新聞記事

2009年05月25日号から

火災・地震保険料改定へ

1年以内、早ければ年明けにも

 損保各社の火災保険と地震保険の料率改定が来年早々にも始まる見通しだ。損害保険の料率算出団体である損害保険料率算出機構(損保料率機構)が金融庁に届け出ていた火災・地震保険の構造区分等の変更が先月30日に告示されたことにより、ALCやレンガ外壁で準耐火・省令準耐火以外の木造住宅などは、火災・地震ともに一般の木造住宅と保険料は変わらなくなり、実質値上げとなる。
 
ALC木造の一部値上げ
 今回、損保料率機構が変更を行ったのは、火災保険参考純率と地震保険の基準料率の構造区分。現在、火災保険はA~Dの4つの構造区分、地震保険はイまたはロの2つの構造区分に分かれており、各構造区分に応じて保険会社は保険料率を定めている。例えば火災保険の料率は、RC造などの耐火構造が該当するA構造が最も安く、D構造が最も高い。
20090525_01_01.jpg 現在の構造区分は外壁や主要構造材の材質・仕様によって定めているが、ここ数年、複雑な構造の増加や新建材の普及などに対応できず、適切に構造区分を判断できないケースが出ていた。そこでわかりやすいよう、変更後の構造区分は納税や不動産取引で用いられる「建物の種類」と建築基準法上の「建物の耐火性」により定めている。
 具体的に火災保険は、A~Dの4構造区分からM・T・Hの3構造区分に変更となり、料率はA構造がM構造に、B構造がT構造に、C・D構造がH構造に該当することとなった。
 ところがこれにともない、現在の構造区分で2番目に保険料が安いB構造に該当するALC・レンガ外壁などの木造住宅は、準耐火・省令準耐火でなければ最も保険料が高いH構造へと変更。これまでは「ALC外壁は火災保険料が安くなる」とユーザーにアピールできたが、今回変更された構造区分が保険会社の商品に反映されれば、準耐火・省令準耐火にしない限り、保険料は一般の木造住宅と変わらなくなることに注意したい。
(図...今回変更となった火災保険の構造区分)
 
省令準耐火は地震保険安く
 地震保険は、現在の構造区分で保険料が高いロ構造に該当する省令準耐火の建物が、保険料の安いイ構造に変更となる。ツーバイフォー工法の場合、省令準耐火がほとんどなだけに、これはメリットがありそう。
20090525_01_02.jpg 一方、火災保険と同様に、ALC・レンガ外壁などの木造住宅は、準耐火・省令準耐火でなければイ構造からロ構造に変更となる。
 現在、保険会社の火災保険の料率は、保険金部分のみにかかる純保険料率と自社の経費などにかかる付加料率を合わせて独自に設定しているが、地震保険は同機構会員の保険会社すべて同機構の算出した基準料率を適用。今回の構造区分変更も全社が適用すると、例えば省令準耐火の住宅は44~58%の保険料引き下げ、逆に準耐火・省令準耐火以外のALC外壁の木造住宅は29~30%の保険料引き上げとなる。
 今回の構造区分等の変更を受けて、保険会社各社はいつから自社商品の改定を行うのか。同機構会員の保険会社に問い合わせたところ、「来年1月に今回の変更内容を反映させた新商品を発売する予定。地震保険については損保算出機構の基準料率を利用する」(A社)、「時期は公表できないが、損保算出機構で行った料率の変更等は基本的に1年以内に自社商品に反映している」(B社)、などと回答。
 過去の例から見て、今回も今後1年以内に各社の対応商品が出揃うと予想される。
(図...今回変更となった地震保険の構造区分)


2009年05月25日号から

換気低下5つの課題5/耐久性が重要なワケ

高性能住宅Q&A

20090525_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。第1回~4回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するか、落ちた換気量は回復するのか、住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないか、などについてみてきました。
 1号お休みして今回は5つの課題の最後、換気メーカーは10年後を考えて商品を提供しているか、という点について考えてみたいと思います。
 多少、背景を説明したいと思います。換気システムが普及しはじめた当初、「A製品は風量を確保できるがB製品は風量が少ない」ということがありました。なぜ風量が少ないことがわかったかといえば、北海道のような寒冷地で住宅の気密性が高いと、換気不足で結露が起きるからです。
 その後、換気設備の設置が義務化され、ひどい換気不足が起きる例は少なくなりました。それは義務化のよい面だと思います。ところが義務化によって換気を選ぶ際のポイントは性能から価格に変わってしまいました。"基準をクリアできる性能でいかに安いか"。これが命題となったため、多くの換気メーカーは「性能クリア、かつ価格引き下げ」が開発目標になってしまったのです。
 もちろん技術革新によって改良が実現した部分もあるとされています。省電力技術などです。しかし、もともとハイテクではない換気システムにとって、技術革新はそうないといわれています。ではコストダウンはどう実現したか。耐久性は犠牲にされていないか。そうだとしたら住宅会社はどう対応したらよいか。
 また、機械そのものの耐久性が高くても交換部品がなくなることで、10数年後に事実上、使えない換気になりかねないケースもあります。
(図...換気の課題~解決への一例)
 
 前書きが長くなったのは意味があります。というのは、「耐久性が犠牲になっている可能性」や「交換部品がないため10数年後には使えない換気になりかねない」といったことを、住宅会社側が知っておくべきだと思ったからです。
 受注競争が激しい中で、換気の原価を引き上げることは難しいかもしれません。しかし、寒冷地において換気はクレームと密接にかかわる大切な機能です。
 換気が悪くなると結露するのは、高気密住宅の宿命です。だから、住宅販売側として換気性能が長期にわたって維持されていることが大切なのだと思います。
 20数年前からA社の機械換気を標準で装備している工務店社長に何となく「どうしてずっと標準装備しているのか、なぜA社なのか?」と尋ねたことがあります。その答えは、「確実に換気量が確保される、施工後にクレームで呼びつけられない」でした。
 定期点検の実施によって、こういう問題は避けられるかもしれません。その点検を実施するための原資(人件費)は、点検によるリフォームの掘り起こしによって出てくるかもしれません。この機会に検討してみてください。
 
 次回はこれまで見てきた5つの課題をそのまま換気メーカーなどにぶつけてみました。その答えです。


連載ページ
1.1年で10%程度低下
2.掃除で換気量回復
3.数年後も風量維持
4.ご主人に説明する
5.耐久性が重要なワケ
6.機能と価格をしっかり選ぶ
7.まとめ

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2009年05月25日号から

知識不足が招く「共犯」関係

吉村氏 換気の冊子を出版

20090525_03_01.jpg フランス・アルデ社の換気システムを販売する(株)アルデエンジニアリング社長の吉村孝之さんがこのほど、健康と空気の関係、そして換気の大切さを1冊の本にまとめて出版した。
 専門的な内容を避けてエンドユーザーにもわかりやすく書かれており、「換気選びはぜひ住み手が」という吉村さんの思いがにじむ。
 換気や気密材などを通じてこれまで北海道とのつながりも強い同氏に、出版の意図と伝えたいことを聞いた。
 ―換気への関心が低下していると言われるこのタイミングで、何を伝えたかったか
 「換気の仕事を18年間やってきて思うのは、住宅会社もエンドユーザーも換気に関して残念ながらよくわかっていないということです。
 住宅会社はユーザーに換気の必要性や目的をうまく説明できません。それなら、ユーザーにわかりやすい、換気の大切さを伝える資料が必要だと思ったのが始まりです。
 シックハウス対策が深刻だったころ、換気はとても注目されました。しかしその後の機械換気の義務化によって効能より低価格が優先され、さらに現在は省エネが優先されるかのような時代の空気です。確かに家の中からホルムアルデヒドは少なくなりました。しかし"におい"はなくなりませんし、CO2濃度も結露原因となる湿気も、ほかのVOC20090525_03_02.jpgも少なくなったわけではありません」
 「とくに気をつけてもらいたいのは"におい"です。においはわかりやすい空気汚染のサインですが、人は同じにおいをかぎ続けると、そのにおいだけを感じなくなってしまいます。これを『臭覚疲労』といい、自分の家が換気不良でも家族は気がつかないということが起きるわけです。
 この習慣性の現象を、わたしは『臭感(しゅうかん)疲労』と名づけました。臭感疲労は、においというストレス原因から無意識のうちに逃げようとする反応です。ユーザーにこういったにおいやカビといった身近なことから知ってほしかったのです」
 ―一般的には、換気設備は住宅会社が決めるケースが多いはず
 「その通りです。しかし、毎日吸う空気はユーザーが決めるべきです。きれいな空気を吸いたければ、どういうシステムがいいのか、家族の健康と財産を守るには何を選べばよいかを勉強して見つけてほしいのです。
 日本で売られている9割の住宅は断熱・気密・換気・暖房のバランスが崩れています。欠陥住宅とまで言えないこれらの住宅を買った側は知識不足で、それが不十分な家づくりを許す結果となっている。その意味では共犯者のような関係です」
 ―手厳しい話です。ところで結論は我田引水ではありませんか
 「そんなことはありません(笑)。私は第3種ダクトセントラル式がいいと思っていますが、もっと大切なのは、全体予算の1%程度の費用なら、エンドユーザーはきれいな空気を希望するかもしれない。また熱回収という言葉に過度の期待をしているかもしれないということです」
 
(写真上...著者の吉村さん 写真下...著書「無呼吸症の家に住むのは怖い」)


2009年05月25日号から

◆最近のお客さんはわからない

◆最近のお客さんはわからない
札幌市 工務店 社長
 お客さまのホンネがわからない。最近営業していてそう思います。言ってることが支離滅裂なことがあるからです。他社の社長から聞いた話では、頭金1,000万円で住宅を建てると契約したお客さまが、いざ支払い時になってから「サラ金の借金があって頭金を全額払えない」と言ってきたそうです。その会社はいろいろ悩んだあげく、契約を破棄して違約金を請求したそうですが、お客はどうしてそんな状態で頭金を払えると言ったのか不思議でなりません。
 
 
◆灯油ボイラーの燃焼音にビックリ
旭川市 工務店 専務

 お客様のニーズがオール電化に集中していることから、ここ数年、灯油の暖房・給湯はまったく採用してなかったのですが、先日オーナーの要望で久々に灯油の暖房・給湯システムを採用しました。そして実際にボイラーを運転したら、燃焼音がうるさくてビックリ。すっかりオール電化の静けさに慣れていたことに気付きました。オーナーは別に気にする様子もなく、建物も気に入ってもらえましたが、うるさいと思われたらどうしようかと内心ビクビクでした。
 
  
◆モデルハウスをどうするか
札幌市 住宅会社 社長

 モデルハウスの建設を検討しています。そろそろ決めなければならないのですが、まだハッキリと方向を決めかねています。一般的な常設の展示場のほかに、大きな建物の屋内に展示場を作ったケース、巨大なショールーム、複数のモデルハウスとショールームを合わせた展開、仲間との合同展示場、建築家とのコラボ...。ほとんどを見て回りました。どのタイプがいいのか、設計をどうするなど、まだまだ手つかず。ただこういう時期こそ攻めていきたいと思っています。


2009年05月20日

6月6日 札幌でセミナー Q1.0住宅と北方型住宅ECO

 NPO新住協では6月6日(土曜)、市民セミナー「Q1.0(キューワン)住宅と北方型住宅ECO」を開催する。市民対象だが、同会の会員でない工務店・業界関係者も参加できる。
 前半は「北方型住宅ECOのすすめ」と題して、その概要と今年の展望について北総研居住科学部長の福島明氏が講演。後半は「Q1.0住宅をつくろう」と題して、ちょっとの工夫で超省エネ住宅をつくる原理を同会代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏が講演する。
 会場は北海道自治労会館4階(札幌市北区北6条西7丁目)で、時間は午後1時30分から4時30分まで。事前の申込みは不要、当日会場へ。

チラシをダウンロードする>>こちら(pdf)


2009年05月15日号から

木造住宅に最大100万円/国交省

経済危機対策 長期優良を条件に新たな補助

 国土交通省では経済危機対策の一環として、中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に対し最大100万円を補助する「長期優良住宅普及促進事業」の実施を発表した。今年度補正予算の成立を前提としたもので、北方型住宅ECOなどが提案・応募している長期優良住宅先導的モデル事業とは別の補助事業。募集は今月下旬から6月上旬にも開始となる予定だ。
 
早ければ今月下旬から
20090515_01_01.jpg この事業は、中小住宅業者の長期優良住宅に対する取り組みと木造住宅の振興を目的としたもので、年間50戸未満の住宅会社が建設する木造の長期優良住宅1戸あたり、最大100万円を限度に建設費の1割以内を補助する。長期優良住宅の認定を受けることに加え、1.住宅履歴情報の作成・保存 2.施工中の現場公開 3.今年度中の竣工などが条件。
 補助を受けられるのは、個人、住宅関連事業者、建築主と住宅関連事業者等のグループ、住宅関連事業者等が組織するグループ・団体、地方公共団体が出資する法人などとなっており、住宅会社が直接補助を受けることも可能になっている。
 詳しい募集条件や申し込み方法などについては今後同省ホームページで発表される。
 長期優良住宅関連の補助事業については、すでに先導的な提案を行うモデル住宅等に最大200万円/戸を補助する「長期優良住宅先導的モデル事業」と、NPO・任意団体などが住み替えや2地域居住の推進を目的に行う住宅再生および流通促進等のモデル事業に一定の補助を行う「長期優良住宅等推進環境整備事業」があり、今回の事業が3つ目。このうち、先導的モデル事業については、採択された提案が近日中に発表される見込み。
 問い合わせは国交省住宅局木造住宅振興室(Tel.03・5253・8111(代))へ。
 
(図...長期優良住宅普及促進事業のイメージ) 
 
  
ホームページ:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mokuzou.top.html


2009年05月15日号から

道内3万1千台が現実味

2009年住宅着工見通し

20090515_02_01.jpg 2009年(平成21年)の道内新設住宅着工は、3万1千戸台が現実味を帯びてきた。
 本紙は今年2月5日号で2009年の道内住宅着工を"3万1千戸台、良くても3万4千戸程度、全国は100万戸割れが確実、最悪で90万戸割れも"という予測を立てた。
 道内着工3万1千戸という数値は、多くの予測の中でもっとも厳しい見方だったようだが、4月前後になるとこの記事について取材先で逆取材されるようになり、4月末には「現時点で2月の予想数値を上方・下方修正するつもりはあるか」という問い合わせが増えてきた。
 道内1~3月の住宅着工は、対前年比42%減少。利用別では給与を除いてすべてがダウンしており、中でも分譲マンションが80%減と壊滅的、建売も45%減で分譲合計71%減。貸家は36%減、このうち木造アパートが52%の半減。持家も23%ダウンしている。
 4月以降も仮にこの第1四半期と同じ下げ幅で推移するとしたら、年計では2万5千戸というとんでもない数字になってしまう。
20090515_02_02.jpg この先についてだが、まず4月末までの動きは3月までと同様に良くないとする声が多い。ただ、ばらまき型の景気対策が6月以降に本格化して多少は効いてくるだろうし、10月以降は比較データである昨年もすでに減速しているため、8月以降になれば対前年比で多少は上向く。この結果、2万5千戸台という事態は何とか避けられるだろう。
 5月の時点で3万1千戸台が現実味を帯びてきたことは確かだ。3万戸台から3万2千戸台が2009年の着工量となりそう。対前年では8千戸から9千戸の減少。ポイントとなるのは分譲マンションの動向だが、木造の戸建てやアパートも気になる。戸建ては建売が大きく減っており、木造のアパートについては非木造(賃貸マンション)と比べても落ち込みが大きい。入居率の低下などで計画の中止や延期が相次いでいるのだろう。
 全国については、すでにさまざまな報道が100万戸割れを予想している。現時点では95万戸前後、立ち直りが遅れれば90万戸割れということになりそう。


2009年05月15日号から

瑕疵担保保険最新の情報

割引は?見積は?

 住宅瑕疵担保履行法施行まで4ヵ月あまり。本紙は新年号で住宅瑕疵担保責任保険の選び方について特集したが、割引制度については「3~4割安くなる場合もある」といわれており、その点を中心に料金設定や商品内容をあらためて取材した。
 5つの保険法人に取材した結果から言うと、割引制度は少し増えたものの大きな変更はない。しかし、公表しない割引制度はどの法人も持っており、それらを活用すると最大で4~5割引もあるということが実態のようだ。

保険料も横並び?
 公表されている割引は、資本金3億円以下の会社に適用される中小企業割引、住宅性能評価の同時申込みによる割引など(表参照)。一方、特定の団体組織やフランチャイズ加入によって割引が受けられる場合もある。こうした割引を活用すると、最大5割安くなる場合があるようだ。延床面積120㎡の住宅で言えば4万円以上の差が出てくるわけで、この差は無視できない。
 保険法人に取材すると、回答は大同小異。「事業者ごとに見積します」「公表していませんが、何段階かの割引率を設定しています」。
 国土交通省が検査・補償体制について横並びを求めたとされる経緯もあることから、料金設定や割引設定についても非公式な指導があったのかもしれない。いずれにしても、主に営利法人が保険を引き受けるのに、表面上は競争原理が働かない仕組みになっている。
 
 工務店から「見積書に保険料をそのまま載せていいのか(転嫁していいのか)」という問い合わせもきている。
 国土交通省はホームページ上で「住宅価格に転嫁することも可能です」と明記しており、転嫁するのは一向に構わない。問題はむしろお客さまにどう説明するかだ。
 素直に見積もりに入れる会社もあれば、「企業努力でサービスします」と説明する会社も出てくるだろう。こんなところでお客さまに減点されてはたまらない。そのことだけは注意しておく必要がありそうだ。
 
国土交通省の法律に関するQ&Aについて:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/3-qa.html
 
 
各保険法人の保険商品比較(「表示」をクリックすると一覧表が出ます)表示


2009年05月15日号から

◆GWの集客は良かったが

◆GWの集客は良かったが
札幌市 住宅会社 部長
 
 例年ゴールデンウイークの集客は期待していないのですが、今年は意外と多くてびっくりしました。でも、大半はスタンプラリーなどのイベント目当ての家族連れで、お金のかからないレジャーとして住宅展示場めぐりをしているのかもしれません。30代前半で土地込み予算が2500万円という方が多いようですが、立地にこだわる方が多くて契約に持っていくまでかなり大変です。それでも商談中のお客様が去年より増えているのでなんとか頑張りたいです。
 
 
◆性能に自信があるから
道央 工務店 部長
 
 断熱性能がアップした新しい仕様では、入居した年の冬は暖房費のモニターをお客さまにお願いすることにしています。その代わり、「初年度の暖房費は全額当社で負担します」というのが売り文句です。仮にシミュレーションより暖房費が少なくてもそれだけ実性能がいいんだという証になってお客さまにイヤな印象を与えませんし、当社としてもさほどの負担なしで高性能ぶりをアピールできることになるのでいいアイディアだと思っています。
 
 
◆リフォームより新築なんだけど...
関東 工務店 専務
 
 今年に入って新築はボチボチですが、リフォームはちょっとした模様替えから耐震改修まで例年以上に仕事があります。中には新築したほうがいいのではと思える物件もあるのですが、さすがに今のご時世ではなかなか新築まで踏み切れない様子です。当社としては新築の営業にもっと力を入れたいところですが、仕事が好調に舞い込んできているという流れを切りたくないのでリフォームを減らすというわけにもいかず、何とも歯がゆい状態です。


2009年05月05日号から

◆住宅需要は自動車販売と連動する?

◆住宅需要は自動車販売と連動する?
札幌市 工務店 社長

 先日、いつもお聞きしている確認検査機関の社長とお会いした時、今年の札幌の確認申請量は前年比3割くらい少なくなりそうと言っていました。なぜかというと、今年の自動車販売がそれくらいの見通しになっているからとのこと。住宅の着工戸数と自動車の販売台数は似たような動きを示すそうで、そう言われてみれば家を新築したお客様が自動車を買い替えるというケースは割とあるような気がします。でもこの不況の中で家も車もという人はどれだけいるでしょうか。
 
 
◆デザインは難しい
道東 工務店 部長

 ここ数年住宅需要が低迷しているので、モデルハウスを公開する時にはデザインやプランなど工夫していますが、時には意図しない反応が返ってきて戸惑うことがあります。以前内外装を白で統一したモデル住宅を公開しましたが、見学に来られた年配の方に「病院みたい」と言われました。こちらはカフェのようなおしゃれなイメージで建てたのですが、見る人によって受け取り方は様々で作り手側の思いをお客さまに伝えるのは難しいですね。
 
 
◆いつまで変更するの?
道央 製材会社 部長
  
 プレカット工場では作業に入る前に、プレカットCADの最終図面を工務店さんへ示して「これで間違いないですね」と確認していますが、その時に確認ではなく「お客さんから窓の位置を変えるよう言われた」と変更指示を受けることがあります。こちらの都合を言えば最終確認後すぐに生産に入りたいのですが、図面変更があると生産スケジュールがタイトになり、従業員を深夜出勤や休日出勤させることになって余計な経費がかかり、加工料は変わらないので辛いです。


2009年05月05日号から

換気低下5つの課題4/ご主人に説明する

高性能住宅Q&A

20090505_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。第1回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するか、2回目は落ちた換気量は回復するのか、3回目の前回は換気量が落ちていいのかどうかという点をまとめました。
 今回は、住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないか、です。せめて1年に1回でもやってもらえばゴミつまりをかなり防げるかもしれません。
 この問題はシステムの性能ではないけれど重要な機能だと思います。
 換気システムの本体はどこに設置されていますか? 壁の上部、または天井裏というケースが多いと思います。給気レジスターや排気グリルは壁の上部ですね。いずれも女性では手が届きにくい、作業がしにくい場所にあります。換気システムの掃除は男性の仕事であると想像したほうが良さそうです。
 そのつもりで、この件は奥さまではなくご主人に説明することがポイントになります。ご主人に話す際に数値を示して『掃除しないと*%換気量が減ります』という説明をしておくと、男心に響きやすいと思います。
 本体ファンの掃除しやすさは商品によって異なるので、住宅会社側がシステム選択時に検討しておくべきポイントです。掃除しやすさはオーナーが実際にちゃんと掃除してくれるかどうかに影響するはずです。
 
(写真...掃除しやすさは重要な性能)


連載ページ
1.1年で10%程度低下
2.掃除で換気量回復
3.数年後も風量維持
4.ご主人に説明する
5.耐久性が重要なワケ
6.機能と価格をしっかり選ぶ
7.まとめ

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2009年05月05日号から

1ヵ月後に迫った長期優良住宅のポイント

 最大600万円の住宅ローン減税など各種税制優遇が受けられる長期優良住宅(200年住宅)の認定が6月4日にスタートする。長期優良住宅の認定は国の先導的モデル事業に応募している北方型住宅ECO建設の必須要件となることもあり、特に北方型ECOの協議会に参加している住宅会社は万全の準備をしておきたい。今回は長期優良住宅認定基準への対応や建設するメリット、認定申請方法などについてまとめた。
(以下抜粋)
 
戸建ては実質7項目
20090505_01_01.jpg 認定基準は1.劣化対策 2.耐震性 3.維持管理・更新の容易性 4.可変性 5.バリアフリー性 6.省エネルギー性 7.居住環境 8.住戸面積 9.維持保全計画の9項目あるが、戸建住宅では4.可変性と5.バリアフリー性は適用外なので、実質7項目の基準をクリアすることになる。詳しい内容は右表の通り。なお、認定基準にはないが、住宅履歴の作成・保存も必要となる。
 この中で特に問題となりそうなのが②耐震性の耐震等級2(倒壊等防止)。構造システムのサポートや構造計算で多くの実績があるJ建築システム(株)(札幌市、手塚純一社長)技術部の中居大祐係長は次のように話す。
 「まず、長期優良住宅の認定基準で求められる耐震等級2(倒壊等防止)は、品確法による性能表示の『構造の安定に関すること』の基準に記載されている一項目であることに注意が必要。構造の項目には耐震等級(損傷防止)や耐風等級、耐積雪等級などもあり、これらの項目でも等級2を要求しているわけではない」という。
 
耐震等級2が難題
20090505_01_02.jpg 次にどうやって倒壊等防止の耐震等級2をクリアするかだが、これが難題。基準には「極めてまれに(数百年に一度)発生する地震の力の1・25倍の力に対して倒壊、崩壊しないこと」とあるが、周知のようにこれは単に壁量を1・25倍にすれば解決するというわけではない。
 性能表示の評価基準で定める必要壁量を満たしたうえで、床倍率や接合部、横架材の断面寸法やスパンなどを決めていくことになり、性能表示の評価基準を把握していることが求められる。
 例えば、木造2階建てでは建築基準法上、耐力壁の量・バランスのチェックで済むものが、耐震等級(倒壊等防止)では床についても剛性の計算をしなければならない。特に大きな吹抜けがある場合は要注意と言える。
20090505_01_03.jpg 性能表示の構造チェックは計算手法が面倒で、相当の知識も求められるため、構造専門のスタッフを社内・社外に置いておくことも考えたい。プレカット工場も、有料で構造計算サポートなどの準備をしているが、6月からの制度スタートには間に合わない見通し。
 問題は設計上の制約が出てくること。大開口部や吹抜けを設けることが厳しくなると言われているが、ユーザーからそれらの要望があった場合、評価基準の内容が予備知識としてあれば、打ち合わせの場で対応できるかどうかをある程度判断できるが、予備知識としてない場合、そのつど会社に持ち帰り、対応可能かどうかを検討しなければならないということも出てくるだろう。そうなると、プラン決定に時間がかかり、最終的に要望に応えられないとなったらユーザーの信頼を損ねることにもなりかねないし、他社と競合した場合、不利になる可能性もある。やはり評価基準の内容は一通り把握しておきたい。
 
(上写真...自社に性能表示対応CADソフトなどを使いこなせる人材がいなければ、構造計算ができる設計事務所と組むのも1つの手(写真はJ建築システムで行っている構造計算の様子)、下図...耐震等級2(倒壊等防止)の適合判定の手順。これはひと言で言えば構造計算と同じものだという)
 
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