完食。みんなの笑顔をみたら、おあじについては説明の必要はないな、と思いました。間違いなくオススメです。
 
で、15人のうち10人くらいはピザのあと、これまた有名なパン工房に直行してパン購入。もちろん白井もシナモンリングを1つ購入しその場で食べました。柔らかくてしっかりしていて、ぜいたくな食感のパンです。はい、こちらもオススメ。
 
というわけで、道の駅 くろまつないでのお食事は、Mサイズピザ2人で1枚、Lサイズピザ4人で1枚、さらにパンを1人1コ、くらいがいい感じかと思います。
 
おみやげにアンジュ・ド・フロマージュのチーズを購入したかったのですが、1泊旅行だったので見送りました。

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2016年06月09日(19:01)

中学の頃から「北海道住宅新聞」を読んでいた!

昨日、ある取材先で名刺交換させていただいた方から、とてもうれしい話をうかがいました。

実家が工務店で、昔から「北海道住宅新聞」を購読していただいていることは存じていましたが、

「中学の頃から読んでいたから」とTさん、
「へえ、変わった中学生だったんですね」と自分、
「オヤジ、ヘンな新聞取ってるなと思って、自分も読んでた」とTさん。


昭和の時代から新在来木造構法を取り入れた、ものすごく先進的で頭の柔らかいお父さんでした。


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ちょっと年をとったかなぁ・・。

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2016年05月19日(10:37)

中島ノブヤ個展.仙台で29日まで

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北海道住宅新聞・毎月15日号にサインペン画とコラムを連載している中島信哉氏の個展「EVEN PACE」中島ノブヤ展が今月24日(火)~29日(日)まで、仙台市内のギャラリー・ターンアラウンド(青葉区大手町6-22久光ビル)で開かれます。
テーマのイーブンペースは、マラソンも人生もイーブンペースで楽しもうという趣旨。

イーブンペースって難しいんだよね。白井は鈍足なので、マラソンではほぼイーブンペースを作れますが、冬山の登りはペースを上げすぎて、途中から休憩が増えます。
中島さんは、かなりイーブンペースを守れる人のように、白井には見えます。まあ、誰にとっても難しいから、even paceを守ろうって話ですね。

新作のサインペン画のほか、とうほく走り描きの原画も会場にあるかも。
東北の皆さん、仙台に出張する皆さんはぜひ会場へ。開場は11時から20時まで、最終日は17時クローズ。

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2016年04月25日(18:31)

生活の中の造形芸術が好き

ふだん、ほとんど美術から遠い生活を送っていますが、北海道にゆかりのある作家で、自分が好きな方はいるんですよ。
 
 
本郷 新>最も有名なのは「わだつみの像」でしょうか。札幌には本郷新の彫刻がいろんなところに置かれており、宮の森地区には特に多いですね。美術館もあってお気に入りです。というかほしいです。大きいのでもいいです。家の前に置きます!
http://www.hongoshin-smos.jp/
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瀧口 政満>阿寒湖温泉鶴雅にいくと、瀧口氏の木彫が迎えてくれます。埋もれ木を彫り込んだ非常に味わいの深い彫刻です。あまりに素晴らしくて、阿寒に仕事に行った帰りに1点衝動買いしたほど。瀧口氏の彫刻の近くにいると、気持ちが柔らかくなるのが感じられます。いまでもわが家の玄関に飾られております。
http://www.tsuruga.com/gallery/bijyutsukan.html
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竹下 青蘭>書道の先生であり、前衛書家でもある方。額縁店で竹下先生の作品に触れ、衝撃を受けました。勢いを感じたのです。版画を購入し、自分の部屋に掛けております。
じつは、弊社の新聞の題字は竹下先生の書です。
https://www.iesu.co.jp/column/2009/06/01090649.html
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photo:
本郷新の作品の中でこれがほしい。盗まれたら犯人は白井だと思ってください(笑)。photoはグーグルストリートビューから
鶴雅のホームページからいただきました。優しい感じが好きです
竹下先生だけ当社がらみというのも申し訳ないかしら・・

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2016年04月18日(19:26)

ファッションの春と季節感

この時期、着衣について話題になることがあります。
先日、東京から転勤で札幌に来られた方から「なぜコートを着ないの? もうマフラーはしないの? みんな家でこたつに入ってないの」
と質問されました。

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札幌市立大学・斉藤先生の研究室の調査によると、外気温に大きな違いがある熊本と札幌で、季節感はほぼ同じというアンケート結果が出ております。
例えば4月は、熊本にとっては春の終わり、札幌にとっては春の後半という違いはありますが、季節感は変わりない。外気温に関係なく着衣量も比較的似てくるのです。

不思議ですね。北海道の4月は、首都圏でいえばまだ冬の気温。なにせ桜はいまだ咲いていませんので、暖かくないのです。それにもかかわらず、ダウンのコートはもう着ない。スーツ類も春物に替わります。
手袋はしてもマフラーはしない春仕様。

この現象を以前から不思議に思っていたのですが、「季節感」という言葉とアンケート調査で、白井的には納得しました。
札幌とは言え4月は春の季節感なのです。

一方、家の中は完全な冬仕様ですよね。暖房を止めている家はほとんどないはず。寒くなればスイッチオンです。

室内は冬仕様、外出は春仕様。
これが北海道の春の姿です。

さて、比較調査先としてあげた熊本および九州が今、たいへんなことになっています。
「いつも心をひとつにしている」
そういう気持ちを持ち続けること、そして住宅断熱技術の九州への普及がボクにできることかなと思っています。

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2016年04月01日(18:13)

申し込み殺到!札幌版次世代住宅補助

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基準を改定して使いやすくなった札幌版次世代住宅基準の補助申し込み第1回が締め切られ、応募多数で抽選となりました。
どのくらい応募多数かというと、以下のように
 
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スタンダードレベルの補助20件に対して119件の応募、すなわち募集倍率6倍です!
 
まずは大成功といえるでしょう。
http://www.city.sapporo.jp/toshi/jutaku/10shien/zisedai/zisedaihojo.html
時代の後押しもあり、札幌市の基準改定が受け入れられた結果だと思います。
抽選にもれた約100件が全部スタンダードレベルで建つわけではないと思いますが、仮に1/3が建ち、補助物件と合わせて50件のスタンダードレベルの住宅が建つとなると、これはすごいことです。
札幌の一般個人住宅は年間に4500件くらい。そのうち3月末の申込分で50件以上がスタンダードレベルとは!
 
今後は、ベーシックをもう少し減らしてでも、スタンダードを手厚く補助したほうが良いのではないかな、と白井は思いました。
 
この点とあわせて、もう一つ検討したらいいなと思うのは、スタンダードの抽選にもれた人は、ベーシックの抽選会に参加できるようにしてはどうかと思うのです。もう一歩進んで、スタンダードに漏れた人がベーシックの抽選において優先権を持ってもいいのではないかと。
 
というのも・・・
第1に、高い目標に向かって投資する意欲ある市民を、補助のかたちでサポートするために、ベーシックを希望する市民よりスタンダードを希望する市民を優遇していい。
 
第2に倍率はそのときによって異なるでしょうから、スタンダードに応募が集中したときに、はずれた人とベーシックが当たった人との間にただよう何となくの不公平感は解消されたほうが良い。
 
第3に、今の選考方法だと、住宅事業者の中にはスタンダードに10棟以上申し込んで1棟も当たらない会社もある一方、ベーシックに5棟以上申し込んで全部当たる会社もでてきてしまう。これは「残念だね」で肩をたたいて済む問題ではない気がする。
 
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制度がさらに改善され、みんなが納得して取り組める仕組みになるように、札幌市には引き続きがんばってほしいと思います。
 
※写真は札幌市のHPからお借りしました

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2016年04月01日(10:51)

電力自由化スタート.わが家は安くなる?

4月1日(金)です。
世にエープリルフールと言われる日で、かわいいウソをついてもいいらしいです。
でも、かわいいウソのさじ加減がわからないので、本音だけでマジメに生きている白井です。

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今日から電力自由化がスタート。
わが家は、お客さまはどの選択が安くなるのか!?
いろいろな解説記事や比較サイトがありますが、
ボクも含めあまり字を読みたくない人へ、非常にざっくりと対応をまとめます。

知人の専門家によりますと
1.月300kWh以下の使用量の家庭、つまり電気を標準よりも使わない家庭は、電力会社を変えるメリットは少ないようです。なので、急ぐ必要はなさそうです。

2.オール電化メニューを利用している家庭は、新規参入会社にオール電化用メニューを持っている会社がないので、変更せずにとどまるべきです。

3.そもそも現状の電気料金高止まりの原因の一つは、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が、使用電力量1kWhにつき1.58円かかっており、5月からは値上げになって2.25円になるそうです。ですので、電力使用量そのものを減らすことが節約につながります。

ということになるようです。

4月1日といえば・・・
四月朔日さんという名字の方おられますよね。
読みは「わたぬき」だそうです。
「旧暦の四月一日に着物などの綿を抜くところからきている」とネットに書かれていました。

2016年度もよろしくお願いいたします。

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2016年03月23日(14:19)

オホーツク環境住宅研究会の勉強会に参加して

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3月22日(火)オホーツクエリアで環境住宅に取り組むビルダーと地元・北見工業大学の産学協同研究グループ「オホーツク環境住宅研究会、OEH」の札幌勉強会に呼んでいただきました。
 
ボクは、2020年ZEH達成への道のりについて考えていることをお話しし、その後の討論では、国土交通省と経済産業省が別々の動きをしているように見えるのはなぜか、ZEHの推進は日本の電力政策に関わる問題だ、4月から始まるZEHビルダー登録をするか-といったテーマに関し熱い議論が展開されました。
集まった皆さんの関心は高かったと思います。
 
もうひとつ、今回はこころに残ることがありました。
当社の副編集長が、ビルダーさまを前に話をする姿を初めて見ることができました。
 
今日はこれから、札幌市内のグループの勉強会で昨日のお話を札幌限定版でしてみるつもりです。

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2016年02月29日(14:18)

超低金利の超追い風で笑顔多し

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〈通販商品も入っちゃう壁付けの大型ポスト!〉
 
札幌では今月17日から3月10日まで4週連続で大手建材問屋による春の商品展示即売会が開かれています。
白井は先週のクワザワ・丹波屋・キムラの展示会を見てまいりました。
この展示会に参加すると、今年の仕事状況が肌感覚でわかります。人出の多い/少ない、声が大きい・笑いが多い/少ないなどです。ホントに肌感覚です。今年は人出が多くかつ笑顔が多かった。全体として好況とみていいと思います。
 
「なんで?」という疑問があるかもしれません。ゼロ金利からマイナス金利へ移行し景気を刺激せざるを得ないほど日本の景気指標は悪化しているのに。
じつはそのマイナス金利が恩恵をもたらしている妥当というのが多くの見方です。
住宅は長いローンを組んで購入する商品です。なので金利が下がることは住宅価格の値下げに等しく、またこれだけ金利が低いと貯金してから建てるより先に建ててローンを支払ったほうが正解だと、誰でも思うからにほかなりません。
何せ、10年固定の銀行ローンで金利1.05%! ものすごい低金利です。
http://www.hokuyobank.co.jp/person/loan/house/shinki/index_a.html#anchor02
 
 
消費税率アップ前の駆け込みはどうかと申しますと、今の段階ではないようですし、このぶんだと超低金利効果が強いので駆け込み効果は薄いかもしれません。
 
ちなみにボク、10年固定でローンを借りて、11年目以降については金利交渉をしまして(借り換えではなく銀行を変えずに金利交渉!)けっこうお安くなりました。住宅ローンを抱える皆さまにとってもこの超低金利はありがたいですね。

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2016年02月19日(17:38)

「どっち?」「ぜっち!」というほど話題沸騰のZEH(ゼッチ)

今年は「ZEH」という言葉で年が明けました。
住宅内で使うエネルギーを削減した上で、その全量を自家発電でまかなう住宅=ネットゼロエネルギー住宅。略してゼッチZEHです。
 
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住宅内で使うエネルギーは何がどのくらいか。地域によって差があります。
札幌は全エネルギーのうち約6割が暖房、2割が給湯、残り2割が照明や家電、調理です。
そして、暖房が多い分、全国平均と比べると使うエネルギーが1.5倍以上になるので、がんばって省エネしてもたくさん自家発電しなければなりません。
 
意外と誤解されているのが冷房です。冷房は想像以上にエネルギーの使用量が少なく、全国平均では棒グラフの棒が見えないくらいしか使っていないのです。
暖房はマイナス温度から20℃以上まで30度くらい温度を上げるのに対して、冷房は35℃の日でも冷やす温度は10度以下。しかも住宅は間欠冷房なので、常時使うわけではない、ということのようです。
 
寒い地域ほどうんと省エネして、それでもたくさん自家発電しなければいけない。それがネットゼロエネルギー住宅です。
 
昨年末、経済産業省が2020年までにZEHを新築の5割以上にするとぶち上げました。しかも達成度合いをチェックするとも。
 
このことで、年明けから寒冷地北海道は大きな騒ぎになっているのです。
 
国土交通省の2020年度省エネ義務化なんて吹っ飛んでしまいましたね。省庁同士のつばぜり合いというか、どの業界の利益代表なのかというか、まあまあ・・・。

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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