新聞記事

2009年08月15日号から

資料の提出漏れなくし書類は正確に作成1

技術的審査期間短縮のコツ

 長期優良住宅の認定に必要な技術的審査の遅れが、徐々に深刻さを増している。審査に時間がかかっているため着工見通しが立たないのはもちろん、特に国の100万円補助事業の対象として予定している物件では、早く補助金交付申請をしないと先着5000戸の枠が埋まってしまう恐れもあるだけに、不安を感じている住宅会社は多い。そこで道内の性能評価機関である北海道指導センターと(株)札幌工業検査に、審査期間短縮のためのポイントを聞いた。
 
着工の遅れは死活問題
 20090815_01_01.jpg長期優良住宅は、性能評価機関の技術的審査を受け、認定基準に適合していることを証明する適合証を交付してもらってから、建設地市町村に認定申請と確認申請を行い、認定証と確認済証が下りた後に着工となる。
 しかし、本紙調査によると技術的審査にかかる期間は、現時点で最大1ヵ月。それから認定申請や確認申請を行うとなると、技術的審査申請から1ヵ月半近くは着工できないことになり、「1ヵ月以上着工できないのは死活問題」と話す住宅会社もいる。
 ましてや国から100万円の補助が出る長期優良住宅普及促進事業は先着5000戸で補助枠が締め切られるだけに1日でも早く認定証と確認済証を受けて補助金交付申請を出したいところ。7月末現在で交付申請受理戸数は128戸と、余裕があるように見えるが、すでにエントリーした住宅会社は4900社を超えており、これから交付申請受理戸数は雪だるま式に増えていくことが予想される。

(写真右...道建築指導センター・松崎部長 左...札幌工業検査・渡辺部長)   

3つの要因重なり時間がかかる
20090815_01_02.jpg それではなぜ技術的審査に時間がかかっているのか。道建築指導センターの松崎健児審査部長は、「1.申請件数が増加している 2.耐震等級2(倒壊等防止。以下略)の審査がスムーズにいかない 3.不明点の確認や修正・訂正に時間がかかっている。この3つが重なっているため、審査に時間がかかっている」と言う。
 このうち申請件数の増加については、北方型住宅ECOと長期優良住宅普及促進事業にかかわる物件が目立ってきている。いずれも2月上旬には国に実績報告書を出さなければならないので、できれば年内には完成させたいところだが、工期3ヵ月とすると10月までに着工する必要がある。そうすると今の時期に審査や認定の申請を行っておかなければ、年内完成に間に合わない可能性がある。
 審査を依頼する性能評価機関は、住宅会社各社ともこれまでの仕事関係や手数料などを総合的に判断して決めると思うが、事前にどれくらいの審査期間がかかるのかを確認し、予定している着工時期に間に合うかどうか見極めることも必要になる。
 
(図...提出する設計内容説明書の耐震性に関する部分(札幌工業検査仕様)。仕様規定でチェックを行う場合は、計算書などの資料はもれなく提出する) 
 
構造計算のほうが早い
 耐震等級2の審査は、特に仕様規定のチェックで申請する物件で時間がかかっている。札幌工業検査(札工検)の渡辺克夫住宅性能評価業務部長は、「構造計算している場合は審査もスムーズだが、仕様規定による場合は横架材や基礎の断面寸法をチェックしていなかったり、計算書などの資料が足りなかったりするケースが目立ち、見るのに時間がかかる」と話す。
 また、道指導センターの松崎部長は「仕様規定の場合、日本住宅・木材技術センター発行の『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに記載してくれればいいが、一部変えて記載している物件もある。また、横架材や基礎の仕様がスパン表で確認できないプランもある」と言う。
 資料不足・確認不足が審査時間を長引かせるのと同時に、住宅会社の訂正・修正に時間がかかっているのが原因になっているようだ。
 構造計算のほうが審査が早いが、仕様規定による場合は、『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに仕様を確認するとともに、横架材や基礎のスパン表や計算書などの資料はすべて添付することが重要になってくる。
 なお、道建築指導センター・松崎部長は「等級2の適合確認を構造計算で行うのか、仕様規定のチェックで行うのかは早めに決めておいたほうがいい。構造計算にかかる費用が負担になる場合は、仕様規定でチェックし、スパン表で判断できない横架材と基礎の仕様だけ、構造計算するという方法もある」とアドバイスする。
 
 
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