2009年10月17日(10:04)

不便にも価値がある、という発想

国土交通副大臣である辻元清美氏のホームページをひょんなきっかけで見てみたら、10月14日のブログに
就任記者会見「交通基本法の次期通常国会提出をめざす」
というエントリーがありました。なぜいまころ就任会見?と思って読んでみると、おもしろいことが書かれていました。
以下引用です。

〈前段省略〉・・・「内需のエンジン」と位置づける観光についても「不便の価値を大事にする国交省」を提案。それぞれの地域のよさを海外に発信していき、そこに地方空港を活用していきたい。そして、ターゲットをしぼる。私が考えているのはアジア、とくに中国だ。現在は観光ビザの規制問題などがあり、一省だけで対応できることではないので、観光庁を中心に各省で連携して仕組みをつくっていきたい。〈続き省略〉

原文はこちら>>


091017tanada.jpg(究極の不便:棚田。1度は荒れた棚田の価値を見直し、現在はボランティア的に維持され、見学も多いという。at長野県飯田市)


ボクは「不便の価値を大事にする国交省」に注目しました。
北海道内の札幌以外の地域はもちろん、札幌だって首都圏から見れば地方であり不便な地域です。
それを便利な地域にかえてほしい、というのは地方に暮らすものにとって国への大きな期待です。交通網、通信インフラ、その他すべての面において「不便を便利に」というのが地方の要求です。
しかし、どんなに頑張っても東京近郊並みに便利になることなどあり得ないことも、本当はわかっています。
国は財政が厳しく、道路整備のお金が出てきません。この1ヵ年は補正予算でずいぶんにぎわいましたが、それも一瞬だということはわかっているのです。


加えてJALの経営問題。東京と地方を結ぶ航空路線を守ることは、正直かなり難しいでしょう。
これからは「不便なままの状態」でガマンしなければならないのです。


さあ、どうする北海道!?


やはり不便に価値を見いだすしかないのです。
北のはずれ、北海道には長い時間をかけて訪問する「価値」がある。
そういう提案方式への考え方の転換です。


国土交通省が不便をどう大事にしてくれるのかわかりませんが、そんなことより少しでも早く、自力で「不便の価値」を高めることに北海道および道民は全力を投じるべきです。おんぶにだっこではなく。
ANA系が札幌・丘珠空港から撤退すると表明して、札幌市などが引き留めをしていましたが、昨日の道新によると引き留めはムリという結論になったようです。
この問題でも、札幌市は丘珠を使ってくれという立場ですが、札幌と路線を持っている函館や稚内など5地域は千歳空港への移転に賛成です。
誰かの便利は誰かの不都合であり、両方の便利と利益を満足させることは現在、なかなか難しいのではないでしょうか。


091017furo.jpg(寒いフロにも価値がある。なぜならヒノキ風呂だから。)


「不便の価値」をうんと高める必要があるのは、観光や移住という集客型産業に限らないと思います。よくよく見直せば、ふだんのわたしたちの暮らしも「便利さ」のためにエネルギーをずいぶん使っていたり、「便利」な車に乗ってばかりで歩かなくなり、わざわざお金を出して運動したりといった、便利の「おつり」があるのも事実です。


すべての面で便利を求めるのではなく、一部には不便を残し、それを楽しむことも、この際重要だったりすると思いませんか。
ボクは「家は暖かく」が豊かさの基本だと思いますが、最近は「寒い家」にも価値があると見直しました。

カテゴリ:日記 |

コメント

その通りだと思いました。
「お金」がないのも不便なことなんですが
急激に増えるものでもないので
使い方を見直す時代なんでしょうかね?

kikuchi(2009-10-19T11:10)

頭ではわかっていても、子育て世代は金がかかる・・・。そう言ってしまう自分からまずは変わらないと。
難しい。

まるへん(2009-10-19T13:54)

コメント

PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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