新聞記事

2009年05月05日号から

1ヵ月後に迫った長期優良住宅のポイント

 最大600万円の住宅ローン減税など各種税制優遇が受けられる長期優良住宅(200年住宅)の認定が6月4日にスタートする。長期優良住宅の認定は国の先導的モデル事業に応募している北方型住宅ECO建設の必須要件となることもあり、特に北方型ECOの協議会に参加している住宅会社は万全の準備をしておきたい。今回は長期優良住宅認定基準への対応や建設するメリット、認定申請方法などについてまとめた。
(以下抜粋)
 
戸建ては実質7項目
20090505_01_01.jpg 認定基準は1.劣化対策 2.耐震性 3.維持管理・更新の容易性 4.可変性 5.バリアフリー性 6.省エネルギー性 7.居住環境 8.住戸面積 9.維持保全計画の9項目あるが、戸建住宅では4.可変性と5.バリアフリー性は適用外なので、実質7項目の基準をクリアすることになる。詳しい内容は右表の通り。なお、認定基準にはないが、住宅履歴の作成・保存も必要となる。
 この中で特に問題となりそうなのが②耐震性の耐震等級2(倒壊等防止)。構造システムのサポートや構造計算で多くの実績があるJ建築システム(株)(札幌市、手塚純一社長)技術部の中居大祐係長は次のように話す。
 「まず、長期優良住宅の認定基準で求められる耐震等級2(倒壊等防止)は、品確法による性能表示の『構造の安定に関すること』の基準に記載されている一項目であることに注意が必要。構造の項目には耐震等級(損傷防止)や耐風等級、耐積雪等級などもあり、これらの項目でも等級2を要求しているわけではない」という。
 
耐震等級2が難題
20090505_01_02.jpg 次にどうやって倒壊等防止の耐震等級2をクリアするかだが、これが難題。基準には「極めてまれに(数百年に一度)発生する地震の力の1・25倍の力に対して倒壊、崩壊しないこと」とあるが、周知のようにこれは単に壁量を1・25倍にすれば解決するというわけではない。
 性能表示の評価基準で定める必要壁量を満たしたうえで、床倍率や接合部、横架材の断面寸法やスパンなどを決めていくことになり、性能表示の評価基準を把握していることが求められる。
 例えば、木造2階建てでは建築基準法上、耐力壁の量・バランスのチェックで済むものが、耐震等級(倒壊等防止)では床についても剛性の計算をしなければならない。特に大きな吹抜けがある場合は要注意と言える。
20090505_01_03.jpg 性能表示の構造チェックは計算手法が面倒で、相当の知識も求められるため、構造専門のスタッフを社内・社外に置いておくことも考えたい。プレカット工場も、有料で構造計算サポートなどの準備をしているが、6月からの制度スタートには間に合わない見通し。
 問題は設計上の制約が出てくること。大開口部や吹抜けを設けることが厳しくなると言われているが、ユーザーからそれらの要望があった場合、評価基準の内容が予備知識としてあれば、打ち合わせの場で対応できるかどうかをある程度判断できるが、予備知識としてない場合、そのつど会社に持ち帰り、対応可能かどうかを検討しなければならないということも出てくるだろう。そうなると、プラン決定に時間がかかり、最終的に要望に応えられないとなったらユーザーの信頼を損ねることにもなりかねないし、他社と競合した場合、不利になる可能性もある。やはり評価基準の内容は一通り把握しておきたい。
 
(上写真...自社に性能表示対応CADソフトなどを使いこなせる人材がいなければ、構造計算ができる設計事務所と組むのも1つの手(写真はJ建築システムで行っている構造計算の様子)、下図...耐震等級2(倒壊等防止)の適合判定の手順。これはひと言で言えば構造計算と同じものだという)
 
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