住宅に通気層が必要な理由
現代の高断熱・高気密住宅は、住宅の壁・屋根などの内部に、室内側からの水蒸気、屋外からの雨水侵入を防ぐように配慮されています。しかし、特に壁内への水蒸気侵入を100%防ぐのは困難ですし、実際に壁内や屋根の中に水蒸気が侵入した際には、木造住宅であれば構造躯体の柱・梁・面材などの木材を濡らし、木材を腐らせ住宅の寿命を短くしたり、断熱材も濡らし断熱性能を低下させ、光熱費負担も増やす恐れがあります。
そこで、住宅の壁や屋根には、壁内の水蒸気を屋外に排出するために、断熱材の外側に通気層を設けることが省エネルギー基準で義務づけられています。
屋根断熱の通気層は要注意
近年、屋根断熱を採用する住宅が増えています。斜め天井はデザイン的に魅力があり、2階の空間を広く活用でき、吹き抜けやロフトにも活かせるといった理由が大きいと思います。この場合、屋根の部分にも通気層の確保が必要で、壁と同様に内部結露の問題が生じるうえに、屋根内部の結露は、家に暮らしている方が雨漏りと誤解し、心配のあまり大きなクレームにも発展しかねないデリケートな部分です。
また実際に屋根まわりの木材が腐ったりすると雨漏りの原因になる場合もあります。屋根の通気層については「屋根通気」、「小屋裏換気」という呼び方もされています。
屋根断熱の通気層施工について
屋根断熱の通気層を確保するための工事は、高所での作業という意味で転落などの危険防止、安全性確保の問題、そして、上を向いての作業になるため、作業手間、負担の大きさ、施工精度の改善が現場での課題になっていました。
この問題を解決するため、日本住環境㈱は屋根通気層保持材「ルーフスペーサー」を使った新しい屋根断熱・通気工法を2012年に開発。
以来、安全性が高く、施工手間を劇的に削減し、大幅なコストダウンにつながる、屋根断熱の可能性を広げる新工法として、全国各地のハウスメーカー、住宅会社などでの採用が増えています。
ルーフスペーサーを採用した住宅会社の体験談を3件ご紹介します。
北海道・恵庭市のA工務店の場合
当社は札幌圏で多くの住宅会社が採用する二重たる木工法を採用しており、建坪20坪で4寸勾配屋根の屋根通気層を施工するのに、大工3人で10時間かかっていました。そこで、日本住環境の屋根通気層保持材「ルーフスペーサー」を使う新工法を採用したところ、大工1人で1時間半ほどで施工終了できました。施工を担当した大工はルーフスペーサーを使うのが初めてでしたが、施工面では無理なく対応できました。
材料費を比較すると、従来の工法では約10万円。ルーフスペーサーで施工した場合は約3万5千円で65%のコストダウンになりました。また施工手間=人件費は95%節約できました。材工で合わせてコスト比較すると約75%のコストダウンになりました。
宮城県のB工務店の場合
「展示会でルーフスペーサーのことを知り、屋根断熱の現場で試しに使ってみた。タッカー留めなので施工が速いし、部材同士も連結しやすい。壁よりも施工が面倒な屋根断熱を安全に施工できるのも良い。詳細な計算はしていないが、トータルでコストダウンになっていることは間違いない。何よりこの忙しい時期に、大工が『楽できる』と喜んでくれるのがうれしい。今後も使用していく」関東のC工務店の場合
「試験的に2棟ほど使ってみた。工程が単純化されるので施工会社から『施工しやすいし、大幅な時間短縮につながる』と好評だった。当社は断熱工事を外注しており、今後も使用するには標準工法を変更することになる。施工会社と相談したい」施工の解説動画もあります。
屋根断熱の通気層を簡単に確保できる屋根通気層保持材ルーフスペーサー施工説明
ルーフスペーサーを野地板側に向け、垂木間にはめ込み、端部は室内側に折り曲げます。

ルーフスペーサーはタッカーで留めつけてください。

ルーフスペーサーは凹み部分にもタッカー留めができます。

連続してルーフスペーサーをはめ込みます。

凹凸部分を重ね合わせてはめ込みます

ルーフスペーサー落下防止のため、タッカーでしっかり留めつけます。

折り曲げる時に凸部分が干渉する場合、逆側に押し込んでください。

連続して使用する場合は、必ず凹凸部分を重ね合わせてください。

棟木や転び留めとの取り合いは、ルーフスペーサーを折り曲げ、タッカーで留め付けます。

ルーフスペーサーは、カッターで簡単にカットできるため、サイズ調整も容易に行えます。

カットすることにより、狭小部分などにもはめ込むことができます

ルーフスペーサーの施工完了

次に断熱材(ウレタン吹きつけ)を施工します。

ウレタン吹きつけ以外に、グラスウールなど、さまざまな断熱材に使用できます。

流線型のモーグル(こぶ)が、屋根通気層30ミリを確保し、空気の流れ道をつくります

ルーフスペーサーの透湿性はトップクラス!JIS基準値の1.8倍です。

ルーフスペーサーは様々な断熱材に使用でき、ハイスピード施工を実現します。
屋根通気層確保の二種類の施工法
屋根充てん断熱の際の通気層は、たる木または登り梁に断熱材を全充てんし、野地板を張った上から通気たる木を乗せる二重たる木工法と、構造たる木または登り梁の間に通気層を確保する工法に大きく二分されます。 札幌圏の工務店は二重たる木工法を採用する例が多く、これは野地合板を2倍使っても屋根上での作業の安全を優先したいという考えが背景にあります。ただし、木材も含めコストが上がるという課題があります。一方、たる木間の通気層は、材料にムダは発生しないが屋根上に安全な足場がなく、透湿・防風シートの施工性に難があります。
ルーフスペーサーを使う工法は?
ルーフスペーサーを用いた屋根通気層施工も、たる木の間で通気層を確保するやり方です。ルーフスペーサーには透湿・防風シートと同等以上の透湿性や耐水性があるため、透湿・防風シートの施工を省略できます。施工は野地板を張ったあと、室内側からルーフスペーサーを屋根たる木間に納めてタッカーで3点止めし、断熱材を納めるだけで完成します。
素早く簡単に施工できる
室内側からすべて施工できること、固定方法がタッカー止めで簡易なため、熟練していない大工でも安全に素早く施工できるのが特徴です。 ルーフスペーサー同士の連結は、同社が「モーグルフォーム」と呼ぶ、コブ状の突起を重ね合わせるだけなので素早く作業できます。ルーフスペーサーは、PET樹脂素材を使った長方形の部材で、高さ35㎜の突起「モーグルフォーム」がつけられています。たる木間に納めたときにこの部分のすき間が通気層となります。透湿性能は透湿・防水シートのJIS基準値に比べて1.8倍もあり、断熱材内の湿気を素早く屋根通気層に排出できます。素材の特性で耐水性が高いのも特徴です。
お問い合わせは各事業所までお願いします。
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