2009年08月12日(05:41)

鎌倉パッシブハウス取材記 02

◆2009年7月9日に第1回を書いてから、なんと1ヵ月以上もたっておりました。前回は建築現場に着く前で終わっています。要するに何も書いていない・・・。この間、わりと忙しかったので、それを言い訳にして2回目が登場しませんでした。すでに新聞記事をアップし、森みわさんから著書もいただき(読み始めました)、記事についてのお問い合わせも何本かちょうだいしました。


090811_passive02-01.jpg(訪問者と森さん)
◆パッシブハウスはドイツの省エネ基準みたいなものですが、日本と違って熱損失係数(Q値)ではなく、エネルギー使用量で規定されているようです。暖房の基準は15kWh/m2以下。これを実現するために温暖な鎌倉で240mm断熱を施しています。
この基準値そのものにはあまり意味がないというのが小生の考えです。なぜなら、これはドイツの基準であって緯度がずっと低く南北に長い日本全体で、基準の妥当性を考えることにほとんど意味はありません。
大切なのは何か。森さんは「暖房(冷房)燃費の事前表示、世界基準の性能、ローテクの重要性」と語っておられます。小生、まったく同感です。森さんがいっぺんで好きになりました。日本で断熱オタクなんて存在は超マイナーです。しかし、森さんは何とかメジャーにしようと頑張るつもりです。それなら応援したくなるというものです。


090811_passive02-02.jpg(天井の配線シール部)
◆今回は、気になった点がひとつありました。気密層のつくり方です。写真のように調湿系のシート(INTELLOインテロ)で気密層を造り、その室内側に胴縁を施工して配線などを引き回せるようにした上で、内装下地のボードを張る予定になっています。
この室内側胴縁が重要なのはわかります。これがないと、コンセント位置を変えるたびに気密層破壊、ということになりかねないからです。しかし、もう一つ大切なことがあると思います。
◆この段階で気密性能はかなりの数値が出たそうですが、大切なのは気密性能の長期にわたる耐久性です。気密層は常にボードで押さえるべし。この納まりで気密層が動かないように固定できるかが心配なのです。なぜなら


  1. 1.シートだけでは風によって断熱層内に外の冷気(夏の湿った暖気)を吸い込んでしまう危険性がある

  2. 2.台風などで風圧がかかったときにテープ類がはがれてしまう危険性がある

  3. 3.ボード押さえをすることによって、万が一、気密シート材が劣化で破れても気密性能の低下をうんと小さくできる。

1と2については、外壁側の面材によってリスクは低くなるものの、3の問題は完全に解決しないのではないかな。
室内側の空気層に断熱材を充てんするなどして、間接的にボード押さえが効くようになればいいかもしれません。(そういう納まりになるのかどうか、確認をしておりません)


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カテゴリ:エコ化 |

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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