新聞記事

2009年05月25日号から

換気低下5つの課題5/耐久性が重要なワケ

高性能住宅Q&A

20090525_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。第1回~4回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するか、落ちた換気量は回復するのか、住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないか、などについてみてきました。
 1号お休みして今回は5つの課題の最後、換気メーカーは10年後を考えて商品を提供しているか、という点について考えてみたいと思います。
 多少、背景を説明したいと思います。換気システムが普及しはじめた当初、「A製品は風量を確保できるがB製品は風量が少ない」ということがありました。なぜ風量が少ないことがわかったかといえば、北海道のような寒冷地で住宅の気密性が高いと、換気不足で結露が起きるからです。
 その後、換気設備の設置が義務化され、ひどい換気不足が起きる例は少なくなりました。それは義務化のよい面だと思います。ところが義務化によって換気を選ぶ際のポイントは性能から価格に変わってしまいました。"基準をクリアできる性能でいかに安いか"。これが命題となったため、多くの換気メーカーは「性能クリア、かつ価格引き下げ」が開発目標になってしまったのです。
 もちろん技術革新によって改良が実現した部分もあるとされています。省電力技術などです。しかし、もともとハイテクではない換気システムにとって、技術革新はそうないといわれています。ではコストダウンはどう実現したか。耐久性は犠牲にされていないか。そうだとしたら住宅会社はどう対応したらよいか。
 また、機械そのものの耐久性が高くても交換部品がなくなることで、10数年後に事実上、使えない換気になりかねないケースもあります。
(図...換気の課題~解決への一例)
 
 前書きが長くなったのは意味があります。というのは、「耐久性が犠牲になっている可能性」や「交換部品がないため10数年後には使えない換気になりかねない」といったことを、住宅会社側が知っておくべきだと思ったからです。
 受注競争が激しい中で、換気の原価を引き上げることは難しいかもしれません。しかし、寒冷地において換気はクレームと密接にかかわる大切な機能です。
 換気が悪くなると結露するのは、高気密住宅の宿命です。だから、住宅販売側として換気性能が長期にわたって維持されていることが大切なのだと思います。
 20数年前からA社の機械換気を標準で装備している工務店社長に何となく「どうしてずっと標準装備しているのか、なぜA社なのか?」と尋ねたことがあります。その答えは、「確実に換気量が確保される、施工後にクレームで呼びつけられない」でした。
 定期点検の実施によって、こういう問題は避けられるかもしれません。その点検を実施するための原資(人件費)は、点検によるリフォームの掘り起こしによって出てくるかもしれません。この機会に検討してみてください。
 
 次回はこれまで見てきた5つの課題をそのまま換気メーカーなどにぶつけてみました。その答えです。


連載ページ
1.1年で10%程度低下
2.掃除で換気量回復
3.数年後も風量維持
4.ご主人に説明する
5.耐久性が重要なワケ
6.機能と価格をしっかり選ぶ
7.まとめ

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