新聞記事

2009年08月05日号から

情報管理のミスは一大事

 今や大手ハウスメーカーから中小住宅会社まで、パソコンによるデータ管理とインターネットによる情報発信・収集が当たり前。ただ便利になった一方、セキュリティ対策をしていなかったために想定外の事態が起こり、それが仕事の障害になったという例が意外と多い。ここではそのような事例をピックアップし検証した。
 
情報管理のNG/ユーザーに不安感
20090805_01_01.jpg 住宅会社はユーザーの個人情報として、住所・氏名・年齢・電話番号から勤務先、場合によっては年収など細かい部分まで知る立場にある。それだけに情報管理には慎重になる必要があるが、知らず知らずのうちにユーザーの個人情報を第三者に公開していることはないだろうか。
 ケース1...「商談中のユーザーに、これまでの施工事例の写真をパソコンで見せたが、事例を選ぶ時に使ったOB客の一覧表に、名前や住所、電話番号などもそのまま表示されてしまっていた」。
 このケースは担当者が無意識にパソコンの中の個人データを見せてしまったわけだが、商談中のユーザーとしては「自分の家と名前、住所もこのように他人に見られるのか」と、不安な気持ちになるかもしれない。自分がお客様だったらどう思うか、ユーザーの立場に立って考えるべきだろう。
 ちなみにある住宅会社では、同じデータでも社内用と社外用を用意し、商談などでユーザーなどに見せる社外用は、個人情報を削除しているという。
 
(図...ユーザーとの商談中に何も考えずOB客などの個人情報を見せてしまっていることはないだろうか。「自分の情報もこのように他人に見られるのか」とユーザーに思われたら、会社にとって大きなマイナスになりかねない)
 
 
無線LANのNG/パスワードが未設定
 社内のネットワーク用としてLANケーブルのほかに無線LANを併用している住宅会社もあるが、意外とパスワードなどのセキュリティを設定していないケースが目に付く。
 ケース2...「LANケーブルが邪魔になるので無線LANを導入したが、ある日、お客様が自分のノートパソコンを持って事務所に来た時、パスワードを入力しなくても無線LANにつながったのを見て、『セキュリティは大丈夫なの』と指摘された」。
 有線のネットワークと異なり、無線LANはパスワードなどのセキュリティを設定していないと簡単にネットワークにつながってしまう。セキュリティの設定方法は無線LANの機器のマニュアルに書かれてあるが、パソコンなどに慣れていない人にとっては難しく見えるので、ついつい何もしないままになっているということもあるようだ。
 しかし、そうなると事務所の外から無線LANにつながっているパソコンのデータが盗まれたり、データが消されたりする可能性もある。自社でパスワードなどのセキュリティを設定できなければ、社外の信用できる人間に設定を任せるといったことも検討してはどうか。
 
セキュリティのNG/添付ファイル届かず
20090805_01_02.jpg 有線にしろ無線にしろ、外部からネットワークに侵入されないよう、セキュリティ対策を施したとしても、その内容を自社で把握しておかないと、後から大変な目にあうこともある。
 ケース3...「ある情報機器関連会社にネットワークのセキュリティシステムを設定してもらったが、プレカット工場に図面データを電子メールに添付して送ろうとしたところ、何度やっても送れなかった。セキュリティレベルを高く設定したのが原因のようだが、これで1日無駄したあげく、メールが大嫌いになった」。
 仕事を安全に進めるためのセキュリティシステムが、逆に仕事の足を引っ張ったという例。このようにセキュリティレベルを高く設定した場合、電子メールに添付したデータの送受信ができなくなる可能性が高い。
 セキュリティシステムを依頼する際には、どの程度のレベルで設定するのかを相談し、問題が起こった時の対応方法についても事前に確認しておくことが大切。
 
(図...外部に社内のネットワークセキュリティを任せている場合、会社によってはセキュリティレベルが高すぎてファイルを添付した電子メールが送受信できないなんてこともある。セキュリティが仕事の妨げになったら本末転倒だ)


試読・購読のお申し込みはこちら 価値のある3,150円


関連記事

powered by weblio


内容別

月別

新着記事