2014年03月09日(16:37)

「北海道の家は長生きできる家だそうです」

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日本は世界でもっとも冬季の死亡率が高い国のひとつなのに、日本の中でいちばん寒い北海道が、日本の中で冬季の死亡率が低いのはなぜか。
世界的に見てもスウェーデンやノルウェー、フィンランドは北海道と同様に冬の死亡率が低く、地中海地方のポルトガルやスペインが高いのはなぜか。

北海道と同じ住環境が全国に普及したら、冬の死亡率を下げることができるのではないか。そういう視点が生まれています。
そして、健康や医療の行政をつかさどる厚生労働省を納得させるために、断熱住宅と冬の死亡率が関係していることを、医療の世界とと建築が一緒になって証明しようという動きが始まります。
国は「スマートウェルネス住宅」という言葉を使っていますが、要するに断熱住宅の経済的メリット、快適メリットに加え、健康維持メリットを立証資料という動きです。

昨日、3月8日(土)、札幌でシンポジウムが開かれ、活動の中心にいる一般社団法人健康・省エネ住宅を推進する国民会議の上原裕之理事長が「北海道の住生活の解明を全国が待っている。ぜひ、北海道の住生活のさらなる改善のために、調査を進めてほしい」とげきを飛ばしました。

このシンポを聞きながら、ボクはいろいろなことを考えていました。断熱住宅が健康にいいことは住んでいるボクたちが体感している。そしてそのことが、医療費・介護保険料の削減につながるなら、ボクたちのやってきたことはもっと評価されていい。高齢化の問題と深く関わっており、断熱住宅は高齢者福祉そのものでもある、といえるかもしれない。
が、しかし。
その証明は、徹底的にやる必要があるのだろうか? ある程度確からしいとわかった段階で政策を動かした方が、効率的なのではないかと。逆に言えば、建築の世界に対する世間の信頼はあまり高くないのかなあと。
もうひとつ。燃料費高騰によって、断熱した上で全室暖房を維持しない、換気をミニマムにして暮らすという動きが出てきている。そうすると、省エネは実現するが快適性と健康維持効果が若干下がる。そういう問題に直面しているエネルギー依存型の寒冷地・北海道としては、やや複雑な気持ちもある。

全国ニュースで「北海道の家は長生きできる家だそうです」と取り上げられれば、北海道の住宅改善が一気に進んだりして・・。

皆さんはどう考えますか?

カテゴリ:ie家 |

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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