新聞記事

2009年08月25日

震度6強で問題なし/防災科研・NEESWOOD

木造2×6で実大7階建て震動実験

20090825_01_01.jpg 独立行政法人防災科学技術研究所では、去る7月14日、木造建物の研究を行っているアメリカのプロジェクトチーム・NEESWOOD(ニースウッド)との国際共同研究の一環として、より地震に強い耐力壁や金物を採用したツーバイシックス工法による7階建て木造アパートの実大震動実験を兵庫耐震工学研究センターで実施。震度6強レベルの震動を与えたところ、損傷はほとんどなく、木造建物でも中高層化に十分対応できることが確認された。
 
(写真...兵庫耐震工学研究センターのE-ディフェンスで建てられたツーバイシックス工法による7階建て木造共同住宅)
 
木造中高層に朗報
 
 防災科学技術研究所(防災科研)と国際共同研究を行っているNEESWOODは、アメリカ国立科学財団のプロジェクトで、主に木造建物を研究しているチーム。今回の実験は1.大地震時における7階建て木造建物の耐震性能の検証 2.木造建物の中高層化の可能性を検討するための各種データ取得などを目的として実施したもの。実際に7階建て建築物の実大震動実験ができるのは、世界でも兵庫耐震工学研究センターにあるE-ディフェンス(実大三次元震動破壊実験装置)だけであり、実験当日は国内外から約500人が見学に訪れた。
20090825_01_02.jpg 建物は1階部分が鉄骨造、2~7階がツーバイシックス工法による木構造で、幅12.4m×奥行18.4m×高さ20.4m。全23戸の共同住宅で、各階床には生活状態を想定して家具と同じ程度の重さの錘(おもり)を設置しており、建物の総重量は約367tになる。
 木構造部分はツーバイシックススタッドとOSBで構成。耐力壁は日本のCN75相当の長さの釘を使うとともに、1本の釘で2面せん断となるミッドプライウォールを室内壁の一部に採用した。この耐力壁はスタッドの屋外側に構造用面材を釘打ちする通常の壁構成と異なり、スタッドを構造用面材の両側から平使いで重ね合わせるように釘打ちする。構造用面材を2本のスタッドでサンドイッチした形となり、通常の壁パネルより大きな耐力を発揮できるという。
 また、ミッドプライウォールを含む耐力壁にはATS(アンカー・タイダウン・システム)を設置。ATSはホールダウン金物の一種で、1階から7階まで連続したアンカーボルトで緊結することにより、耐力壁の浮き上がりを防止する。
 
(写真...ミッドプライウォールによる室内耐力壁。壁の右側を上下に貫通している金物がATS)
 
構造的な強度実証

20090825_01_03.jpg 実験では1994年1月にアメリカで発生したノースリッジ地震の時にカリフォルニア州カノガパークで記録した地震波の加速度を1.8倍に増幅し、建物を40秒間揺らしたところ、ほとんど損傷は見当たらず、構造の強さが証明された。今回の揺れは震度で言うと、6強に相当するという。
 実験を担当した防災科研・兵庫耐震工学研究センター契約研究員の清水秀丸氏は「ところどころで、石こうボードに亀裂が入ったり、釘が曲がったりした部分はあったが、構造的にはまったく問題なかった」と話す。また、個人的な感想としたうえで「木造であっても中高層建物の建設が可能であることが確認されたと思う。今後、防火や経年変化の問題が解決されれば、日本でも建設を検討すべきではないかと考えている。ただ、上階では家具の固定などが必須条件となりそう」と語っている。
 今後、清水氏を含めてこの実験に参加した日本側の研究者が在来・ツーバイを問わず、木造の中高層建物について研究を進める予定だ。
 
(図...ミッドプライウォールと一般的な耐力壁の構成)


2009年08月25日号から

7割強を改善指導~新足場対策に課題

20090825_02_01.jpg 厚生労働省北海道労働局は7月14日に道内17の労働基準監督署と支署を通じ、木造家屋建築工事を行っている道内の98現場で一斉パトロールを実施した。その結果、労働安全衛生法令などに基づき全体の約4分の3にあたる73現場で改善指導を行った。改善指導を行った割合は、昨年の66・4%から8ポイントも上昇しており、今年6月の労働安全衛生規則の改正が影響しているようだ。
 この一斉パトロールは毎年実施しており、法令に基づく安全な作業床の確保、手すりおよび中さん等の設置、安全な昇降設備の設置などの墜落防止対策、幅木などの設置による物体の落下防止対策ならびに木材加工用機械の安全点検が適正に行われているかなどの点検を行った。なお、足場が設置されていたのは98現場中94現場。
 もっとも多かった指摘が足場関係で70現場。これは足場を設置していた現場の約4分の3を占める。その次が躯体にかかわる指摘、電動丸のこ盤にかかわる指摘、その他の順。
 足場の指摘では、物体の落下防止のための幅木などの設置が不適切(50現場)、墜落防止のための手すりや中さんの設置が不適切(49現場)、足場の最大積載荷重の表示がされていない(31現場)などが多かった。上位2つは、6月の労働安全規則の改正がらみの指摘だ。
 道内の木造家屋建築工事における労働災害は、昨年1年間で死傷者160名、うち3名が死亡している。今年6月末時点での死傷者数は42名と昨年同期に比べて33%減少しており、死者は1名と昨年と同じだが、現場数が減っている中の結果なので安心できる数値ではない。
 今回の結果を踏まえ労働局では、工事が本格化する時期を迎えて違反箇所の改善だけでなく、より一層の労働災害防止対策を講じるよう関係団体に要請する。
 問い合わせは、同局労働基準部安全課(Tel.011・709・2311(代))。
 
 
(グラフ...足場に係わる指導の上位5項目)


2009年08月25日号から

住宅はどうなった?

取材ノート

 トヨタのプリウスが大人気だ。今契約しても納車は来年4月以降らしい。薄型テレビも好調だ。今年上半期の販売台数は前年比17%増だという。プリウスはエコカーへの買い替え補助金、薄型テレビはエコポイントによって、お買い得感が一気に高まった。それでは住宅はどうか。国は過去最大のローン減税をアピールした。中小業者で長期優良住宅を建てたら100万円補助する支援事業も行っている。だが、今年上半期の住宅着工数は目を覆うばかり。やはり数千万の買い物である住宅は車や家電と同じ感覚で購入できない。最大600万円のローン減税? 実際に600万円の減税措置を受けられる人はどれだけいるのか。10年経っても5千万円のローンがある人って一体...一般のサラリーマンでは想像もつかない。結局、最初から今年家を建てようとしていたユーザーが少し得をしただけで、需要の掘り起こしには結びついていないのではないか。(水越)


2009年08月25日号から

◆高性能に対するニーズはあっても...

◆高性能に対するニーズはあっても...
札幌市 工務店 社長
 
 住宅の性能が高ければ高いほどいいのは当たり前ですが、高性能な住宅ほどコストがかかるのも事実。そうなると高性能住宅はある程度所得の多いユーザーが主な顧客層となるわけですが、えてして所得の多い人は内外装や設備にお金をかけ、性能はあまり気にしません。一方、平均所得者層以下のユーザーは光熱費削減につながる性能アップに関心はあるものの、予算には余裕がありません。このような状況をなんとも歯がゆく感じるのは私だけではないでしょうか。
 
 
 
◆売上状況は深刻
札幌市 建材メーカー 所長
 
 道内の住宅着工が落ち込んでいますが、当社の住宅向け製品の売上げはさらに深刻で、市場シェアを落としてしまいました。他社に比べ新製品のPRがうまくないことは原因の1つだと思いますが、単価の高い新製品が出ても、お客さまに見ていただくご予算自体が変わらないこともあり、なかなか新製品への切替が進みません。今年度下半期に向け、何か手を打たなくてはならないと、少し焦り気味です。
 
 
 
◆ボタンの掛け違いがないように
札幌市 住宅会社 営業
 
 家を建てている最中の友人が、細かなことで夫婦が真っ向から対立しているそうです。奥さんから見るとご主人は自分が気になる部分は差額を出してでも良いものと考えるのに、つまらないところで数千円単位の費用削減をするとか、クロスの柄選びとか。新築の一軒家を建てると決めたときからボタンを掛け違った面もあるようです。家を建てると決める前に夫婦で相談することが何より大切ですし、それをアドバイスすることがお手伝いの第一歩かと思う今日このごろです。


2009年08月25日

高断熱ドア「スウェーデンドア」

熱貫流率(U値)=1W切る

ガデリウス

20090705_03_01.jpgガデリウス(株)が木質系断熱玄関ドアをモデルチェンジ。断熱性能や仕上げ面材の質感を大幅に向上させた。出荷は秋口から。
 新しいドアの名称は「スウェーデンドア」。現行品からの大きな改良点は1.断熱性能 2.調整丁番 3.木質面材の3つ。
 1.断熱性能は、芯材となる断熱材をウレタンに変更するなどにより、ガラス入りで熱貫流率(U値)0.94Wと1Wを切る高いレベルを達成。ガラスなしタイプならさらに高い数値。
 2.調整丁番については、新たに3次元丁番を導入した。上下左右に加えて奥行き調整もできるようになり、不具合がほとんどの場合解消できる。
 3.仕上げの木質面材については、とくにチークとパイン材の品質を大幅に引き上げた。また主力の94型はチーク、パインともに表面単板張りがぶ厚くなり、重厚感も増した。

(写真...左のパイン面材94(P)は標準で44万9000円(税別)、右がチーク面材の76W66(T))


☆ レビュー ☆
Keywords:木質、上質感、高断熱、耐久性、やや割高


その高級感に圧倒された

gade_tyouban.jpg展示会で初めて見た新製品は、立体感、金物の高級感、ドアとしての上質感が一目で感じられた。
まず、断熱性能については申し分ない。高断熱化についての要求が日本よりはるかに厳しいEU諸国で通用する性能だという。
調整丁番については、その場でほとんど場合直せるというのはありがたい。玄関ドアは建物の微妙な動きや湿度などによって建て付けに狂いが発生することがある。開け・締めがしぶいという不具合は、できるならすぐに解消してあげたいが、従来はドアの削りが必要になるなどなど時間がかかることもあったからだ。
木質面材については、発売元が言うように確かに最近は割れなどがあった。これは森林保護などの影響で良材の入手が難しくなったからという説明だったが、新製品は素晴らしい。特に面材の重厚さは一般消費者にもわかりやすい魅力だ。森林保護の問題も、違法伐採ではなく入手先の変更によるものだという。
(3次元丁番はカバーをはずすと調整メモリが現れる)


こだわる顧客も納得する
gade_94T.jpg金属製ドアの品質向上とフリーメンテによって、寒冷地といえども金属製ドアが徐々に増えている。当社も例外ではない。そういう中だから、木製ドアを選ぶ消費者はこだわりを持っているケースが多い。それは「木の温かみ」だったり「ホンモノの質感」だったりと言った付加価値の部分だ。建築側が薦める場合も、その理由は断熱性能やメンテさえすれば20年たってもガタがこない耐久性といった付加価値の部分。木製ドアはどちらかというとそういうこだわり派のための商材になりつつある。
今回のモデルチェンジは、そういった要望に見事にこたえていると思う。上質感はオーダードアにも劣らない。


できれば価格をもう少し抑えた商品も
だからといって、価格が高くていいということにはならない。豪華さまでは望まないけれど、木の持つ質感は大好き、という人たちのために、手に入れやすい価格帯の商品もラインナップされることを希望する。
北海道は基本性能重視なので、ぜひ定番商品を普及価格帯で残してほしい。
現在、12月引き渡しの物件において「スウェーデンドア」を採用する予定だ。来春には顧客の声も聞けることと思う。
(写真...94タイプはドア厚69mmの重厚な印象)


data
販売エリア:全国
商品問い合わせ:ガデリウス各営業所などへ(札幌=Tel.011・743・7710)。ホームページ
レビュー:札幌市 YY工務店代表 北海太郎


2009年08月15日号から

資料の提出漏れなくし書類は正確に作成1

技術的審査期間短縮のコツ

 長期優良住宅の認定に必要な技術的審査の遅れが、徐々に深刻さを増している。審査に時間がかかっているため着工見通しが立たないのはもちろん、特に国の100万円補助事業の対象として予定している物件では、早く補助金交付申請をしないと先着5000戸の枠が埋まってしまう恐れもあるだけに、不安を感じている住宅会社は多い。そこで道内の性能評価機関である北海道指導センターと(株)札幌工業検査に、審査期間短縮のためのポイントを聞いた。
 
着工の遅れは死活問題
 20090815_01_01.jpg長期優良住宅は、性能評価機関の技術的審査を受け、認定基準に適合していることを証明する適合証を交付してもらってから、建設地市町村に認定申請と確認申請を行い、認定証と確認済証が下りた後に着工となる。
 しかし、本紙調査によると技術的審査にかかる期間は、現時点で最大1ヵ月。それから認定申請や確認申請を行うとなると、技術的審査申請から1ヵ月半近くは着工できないことになり、「1ヵ月以上着工できないのは死活問題」と話す住宅会社もいる。
 ましてや国から100万円の補助が出る長期優良住宅普及促進事業は先着5000戸で補助枠が締め切られるだけに1日でも早く認定証と確認済証を受けて補助金交付申請を出したいところ。7月末現在で交付申請受理戸数は128戸と、余裕があるように見えるが、すでにエントリーした住宅会社は4900社を超えており、これから交付申請受理戸数は雪だるま式に増えていくことが予想される。

(写真右...道建築指導センター・松崎部長 左...札幌工業検査・渡辺部長)   

3つの要因重なり時間がかかる
20090815_01_02.jpg それではなぜ技術的審査に時間がかかっているのか。道建築指導センターの松崎健児審査部長は、「1.申請件数が増加している 2.耐震等級2(倒壊等防止。以下略)の審査がスムーズにいかない 3.不明点の確認や修正・訂正に時間がかかっている。この3つが重なっているため、審査に時間がかかっている」と言う。
 このうち申請件数の増加については、北方型住宅ECOと長期優良住宅普及促進事業にかかわる物件が目立ってきている。いずれも2月上旬には国に実績報告書を出さなければならないので、できれば年内には完成させたいところだが、工期3ヵ月とすると10月までに着工する必要がある。そうすると今の時期に審査や認定の申請を行っておかなければ、年内完成に間に合わない可能性がある。
 審査を依頼する性能評価機関は、住宅会社各社ともこれまでの仕事関係や手数料などを総合的に判断して決めると思うが、事前にどれくらいの審査期間がかかるのかを確認し、予定している着工時期に間に合うかどうか見極めることも必要になる。
 
(図...提出する設計内容説明書の耐震性に関する部分(札幌工業検査仕様)。仕様規定でチェックを行う場合は、計算書などの資料はもれなく提出する) 
 
構造計算のほうが早い
 耐震等級2の審査は、特に仕様規定のチェックで申請する物件で時間がかかっている。札幌工業検査(札工検)の渡辺克夫住宅性能評価業務部長は、「構造計算している場合は審査もスムーズだが、仕様規定による場合は横架材や基礎の断面寸法をチェックしていなかったり、計算書などの資料が足りなかったりするケースが目立ち、見るのに時間がかかる」と話す。
 また、道指導センターの松崎部長は「仕様規定の場合、日本住宅・木材技術センター発行の『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに記載してくれればいいが、一部変えて記載している物件もある。また、横架材や基礎の仕様がスパン表で確認できないプランもある」と言う。
 資料不足・確認不足が審査時間を長引かせるのと同時に、住宅会社の訂正・修正に時間がかかっているのが原因になっているようだ。
 構造計算のほうが審査が早いが、仕様規定による場合は、『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに仕様を確認するとともに、横架材や基礎のスパン表や計算書などの資料はすべて添付することが重要になってくる。
 なお、道建築指導センター・松崎部長は「等級2の適合確認を構造計算で行うのか、仕様規定のチェックで行うのかは早めに決めておいたほうがいい。構造計算にかかる費用が負担になる場合は、仕様規定でチェックし、スパン表で判断できない横架材と基礎の仕様だけ、構造計算するという方法もある」とアドバイスする。
 
 
続き:資料の提出漏れなくし書類は正確に作成2はこちら


2009年08月15日号から

資料の提出漏れなくし書類は正確に作成2

技術的審査期間短縮のコツ

土間床の仕様に注意
20090815_02_01.jpg 耐震等級2以外の基準に関しても、スムーズに審査してもらうために気をつける部分がある。
 例えば省エネ等級4(道内はQ値1.6W)の確認でQ値計算に室蘭工大・鎌田研究室が開発したQpexを使う場合、基礎断熱の住宅ではバージョン2ではなくバージョン1を使うこと。その理由として札工検・渡辺部長は「バージョン1では実質熱貫流率×基礎の周長という一般的な方法で基礎部分のQ値を計算しているが、バージョン2はどのようにQ値を計算しているのかを把握できないため」と話している。
 また、認定基準では劣化対策として床下空間の高さを330ミリ以上取ることとしている。一般的な床断熱や基礎断熱なら問題ないが、土間床仕様では注意が必要。土間スラブの上に根太を入れてから床を張る場合、根太間が床下空間と見なされてしまうからだ。土間スラブ上で330ミリ以上の高さを取るのは現実的ではないので、根太間に断熱材を入れるか、土間スラブに床下地合板を直張りすることになる。
 
(写真...熱損失係数(Q値)計算でQPexを使う場合はバージョン2ではなく、バージョン1を使う)
 
図面と計算書の食い違いなくす
20090815_02_02.jpg 不明点の確認や訂正・修正は、性能評価機関が"指摘事項"として連絡してくるが、それに対し翌日に対応できる住宅会社もあれば、1週間くらいかかる住宅会社もあるという。
 これらの対応が早いほど、審査期間の短縮につながるが、最初から修正・訂正等を少なくするため、申請書類や添付する図面は正確に作成したい。
 例えば記入間違いなどで注意するところとしては、1.荷重や耐力壁の配置、梁のスパンなどが図面と計算書で異なっていないか 2.間違った単位を使用していないかなどのほか、「依頼書で審査する項目にチェックを入れる際、各市町村が指定している審査項目をしっかり調べることも大切。多くの市町村は6項目の審査だが、札幌市は居住環境を除く9項目を審査するなど、全市町村が同じわけではない。また、住宅の専用面積は車庫やバルコニーを除いた数字を記入。階段部分の面積は書いていないケースも多いので、注意してほしい」(札工検・渡辺部長)としている。
 
(写真...技術審査依頼書でチェックを入れる審査依頼項目は、建設地市町村によって異なるので、事前によく確認する)


2009年08月15日号から

◆どうして料理しないのかなぁ?

◆どうして料理しないのかなぁ?
札幌市 工務店 女性営業
 
 モデルハウスのプランで、はやりのカウンターキッチンを入れることになりました。でも個人的には反対でした。油汚れが飛ぶし、見せたくないものもあるからです。そのことを知人に何となく話したら、「今どきは料理しない・コンロを使わない人が増えているからなあ」と言われ驚きました。料理しないならキッチンは家具そのものですね。家づくりに携わるものとして、この先に大きな不安を感じてしまいます。でもどうして料理しないのかなぁ...。
 
 
 
◆役員は動物がいい?
オホーツク 工務店 社長
 
 夏になれば少しはお客さんの動きも出てくるだろうと思っていましたが、そのアテも外れ、これからどうやって今年を乗り切っていこうかと思案中です。そこで一つ考えたのが、わが家の猫を取締役にする案。最近では猫を駅長にしたローカル線が人気になりましたし、先日見たテレビ番組では、ワニが専務になっている会社が業績好調だと紹介されていました。今やペットを飼いたくて家を建てる人もいるだけに、これは集客につながるかと。人件費?もかかりませんしね。
 
 
 
◆将来は棟梁か帳場か
札幌市 工務店 社長
 
 真面目で仕事熱心、モノづくりが好きで仕事に誇りを持っている、責任を自覚して仕上げるまでやり遂げる。そんな大工は会社の貴重な戦力です。若くてもそういう人材は時々います。大切に育てたいと思いますが、問題はその先です。腕はもちろん、工程管理能力やコミュニケーション能力を身につけて棟梁を目指すか、あるいは時には人に頭を下げたり、社外との連携、経営感覚を身につけ優秀な帳場になるか。いずれにしても若いうちに鍛えないとダメだと思っています。


2009年08月05日号から

情報管理のミスは一大事

 今や大手ハウスメーカーから中小住宅会社まで、パソコンによるデータ管理とインターネットによる情報発信・収集が当たり前。ただ便利になった一方、セキュリティ対策をしていなかったために想定外の事態が起こり、それが仕事の障害になったという例が意外と多い。ここではそのような事例をピックアップし検証した。
 
情報管理のNG/ユーザーに不安感
20090805_01_01.jpg 住宅会社はユーザーの個人情報として、住所・氏名・年齢・電話番号から勤務先、場合によっては年収など細かい部分まで知る立場にある。それだけに情報管理には慎重になる必要があるが、知らず知らずのうちにユーザーの個人情報を第三者に公開していることはないだろうか。
 ケース1...「商談中のユーザーに、これまでの施工事例の写真をパソコンで見せたが、事例を選ぶ時に使ったOB客の一覧表に、名前や住所、電話番号などもそのまま表示されてしまっていた」。
 このケースは担当者が無意識にパソコンの中の個人データを見せてしまったわけだが、商談中のユーザーとしては「自分の家と名前、住所もこのように他人に見られるのか」と、不安な気持ちになるかもしれない。自分がお客様だったらどう思うか、ユーザーの立場に立って考えるべきだろう。
 ちなみにある住宅会社では、同じデータでも社内用と社外用を用意し、商談などでユーザーなどに見せる社外用は、個人情報を削除しているという。
 
(図...ユーザーとの商談中に何も考えずOB客などの個人情報を見せてしまっていることはないだろうか。「自分の情報もこのように他人に見られるのか」とユーザーに思われたら、会社にとって大きなマイナスになりかねない)
 
 
無線LANのNG/パスワードが未設定
 社内のネットワーク用としてLANケーブルのほかに無線LANを併用している住宅会社もあるが、意外とパスワードなどのセキュリティを設定していないケースが目に付く。
 ケース2...「LANケーブルが邪魔になるので無線LANを導入したが、ある日、お客様が自分のノートパソコンを持って事務所に来た時、パスワードを入力しなくても無線LANにつながったのを見て、『セキュリティは大丈夫なの』と指摘された」。
 有線のネットワークと異なり、無線LANはパスワードなどのセキュリティを設定していないと簡単にネットワークにつながってしまう。セキュリティの設定方法は無線LANの機器のマニュアルに書かれてあるが、パソコンなどに慣れていない人にとっては難しく見えるので、ついつい何もしないままになっているということもあるようだ。
 しかし、そうなると事務所の外から無線LANにつながっているパソコンのデータが盗まれたり、データが消されたりする可能性もある。自社でパスワードなどのセキュリティを設定できなければ、社外の信用できる人間に設定を任せるといったことも検討してはどうか。
 
セキュリティのNG/添付ファイル届かず
20090805_01_02.jpg 有線にしろ無線にしろ、外部からネットワークに侵入されないよう、セキュリティ対策を施したとしても、その内容を自社で把握しておかないと、後から大変な目にあうこともある。
 ケース3...「ある情報機器関連会社にネットワークのセキュリティシステムを設定してもらったが、プレカット工場に図面データを電子メールに添付して送ろうとしたところ、何度やっても送れなかった。セキュリティレベルを高く設定したのが原因のようだが、これで1日無駄したあげく、メールが大嫌いになった」。
 仕事を安全に進めるためのセキュリティシステムが、逆に仕事の足を引っ張ったという例。このようにセキュリティレベルを高く設定した場合、電子メールに添付したデータの送受信ができなくなる可能性が高い。
 セキュリティシステムを依頼する際には、どの程度のレベルで設定するのかを相談し、問題が起こった時の対応方法についても事前に確認しておくことが大切。
 
(図...外部に社内のネットワークセキュリティを任せている場合、会社によってはセキュリティレベルが高すぎてファイルを添付した電子メールが送受信できないなんてこともある。セキュリティが仕事の妨げになったら本末転倒だ)


2009年08月05日号から

ここが変わった設計施工基準/陸屋根正式に認可

 保険法人ごとに微妙に異なっていた瑕疵保険の設計施工基準が7月1日から統一された。どの保険法人で瑕疵保険を申し込んでも、同一の基準で審査されるため住宅会社も対応しやすくなる。また、これを機に屋根まわりの基準が変わり、これまで北海道でのみ認められていた陸屋根が設計施工基準に掲載された。一方で、道内特有のM形無落雪屋根はこれまで存在した北海道版の仕様書を廃止し、設計施工基準第3条に基づき保険取扱いの確認書を発行することで対応する。
 
 
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2009年08月05日号から

原因は給排気筒養生/経産省が注意促す

20090805_03_01.jpg 住宅の外壁塗装工事で、ガス設備機器の給排気筒などを養生シートで塞いだままにしたことで起こる不完全燃焼や異常着火の事故が増えている。去る7月7日に経済産業省が旭川市内で開催した「第29回製品安全点検日セミナー」で報告された。同省では施工業者・ユーザーに注意を呼びかけている。
 問題になっているのは、ガス設備機器の給排気筒などが養生用のビニールシートで塞がれてしまうケース。給排気筒などが塞がれた状態でガス機器を使ってしまい、不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故や異常着火による機器の破損事故が一昨年から今年にかけて死亡事故1件を含む13件にのぼっている
 いずれも本州の事故だが、例えば今年6月に起こった一酸化炭素中毒事故では、中毒患者と思われる住民が病院に搬送されたと通報を受けたガス事業者が調べたところ、建物は外壁塗装工事中で、ベランダにある屋外式風呂釜の給気・換気口が養生シートで塞がれており、さらに居室の換気口も同じシートで覆われていたことが確認されている。
 また、今年3月に起こった強制給排気式ガス瞬間湯沸器の変形事故では、「機器使用中に大きな音がした」という通報を受けたガス事業者が調べたところ、機器の前面カバーが変形していた。この建物は塗装工事中で、塗装業者が給排気トップの給気部分を養生シートで塞いでいたため給気不足となり、異常着火したと推測される。
 経産省では、塗装工事業者などに対し、外壁塗装作業で養生、目張り、マスキングを行う際は、給排気部分を塞がないよう十分注意するとともに、やむを得ず給排気部分を塞ぐ場合は、その間のガス機器の使用禁止を住民に徹底してほしいと呼びかけている。
 また、居住者に対しても、外壁塗装の工事中も工事終了後も、給排気部分が塞がれていないことを確認してから、ガス機器を使用するよう呼びかけている。
 
 
(図...外壁塗装工事などで、このようにガス設備機器の給排気部分を養生シート等で覆ってしまったままガス機器を使用すると、一酸化炭素中毒事故や異常燃焼事故につながる可能性が高い)


2009年08月05日号から

瑕疵保険対応を確認/ゼオン化成

20090805_04_01.jpg ゼオン化成(株)が販売する樹脂サイディング「ゼオンサイディング」がこのほど、住宅保証機構の住宅瑕疵担保責任保険「まもりすまい保険」に通常通り申込み手続きできることが確認された。昨年6月2日の保険契約申込み受付分まで遡って適用され、今後も安心して使うことができる。また、他の保険法人も同様の扱いになる。
 ゼオンサイディングは塩化ビニール樹脂製の外装材で、施工はサイディング同士を重ね合わせ、シーリングを使わないオープンジョイント工法が特徴。各保険法人の標準となっている乾式外装材の施工基準は、通気胴縁を下地としたシーリングによる目地止め工法のため、ゼオンサイディングの扱いがどうなるのか、ユーザーから問い合わせもあったという。
 今後、ゼオンサイディングを同社の指定する施工方法で施工した場合は、設計施工基準第9条第2項二号(非通気構法の防水紙)、同第4項(シーリング)、第10条第1項(通気構法)、同第2項第一号(サイディング材)について適用が除外される。
20090805_04_02.jpg ゼオンサイディングのオープンジョイント工法については、通気胴縁を施工しなくても十分な防水性と排湿性があることが道立北方建築総合研究所(北総研)との共同研究により証明されている。
 保険申込みの際は同社が住宅保証機構から受けた「設計施工基準第3条に係る確認について」書類の写しを提出し、矩計図等にゼオンサイディングを用いることを明記すれば、通常の保険申込みと同様に扱われる。
 設計施工基準第3条に係る確認書類の入手、詳しい問い合わせは、同社建築材料部(Tel.03・5208・5134)。
 
 
(写真上...住宅保証機構の設計施工基準第3条の確認書  写真下...今年春発売の「ウインドロック240」)


2009年08月05日号から

住まい手目線こそ満足度向上のカギ/ウーマンズ・アイ Vol.3

北見・みゆき内装 山本美幸さん 一級表装技能士

20090805_05_01.jpg 「自分がお客様の立場だったら、どのように仕事すれば満足してもらえるか。いつもそのことを意識して作業しています」。そう話す山本さんは、常にユーザーの目線でどのように仕事をすればいいのかを考え、動いている。
 
(写真...山本美幸さん)
 
気軽な会話の中に安心感
 女性職人をほとんど見かけない内装工事業界に山本さんが入ったのは、北見での会社員時代に事務所の隣で家が一軒完成する過程を見て感動したのがきっかけ。「大工は力仕事があって女性には厳しそうだが、内装ならできると思い、この世界に飛び込んだんです」。
 そんな山本さんの現在の仕事はリフォームが中心だが、大切にしていることの一つが"お客様とのコミュニケーション"。ただ、それは根掘り葉掘り質問したり、踏み込んだ話をしたりということではない。
 「友達がクロスの張り替えに来た感じで、気軽にお客様と話をしていることが多いですよ」と言うように、多くは作業中に子供の話など雑談をする程度。リフォームでは奥さんが家にいる状態で仕事をすることがほとんどなので、「黙々と作業して緊張感を与えたり、聞かれたことしか答えないよりも、してほしいことや気になることなどを気軽に話してもらったほうが、安心して任せてもらえるんです」と言う。
 「小さい子供が工具に興味をもって触ろうとすることもありますが、コミュニケーションが取れていれば『ダメだよ』と注意しても、緊張した雰囲気になることもないですね」と山本さん。単に指定された材料をキレイに施工するだけではない、彼女ならではの仕事に対する姿勢がそこに感じられる。
 
効率よりも気配りが大切
20090805_05_02.jpg もう一つ、山本さんが大切にしていることに女性ならではの"細やかな気配り"がある。
 例えば、内装工事に限らず、住宅の施工現場では効率を重視し、掃除も仕事が終わってから最後にやればいいと考えがちだが、「最後に掃除すればいいというのはこちらの都合。お客様は仕事中もキレイにしてほしいと思うのでは」と話す。
 また、「リフォームで自分がその家の奥様だったら、キッチンからトイレまでの動線をよく使うので、その部分の作業を最初に済ませてから他の部分に取りかかるようにする」など、ユーザーの立場に立って仕事を考えることを忘れない。
 「もともと絵を描いたり、工作をするのが好きだったんです。塗り壁やクロス貼りはその延長のようなもの。それでもお客様が求めるクオリティに100%応えられているわけではないので、まだまだ勉強中です」と笑う山本さん。
 住宅市場が冷え込む中、一番やりたいという塗り壁仕上げの仕事にはなかなか恵まれないというが、「多くのユーザーから"あなたに頼んで良かった""と言ってもらえること」を目標に、自分のスタイルを磨き続けている。
 
(写真...塗り壁の施工に集中する山本さん。「お客様が求めている柄や仕上がりを表現できれば、こんなに素晴らしいことはない」と言う)

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2009年08月05日号から

◆補助金より理想のわが家

◆補助金より理想のわが家
道北 工務店 専務
 
 最大200万円の補助金が出る北方型ECOに当社も参加していますが、実際に物件が決まるまで2人のお客様から「補助金はいらないから自分たちが欲しい家を建てて欲しい」と言われました。長期優良住宅認定基準の耐震等級2をクリアしようとすると、大空間や吹き抜けは造りづらくなり、プラン上の制約がかなり出てくるからです。こちらもお客様の満足度が低い家は建てたくないですから、補助金より理想のわが家を選んだ決断には拍手を贈りたいですね。
 
 
◆常に差別化と価値創造を
東京 建材メーカー 部長
 
 新分野の建材を売り込んでも、少し売れてくると他社も営業力を付けてきて値段競争になりがちです。それを避けるためには、常に新しい付加価値を見つけるか、創り出していかなければなりません。部下には、「スーパーがある中で、どうして米屋の存在価値があるかわかるか?」と話しています。私自身走り回って、全国各地の研究者とコンタクトを持ち、当社の建材にどんな価値があるのか共同研究で明らかにしています。
 
 
◆モデルハウスは極端な提案を
札幌市 住宅会社 部長
 
 エンドユーザーから嫌がられる可能性のある斬新な間取り、インパクトの強い建材の採用、コンセプトを全面に出したようなモデルハウスは、我々にとってなかなかやりにくい面があります。でもやってみると意外といいですね。お客さんの反応がはっきり分かりやすいし、嫌なら嫌で、どんな家が好きか話を深めることができ、別のプランを提案できます。総合点で80点位の無難なモデルハウスが一番つまらなく、受注に結び付かないのではと思いました。


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