2009年07月24日(19:08)

2人のくびちょう(首長)

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左上から時計回りに山崎教授、林教授、松岡町長、能登市長


◆トップリーダーらしいトップリーダーの話を聞くことができました。当社が受託した道内市町村職員さま向け政策情報誌「プラクティス」の創刊号の取材・編集作業が大詰めを迎えつつありますが、座談会はその中でもキモ。


◆今回は北海道大学・公共政策大学院の山崎教授をコーディネーターに、富良野市・能登市長、東川町・松岡町長、そして札幌学院大学・林教授というパネラー。
◆山崎先生は地方自治が専門。まだ若く、「自治の現場の声をどんどん吸収しよう」という意欲とともに、上手にテーブルをコントロールしていただきました。
◆林教授は実践の人だなあと思いました。これからの夏休み、インターンシップで学生を送り出し、視察にまわる。学生たちの「自治体職員ってやりがいがある仕事」という体験を職員の皆さんは刺激に感じて、市民とともに街をつくってほしいという趣旨の話をされていました。実践的大学教育の足元は力強い、と思いました。


◆すごかったのは能登市長と松岡町長です。市長・町長のことを首長(くびちょう)といいます。最初はとんでもない言葉だなと思いましたが、慣れてくるとなかなかにいい言葉です。そしてこのお2人は、まさに"くびちょう"さんでした。
◆能登市長は"おやじ"タイプです。すごいな、と思ったのは、毎冬、早朝から庁舎の除雪を1人でやっている職員を課長に昇格させたというのです。誰でもできそうなことは、実は誰にでもできることではないですよね。ボクも口だけで、自宅前の除雪すら、達成率3割程度です。それをやり遂げる方は突出しています。
しかし、そういう方を評価する上司はごく少ないのが世の常。「がんばっているね」「いつもありがとう」で肩をたたいておしまい、ではないでしょうか。
やった人間を評価する、という市長の方針で昇格し、建設課に回ったこの方は、今度は除雪を仕事とし、市民からの苦情を激減させたのです。さらに、市の除雪が入る前に自宅前の雪も道路に出してしまうという雪国の市民の悪しき習慣まで正しているというのです。これによって早朝の除雪がスピードアップし、道路は走りやすくなり、いいことずくめです。


◆松岡町長は以前、ある場でお話を聞いたことがあり、すごい人だと存じていました。今回ボクの記憶に残ったのは、「win winの関係」という言葉です。松岡町長はポジティブ思考の固まり。まさにTOC(制約条件理論)マネジメントを実践している方です。
「職員がやりたいと思ったことはやらせる。費用がかかってもそれ以上のリターンがあれば町民も納得する」「副町長を設置し2人配置、職員はペアで動く、人事のシャフルなどで刺激を与え続ける」。そして、「町村間の競争激化といわれているけれど、そうは思っていない。横の協力関係・ネットワークによってどっちも恩恵をこうむる関係をつくることができる」とおっしゃる。民間以上に民間の発想を持ったトップリーダーです。


◆このお2人の下で働く職員がうらやましい。きっと仕事はたいへんでしょうが、大きなやりがいを感じることができるはずです。今の時代、やりがいは何にも増して大切なことではないでしょうか。

カテゴリ:日記 |

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PROFILE

編集長 白井 康永

家づくりを変えたいという野望を持ち、北海道住宅新聞、札幌良い住宅jp を中心に、少子化の激流のなかでわれわれが日本を導きます.時にひょうひょうと(笑).
北海道・札幌市生まれ54歳。血液型O型.新卒1年、専門学校に通う娘たち、高校を卒業した息子あり. 休日にやってること:のろまジョギングとテレマークスキー.

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