2010年03月04日(18:38)

お詫び、取材、そして木質燃料

今回は少々長いので、ゆっくりおつきあいを・・・。


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まずはおわびでございます。

「エコポイントの"おやおや?"」と題した2月25日のエントリーで、
3.掃き出し窓やテラスドアはエコポイントの対象外です。
出入り口にも使われるこれらは、窓とは言えないからです。

国土交通省がこう指針を示しているそうです。


と書きましたが、これは相談窓口の勝手な解釈だったようです。当方の取材に対し、国土交通省では「窓はもちろん対象となる」と回答しました。
よって、修正いたします。


ただ、相談窓口と国土交通省、同じ相談窓口でも回答が違うなど、かなり混乱しています。ようは、はっきりしない部分が多いのです。


つぎに、今日の昼、在札のH*Bテレビから取材されました。このブログや当社のホームページをご覧いただいているそうで、とてもうれしいです。
エコ住宅をテーマに「エコポイントの功罪」的な取材を最初に受けました。
小生は、エコポイントの政策目的は、CO2削減と住宅市場の刺激の2つと聞いているが、このうちCO2削減については省エネルギーへの関心の高まりという意味で機能している。市場刺激にはつながっていないが、半分はうまくいっている。と答えました。
エコ住宅については3月11日夕方6時頃からニュースの中で取り上げられる予定だそうです。


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最後に木質燃料、いわゆるカーボンオフセットについてです。

近頃流行の薪やペレットのストーブはCO2排出量は0と見なせるとされている。そこで
1、排出量がゼロとみなせる事について
2、薪やペレットのストーブ(あるいはボイラー)の価値について
どうお考えでしょうか?

そういうご質問でした。
白井の考えはこんなです。
1.
地球温暖化、温室効果ガスの問題は、突き詰めれば『石油』の問題だとヨーロッパは考えており、白井も同様に考えています。
ですから燃料・エネルギーという点では同じでも、木質系燃料は温暖化や温室効果ガスと関係していない、というのが本当の意味であり、『CO2が排出しない、あるいはゼロと見なす』カーボン・オフセットという考え方は、説明のための理屈だと思います。
ですから、木質燃料はCO2が排出しないのではなく、問題の外にあるというのが正しいと思っています。
※石油燃焼によって発生したCO2と熱を地中に戻すことができたら、問題の1つは解決することになります。が、言うまでもなく世の中はそんなに単純ではないです。『石油資源』の奪い合いという面があるからです。エネルギーが安定して確保されること、すなわちエネルギー安全保障から見たとき、環境問題というのはとても便利な言葉である、という面もありますね。エゴを包み込むきれいなパッケージがエコであり温室効果ガス削減目標であるという見方もできます。


2.
薪ストーブの価値については、まさに価値観の問題ですから、主観的意見になります。
白井は、個人レベルのエネルギー安全保障の面から、暖房設備のほかに薪ストーブを備えた方がいい、と考えています。石油起源のエネルギーが手に入らない価格になっても、ボクのうちは暖かいので心配無用。いやあ、これってすごいエゴですね。
ただし、課題があります。都会には燃料となる薪がないことです。


そこで薬のカプセルみたいなお手軽燃料のペレットが出てまいります。ペレットは購入できる木質燃料だし、何より手軽です。
しかしですねえ、ペレットには2つほど課題があります。1つは、多くのペレットストーブが電気を使う点です。電気を使う理由は、石油ストーブのようにお手軽にするためですが、エネルギー安全保障の面からはNGです。木質燃料だけで暖をとれないと、意味がないからです。
もう1つは、「ペレットストーブが寒い」という声があることです。原因はわかっておりませんが、複数の方から聞きました。ので、使い方によっては何らかの課題が発生するのだろうと想像しています。石油ストーブに替えたら暖かくなったという声もあるので、燃やし方の上手下手が発生しやすいのか・・・。


ボクは薪ストーブに価値を感じます。しかし、今の生活で薪ストーブに熱源を頼ることは現実的ではありません。よって、自分の中で薪ストーブはあったらすごくいいね、という設備です。


(写真)ふわふわの雪。大きな結晶の形をした雪があったので、思わず撮影しました。早朝だけのドラマです。
薪ストーブだけで暖房する住宅。薪の投入量・ひと冬の必要量なども計算した上で無理のない範囲で火の面倒をみられるよう、断熱を強化して燃費をうんとよくしている。

カテゴリ:エコ化 |

コメント

まずは、窓のエコポイントの件は安心しました。
これでまた思案する事が増えそうです(^^;。

で、質問の件、お答え頂き有難う御座います。
二つの質問の答えの中で出てくるキーワードは、「エネルギー安全保障」と言う事の様ですね。
近い将来、家庭内蓄電と言う様な事が現実的になり、それと既に導入済みの太陽光発電と組み合わせれば、ペレットストーブでもその問題はある程度解決出来そうですね。勿論、ペレットと言わず薪なら一番なんですが、やはり薪の調達、保管、補給、煙突の設置、煙の問題で、ちょっと現実味は薄そうに思います。
ペレットストーブが寒いと言う話しは始めて聞きました。ただ、その辺りは設置熱量や使い方で何とかなるのかな?と思いますがどうでしょうか?
薪やペレットの場合は、林業の活性化、地方の地域振興、雇用創出、地域の自立等と言うと言う側面も有りそうでそちらにも少し注目しています。
エネルギー安全保障や、食料安全保障等の観点から行くと、我が富良野、北海道は将来有望かな?と、思ったりしています。

なべやん(2010-03-04T21:43)

ペレットストーブは薪ストーブ(すでに完成されている)よりもノウハウが必要のようです。白井の予測ですが、商品によっては多少くせがある、ということではないかな。オートマチックを期待するとはずれる場合がある。

そもそも、燃焼機器の燃焼効率とは80%前後をさかいにして、それ以上効率を高めるための技術開発は無意味だという説もあり、このあたりが開発において技術者が陥りがちなワナかもしれません。

林業や農業の価値を知るべきなのは、その担い手と地域だと思います。ところが残念なことに、担い手と行政が古い考えから抜け出せないケースが多く、地域を豊かにするための戦略を描ききれていない。
潜在的には「優位」にあるのに、国にすがっているだけの現状では「劣位」から抜け出せない。
そこを変えてほしいんですよ、高橋知事さん!!!そして北海道選出の議員さんたち。

まるへん(2010-03-05T08:29)

少し追加します。
>石油起源のエネルギーが手に入らない価格になっても、ボクのうちは暖かいので心配無用。いやあ、これってすごいエゴですね。

こう書きましたが、悪い意味ではありません。ボクは、生命や財産を守ることについて、国家に頼りすぎてはいけない。できるだけ自立しているべきだと思います。もちろん、国家がやるべきことはたくさんあるし、やらねばならないと思いますが・・・。
だからエゴ住宅はとても大切だと思います。昭和40年代まで電気がない家が北海道にはかなりあったのですよ。

まるへん(2010-03-05T13:48)

>潜在的には「優位」にあるのに、国にすがっているだけの現状では「劣位」から抜け出せない。
観光なんかでもそうだと思うんですが、潜在的な価値を見出して居る多くの観光客の価値観を、現場の方々は理解して居ないし、勘違いしているし、逆にそんな観光客を「物好き」扱いにしている。北海道に魅力を感じて移住して来た私なんかも物好きみたいですし(^^;。それでは先は無いです。
>昭和40年代まで電気がない家が北海道にはかなりあったのですよ。
ですが、その時代を経験している年代の方々が、今は一番エネルギーの浪費に無頓着だと思うのは私だけでしょうか?
昔に戻れと言う訳では無く、現代風にアレンジしたエコ生活ではないと現実的では無く、持続はしないように思います。
最低限のエネルギーを使いながらも、それを現代風に超高効率に使う事で、出来るだけ現代の生活水準を維持しながら省エネを図ると言うのが持続性と言う意味では大事じゃないかと思います。
なので、ペレットもただ燃やすだけではなく、もう少し先進的な工夫が欲しいですね。

なべやん(2010-03-05T21:52)

国やインフラに頼れない地域が昭和40年代まではあったのです。で、問題はそこからなのですが、
>その時代を経験している年代の方々が、今は一番エネルギーの浪費に無頓着
その通りだと思います。
ただ、その世代(そこで暮らした)人たちの心情もちょっとわかるんです。
B29におびえたり、寒さ(雪)におびえたりしながら生きてきたのです。
変えるのはその子孫のボクたち。それがまだできていないという点が問題です。
いやあ、自分自身の問題ですねこれは。がんばらねばならない。

最後にひと言。
世代と申しましたが、40代後半でもそういう生活を経験している人がいます。都市部以外は、そのくらいインフラ整備が遅れていたのです。

まるへん(2010-03-06T09:49)

>寒さ(雪)におびえたりしながら生きてきたのです。
この当りの事を書こうかどうか迷って長くなるので書きませんでした。スイマセン。
電気も無い厳しい生活の中、一生懸命生きて来た人達が、快適な生活を追い求める事で、死に物狂いで働き、技術革新され、生活水準が良くなった。その人達を責める気は有りません。
>国やインフラに頼れない地域が昭和40年代まではあったのです。
そうなんですよね。内地とは比べられない位北海道のインフラ整備は遅れていたのを、こっちに来て50代位の人に色々聞いて実感しています。
富良野の麓郷なんかでも、小水力発電等を地元の有志でやったと知りました。今はもう稼働していないのですが、今それを見直そうとしています。ただ、当時はその小水力発電で麓郷全体を賄えたのが、今では世帯数は減ったにも関わらず全く賄い切れないそうです。

なべやん(2010-03-06T11:22)

なべやんさん
ありがとうございます。説教がましいことを申しまして、こちらこそ失礼しました。
なべやんは平成の開拓者ですね。小生は開拓4世に当たります。
“物好き”のわれわれが北海道を引っ張りましょう。

まるへん(2010-03-06T12:00)

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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