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2009年10月25日号から

「こう配1/50以上」に不安の声

 今年7月に全保険法人統一となった瑕疵保険の設計施工基準で、フラットルーフ(陸屋根)は50分の1以上のこう配を設けることになったが、道東のある住宅会社は「50分の1こう配では凍った雪が軒先にせり出し、落下した際に外装材や窓を壊す危険性がある」と指摘。国土交通省では、こう配が50分の1未満でも雨漏りが防げる仕様であれば、同基準の第3条認定を取ることで保険が適用になるというが、その場合、住宅会社にとっては負担がまた一つ増えることになりそうだ。
 
道内の現状・道東など標準で1/100
20091025_01_01.jpg 瑕疵保険の設計・施工基準は、当初各保険法人ごとに定められていたが、今年7月に国交省が基準を統一。これにともない、北海道だけで認められていた木造のフラットルーフも全国で認められるようになり、こう配は50分の1以上、防水材は金属板(鋼板)ふきやアスファルト防水など6種類の中から採用することなどが規定された。
 ただ、これまで道内では道立北方建築総合研究所監修、北海道建築指導センター発行のパンフレット『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』や、同じく同センターが発行している『北方型住宅技術解説書』の中で、こう配を100分の1~100分の5としたフラットルーフの仕様を掲載。気象条件や断熱・気密レベルにもよるが、道内では50分の1こう配のフラットルーフだと、屋根上の雪が軒先にせり出してくることがあるため、100分の1こう配を標準とする住宅会社もある。
20091025_01_02.jpg 今回、軒先のせり出しによる危険性を指摘した道東の住宅会社も、フラットルーフは100分の1こう配が標準。「3月頃の日射が強い日には、屋根に載った雪の表面が融け、融雪水が屋根面に流れるが、夜になって冷え込むとその融雪水が凍るため、50分の1こう配だと軒先のほうへ凍った雪が滑ってくる。なぜ100分の1こう配ではダメなのか」と話す。
 せり出しを防ぐために雪止めを付けるという手もあるが、逆に氷堤を作る原因となり、スガモリのリスクが高くなる可能性もある。
 国交省住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室では、設計施工基準で定めたフラットルーフのこう配について「小屋組木材の乾燥収縮が起こっても、屋根面が雨漏りの原因となる逆こう配にならないよう50分の1以上とした。ただ、絶対に50分の1未満では施工できないということではない。雨漏りのリスクが少ない仕様だと保険法人が認めれば、基準の第3条の適用により施工できる。その場合は、雨漏りを防ぐためにどんな工夫をするのかを示してもらうことになる」としている。
 瑕疵保険の設計施工基準で屋根にかかわる部分は、雨漏りを防ぐことを目的としてるが、道内で問題となるのはスガモリ。国交省は基準に適合しない地域特有の仕様について、保険法人が設計施工基準と同等の性能があると認めれば保険適用を認める基準第3条を適用すればいいというスタンスだが、いちいち雨漏りのリスクがないことを示さなければならないのは住宅会社にとって新たな負担になる可能性もある。基準に載せないまでも、国はどのような仕様であれば50分の1未満のこう配で施工できるのか、例示仕様を示すことも検討すべきだろう。
 
(図2点...屋根たる木に寸法安定性や強度に優れるI型梁を採用した現場。基準の第3条認定申請にあたっては、このように屋根面がたわまない工夫をするか、たわんでもスガモリしない工夫をすることが必要)
 
基準第3条の適用申請・納まり図など提出
 20091025_01_03.jpgそれでは50分の1未満のこう配のフラットルーフで施工するにはどうすればいいのか。
 まずは、雨漏り・スガモリを防ぐため、一つは積雪荷重や小屋組木材の乾燥収縮の影響を受けても屋根面がたわまないようにすること。母屋・束・たる木のピッチや野地板の厚さなどを地域の積雪量に応じて適切に設定するとともに、小屋裏換気と天井面の断熱・気密をしっかり行う。もう一つは屋根面がたわんでも雨漏り・スガモリしないようにすること。例えば改質アスファルト系防水シートなど防水性の高い下葺き材を使い、板金部分と合わせて2重防水構造とする方法や、ハゼを防水性の高い部材で密閉するなど板金部分そのものの水密性を高める方法が考えられる。
 このように雨漏り・スガモリ対策を十分行ったうえで、利用する保険法人に基準第3条の適用を保険加入時に申請することになるが、その際に必要になるものとして、瑕疵保険を扱う住宅保証機構では納まり図や、使用する屋根材・防水材の種類と葺き方を示した書類等を挙げている。これらを検討して個別に判断することになるという。
 また、あらかじめ屋根板金業者等が50分の1未満のこう配で施工できるマニュアルを用意しているのであれば、そのマニュアルを申請時に添付すればいい。
 なお、瑕疵保険の基準が統一される前に道内でフラットルーフや無落雪屋根の設計施工基準として用いられてきた道建築指導センター発行の『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』は、今後改訂される予定だ。


(写真...道建築指導センター発行の『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』(上)と『北方型住宅技術解説書』(下)に掲載されているフラットルーフの仕様。いずれも1/100こう配での施工を認めている)


2009年10月25日号から

地場5社が常設展示場/美幌.木夢クラブ

20091025_02_01.jpg オホーツク・美幌町で地場住宅会社を中心に地元森林認証材による家づくりを進めているグループ・美幌.木夢クラブ(びほろどっとこむクラブ、髙橋広明会長・(株)髙橋工務店社長)では、FSC認証による森林経営や人に優しいまちづくりなど、同町の地域特性を表現した5棟のモデルハウスによる総合常設展示場「BIHORO.COM ECO LAND」(びほろ・どっとこむ・えこらんど)を去る10日に同町稲美の分譲地・テアトロにオープン。3日間で約400組、1000名が来場した。
 この展示場は、国交省が地場産材の利用や地域特性に配慮した木造住宅の展示などに対し補助を行う地域住宅モデル普及推進事業に提案し採択されたもの。展示場の開催期間は平成25年3月末までで、当面は毎週土曜・日曜のみの公開。宿泊体験も可能になっている。
 モデルハウスはいずれも1.道の北方型住宅 2.北海道木材産業協同組合連合会の北の木の家 3.国の長期優良住宅の3つの認定基準に適合させるとともに、使用する木材には町内産の森林認証材(FSC認証材)および道産材を100%使用。太陽光発電システムも全棟設置している。
 これらを満たしたうえで、緑豊かな家庭菜園を設けるなどスローライフに適した「緑の家」(株)宮田建設)、ユニバーサルデザインによって障がいがある人でも安全・安心な「優の家」(㈲種田工務店)、珪藻土など環境に優しい地域エネルギー・資源を活用した「環の家」((株)金岩建設)、南面の大開口や光ファイバー製品を使って太陽光を最大限取り入れる「輝の家」(㈲山岸工務店)、内外装に町内産FSC認証材を使用した「木の家」(髙橋工務店)と、5棟それぞれ美幌町の地域特性をテーマに設計・施工を行った。
 
地元カラマツで町を活性化/髙橋会長
 オープン初日は午前9時半からセレモニーが行われ、冒頭に同クラブの髙橋会長が「当会は地元のカラマツを使った家づくりが町を活性化する切り札になると考え、地材地消を合言葉に活動を進めてきた。今回の展示場オープンを新たなスタートととらえ、FSC認証材の地元カラマツによる家づくりの普及を目指し、今後も会員みんなで力を合わせて頑張っていきたい」と挨拶。
 また来賓の土谷耕治・美幌町長は「この展示場は地域資源を活かしたいという同クラブの想いが実を結んだものであり、地球環境にも貢献できる家づくりにつながる。町の情報発信の場としても充実した展示場になることを願っている」と祝辞を述べた。
 この後、テープカットと行政関係者や報道関係者を対象とした内覧会が行われ、午後から一般公開を開始。同町を含むオホーツク管内はもとより、釧路・根室から訪れたユーザーもいたといい、5棟のモデルハウスはそれぞれ多くの来場者で賑わった。
 
 
(写真...公開されたモデルハウス5棟の外観(上から緑の家、優の家、環の家、輝の家、木の家))


2009年10月25日

車は社用車か自家用車か

そこが知りたい!工務店生態レポート 第4回

20091025_03_01.jpg 工務店の社員にとって自動車は、営業や現場回りに欠かせない。1年間の走行距離もかなり多くなる。そこで気になるのが、"工務店の社員は仕事に会社の車を使っているのか、自分の車を使っているのか"。今回は仕事で使う車について調べてみた。
 
社用車派
工具完備で機動力に優る
 「社用車にはひと通りの工具を載せているので、リフォームの物件で現状確認を行う時に便利だし、OB客からクレームの連絡が入った時もすぐに直行して対応できる」(札幌・A社)
社名入りで走る広告に
 「社用車には社名が書かれているので、走れば走るだけ広告効果があると考えているからだ」(十勝・B社)
燃費悪い車は勘弁
 「以前は自家用車を使ってもらっていたが、あまりにも燃費の悪い車だと、支給するガソリン代もシャレにならなくなる。それで軽自動車やバンをリースで入れて社用車として使うようになった」(オホーツク・C社)
 
自家用車派(借上げ費・ガス代支給)
駐車スペースが問題
 「今は社員の車を借り上げて、ガソリン代も支給している。近い将来はリースの軽自動車を社用車として使いたいが、社員が自家用車で通勤してくることには変わらないので、駐車スペースをどう確保するかが問題」(札幌・D社)
みんな車を持ってるから...
 「社用車を入れることを考えたこともあるが、社員みんな車を持っているので、わざわざ会社で用意しなくてもいいかなと...。もちろん、社員の車は会社で借り上げ、ガソリン代も出している」(十勝・E社)
営業車手当てを支給
 「社員が営業などで使う車は自家用車。ガソリン代も含めて一定額を営業車手当てとして支給しているが、会社でリース車を導入するより経費は安くなっているのでは」(十勝・F社)
 
自家用車派(ガス代のみ支給)
借り上げ費はなしで
 「営業や現場回りは自家用車を使ってもらっている。ガソリン代は支給しているが、借り上げ費用は出していない。他の工務店で社員の自家用車に借り上げ費用を出しているところがあるとは思ってもいなかった」(旭川・G社)
 
 
(グラフ...今回の調査は10社の社長に協力して頂いた。自家用車を使ってもらっている会社が過半数を占め、その中ではガソリン代だけ出す会社より、借り上げ費まで出す会社のほうが多い)


2009年10月25日号から

◆社内体制の見直し

◆社内体制の見直し
札幌市 工務店 社長
 
 実際のところ、私自身は自分の会社をこんなに大きな事務所、社員を抱えるような大所帯にするつもりはなかったんです。仕事を一生懸命やっているうちに仕事が増え、スタッフが増え、事務所も大きくなって。ところが急激に新築もリフォームも落ち込み、改めて今後どうするべきか、考えています。原点に戻って会社のスリム化、経費削減などを行いながら、やるべき仕事はしっかりやっていきたい。そう思って社内の総点検を行っています。
 
 
◆地元に貢献できる熱源は...
道北 工務店 社長
 
 住宅の熱源は今やほとんどが電気ですが、当社では灯油とガスをお客様にお勧めしています。というのも、地元経済への貢献を考えた場合、灯油やガスであれば地元の販売店・小売店の収益につながるからです。確かに安全性や耐久性を考えると電気は魅力的な熱源で、お客様からの要望も多いのですが、地元が潤わなければ私たちの仕事も少なくなるばかり。地産地消とは違いますが、少しでも地元にお金が落ちる家づくりを考えていきたいものです。
 
 
◆チラシ折込を止めた
札幌市 設計事務所 所長

 以前は現場公開する近辺の地区には折り込みチラシを入れることをやっていましたが、費用対効果の問題や、不特定多数を集客することに疑問を感じて最近は止めています。今は現場周辺の住宅に現場公開チラシを自分たちでポスティングしたり、ご縁のあった人たちに郵送などでお知らせするなど方法を切り替えましたが、質の高い集客ができています。しばらくはこの方法を続けていこうと思います。


2009年10月15日号から

長期優良の構造計算で大混乱

思わぬ事態に頭抱える工務店

 「長期優良住宅の構造計算を外注したら、基礎の半分程度はベース幅を1.3メートルにするように言われた」。これは先日聞いた住宅会社・A社の話。非現実的な仕様に疑問を抱き、当事者の住宅会社や構造計算の専門家への取材を進めたところ、構造計算ソフトに不慣れな構造設計事務所が入力ミスに気付かず計算を行っている問題が浮かび上がった。当事者のA社社長や専門家らは「そのような仕様でも"長期優良住宅だから"と間違いをそのまま受け入れるケースもあるのでは」と危惧する。

  
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2009年10月15日号から

遮熱という付加価値/札幌・北一タカハシ建設

現場のジャッジ 第5回

 断熱・気密という言葉は聞き慣れていても、『遮熱』という言葉は親しみがない。ましてや、『NASA(アメリカ航空宇宙局)の技術』という触れ込みで登場した遮熱シートは「マユツバ物だろう」と感じている人もいるはず。
 
遮熱も差別化の1つ
20091015_02_01.jpg (株)北一タカハシ建設(札幌市)の髙橋一彦社長は、寺社建築を豊富に手がけている経験から、本格的な和風住宅を建てる住宅会社として差別化を図ってきた。さらに、蓄積した施工住宅の暖房費データを元に年間の暖房費の目安を施主に提示し、さらに入居後の暖房代から暖房費削減のアドバイスをするなど、一般の人に高性能住宅の上手な住まい方を指南するサービスを提供してきた。
 しかし、「まだまだ差別化を図っていかないと生き残っていけない」と危機感を持ち、遮熱シートを採用したのは今年初めの施工物件から。遮熱シート「リフレクティックス」の総輸入元である(株)佐武(本社・福島県本宮市)の講習を受け、その考え方に共鳴したという。
20091015_02_02.jpg 北海道も夏は天井面からの輻射熱で2階が暑くなる。断熱材が施工されていても、屋根板金の表面は夏場の日中は70℃以上という高温にもなる。その熱が断熱材にも伝わり、断熱材自体が熱を持ってしまう。そこから室内に輻射熱という形で侵入してくる。その輻射熱を反射してブロックするのが遮熱シートだという。
 
(写真上...髙橋一彦社長 写真下...外壁部の構造模型。軸間にウレタンを70ミリ吹き付け、空気層を挟んで遮熱シート、石こうボードとなる)
 
天井と外壁に使用
 「夏に建てた住宅で、天井面に遮熱シートを施工すると、施工現場の2階の暑さがかなり緩和され、快適になった」と髙橋社長は言う。
20091015_02_03.jpg 現在、同社は天井面の施工を標準とし、オプションで外壁にも施工する。また、冬場に施工した現場では、仕事が終わって暖房を切っても、翌朝来た時の温度低下は4℃ほどで済んだという。この現場では、外壁の断熱は発泡ウレタン70ミリ、それに遮熱材を断熱材の室内側に施工した。石こうボードとの間には空気層を作る。熱損失係数を表すQ値は1.3~1.4Wレベルというが、「遮熱効果で暖かさが長続きするのでは」と見ている。遮熱効果は断熱性能としては表すことができず、正確な評価が難しい。ただ、実感として違うことは確かだそうだ。
 
(写真...天井面に遮熱シートを施工中。緑色は、吹き付けたウレタン断熱材)
 
問題は価格ではない
20091015_02_04.jpg 一見すると問題は価格のように見える。材料費として1500円/m2かかり、幅1.2メートル×長さ38メートルの製品を施工するのに1人工ちょっとかかり、住宅の価格に跳ね返ってくる。「生き残っていくには、この価格が高いと言われるようではダメ。自らがデザインする手作りの建具などこだわりの和風デザインに、『断熱+遮熱』という付加価値を盛り込み、ハウスメーカーと同レベルの価格でより満足度の高い家を提供することが大事」と社長は考えている。
 今後もリフレクティックスは標準採用を続ける。来春には、暖房費削減効果のデータも揃う。
 
(写真...同社が得意とする本格和風住宅)
 
☆採用のポイント/遮熱という新しい考え方
★ここがあと一歩/性能を数値で表しにくい


2009年10月15日号から

◆札幌は集客しにくい

◆札幌は集客しにくい
札幌市 工務店 社長
 
 札幌から車で1時間ほどの町で現場見学会をやったときは、新聞の折り込みチラシでたくさんの人が訪れ、見込み客が何組もできましたが、札幌市内でチラシをポスティングしたときは、数千枚入れたのにフリーの客は1組だけで、あとは施主の知り合いや近所の人たちが来場しただけでひどいものでした。2軒とも同じくらいこだわった家ですが、札幌はなかなか集まらないようです。こだわるお客さまが減っているんでしょうかね。
 
 
◆期待より不安
東京 断熱材メーカー 営業
 
 ローコスト化によって、高断熱化はこのところ停滞しているように見えますが、民主党政権になって断熱業界に追い風が吹くのでしょうか。実はあまり楽観できません。省CO2の方法としてヒートポンプや太陽光発電、断熱でも他素材にいってしまえば、当社にとってメリットはないのです。大きな声では言えませんが、これまで省エネ・断熱化を推進してきた行政機関もあまり信頼できず、期待より不安が大きいです。
 
 
◆現場見学会が受注に効く
札幌市 工務店 社長
 
 当社は雑誌広告などはせず、構造と完成の現場見学会をなるべく多く開催し、DM等の告知と近隣へのチラシ配布を行い、あとは自社ホームページとポータルサイトなどに参加する方法である程度の受注を確保しています。現場見学会が営業の主軸です。数年後に受注に結ぶ付くこともあります。一方、共働きのオーナーには特に、施工状況の写真と一言を添えて頻繁にメールを送るなど、契約していただいたお客様への対応が信頼と口コミに結びつくことも感じています。


2009年10月05日号から

瑕疵保険時代の防水対策

 住宅瑕疵担保履行法によって、今月から引き渡す新築住宅を対象とした瑕疵保険への加入または保証金供託の義務化がスタートした。すでに多くの住宅会社が選択している瑕疵保険は、地盤や基礎、雨水の浸入防止について設計施工基準に適合することが必要となる。特に外壁・屋根回りの防水は事故が多い部分と言われているだけに、適切な工法・部材で施工しておきたい。そこで今回は瑕疵保険時代に対応する防水工法や防水部材にスポットを当てた。
 
瑕疵担保法のおさらい/今月から保険等義務化
 20091005_01_01.jpg住宅瑕疵担保履行法は、構造計算書の偽造事件、いわゆる姉歯事件をきっかけにできた法律。平成12年に施工された品確法で住宅会社に10年間の瑕疵担保責任が義務付けられたが、瑕疵が見つかっても住宅会社が倒産していれば瑕疵担保責任が履行されないため、住宅所有者は経済的にも精神的にも大きなダメージを受けてしまう。
 そこで住宅瑕疵担保履行法では住宅会社が倒産した場合でも瑕疵の補修等が確実に行われるよう、今年10月1日以降に引き渡す住宅を対象に瑕疵保険への加入または保証金の供託を義務化。いずれも年2回の報告義務があり、違反業者には請負契約の禁止や罰金などの罰則が課される。
 瑕疵保険は1戸ごとに加入し、費用は掛け捨て。一方、保証金の供託は過去10年間の引き渡し戸数に応じた額を法務局に10年間預ける形になる。保証金の供託は最低でも2千万円は必要となるため、実際には瑕疵保険への加入を選ぶ住宅会社がほとんどだ。
 
(図...住宅瑕疵担保履行法で対象となる瑕疵担保責任の範囲。外壁と屋根の防水については特に事故が多い部分だけに、設計施工基準にのっとって適切に施工したい)
 
防水事故の保険金支払が目立つ
 瑕疵保険を扱う保険法人各社は、保険料の無事故割引や損害率に応じた割引などを行っているケースがあるので、瑕疵保険は使わずに済むのが一番いい。そのためには瑕疵保険の設計施工基準をよく理解し、適切な施工部材の選択・施工を行うことが重要だ。
 瑕疵保険の設計施工基準は、当初保険法人ごとに定めていたが、今年7月に国交省によって基準が統一された。これによって住宅会社は一つの仕様で6社の保険法人に対応できるようになった。また、一定の条件はあるものの、着工後・完成後の住宅でも保険加入が可能となっている。
 住宅瑕疵担保履行法で補償対象となるのは、品確法の瑕疵担保責任と同じく「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の2つだが、住宅保証機構が今年6月末までに扱っていた住宅保険・住宅性能保証制度の平成17年度保険金支払件数を見ると、外壁の防水部分が64%、屋根の防水部分が12%で、合わせて全体の4分の3が防水関連の不具合。道内は外壁と屋根の件数がほぼ同比率だという。
 
屋根の防水/フラットは1/50こう配
 20091005_01_02.jpg統一された基準で雨水の浸入防止に関する部分を見ると、木造住宅の屋根でフラットルーフ(陸屋根)を認めたのが大きなポイント。具体的には①50分の1以上のこう配を取ること②防水工法は金属板(鋼板)ふきやアスファルト防水など6種類の中から採用することを規定している。
 ただ、こう配については、使用する防水材のメーカーが50分の1未満のこう配も可能な施工基準を定めている場合、保険法人が適切と認めれば、その基準で施工できる。
 M型、いわゆるスノーダクトの無落雪屋根については、道内で住宅保証機構の瑕疵保険・まもりすまい保険を扱っている北海道建築指導センターが「基準外でも保険法人が特別に認めたものは保険適用を認める」という設計施工基準の第3条規定に基づき、独自に作成した無落雪(M型)屋根設計施工基準の保険適用を住宅保証機構に申請。同機構から認定され、道内限定で採用可能となっている。
 
(写真...統一された設計施工基準では屋根の仕様に陸屋根(フラットルーフ)が追加された。また、北海道は同基準の第3条規定の適用によってM型無落雪屋根(スノーダクト屋根)も採用可能となっている)


2009年10月05日号から

瑕疵保険時代の防水対策(つづき)

M型無落雪の基準/屋根こう配は3/100~15/100
  20091005_02_01.jpg以前の住宅保証機構の保険でM型無落雪屋根の基準として使われていた「性能保証住宅設計施工基準北海道版(無落雪屋根)」と比べると、屋根こう配は100分の5~100分の15から100分の3~100分の15程度となったほか、シーリングは鋼板屋根材を止める釘頭等の露出部や、横どい・縦どいの接続部など6箇所を明記。横どいはこう配が原則60分の1以上から原則100分の2以上となり、横どい周囲の断熱も不要となるなどの変更があった。
 M型無落雪屋根を採用した住宅で保険に加入する場合は、住宅保証機構の『確認書』の写しを申込み時に添付する。どの保険法人でも、この確認書を添付することで保険に加入できる。
 なお、第3条規定に基づく特例措置として、外装材で樹脂製の「ゼオンサイディング」も確認書の添付により、通気胴縁なしのオープンジョイントで施工できるようになっている。
 このほか、統一設計施工基準では、屋根の防水で「屋根の軒先部の下ぶきは、防水テープを用いて軒先の雨押さえ金物に密着させる」という規定が削除された。
 
外壁の防水/シートの重ね幅は90~150ミリ以上
 外壁の防水は、透湿防水シートの重ね幅を上下左右とも90ミリ以上、かつ窯業系・金属サイディング仕上げの場合は左右とも150ミリ以上とする。設計施工基準が統一される前は、金属サイディング仕上げの場合、左右の重ね幅を180ミリ以上としていた保険法人もあったが、現在は窯業系サイディングと同じ150ミリ以上に統一された。
 また、窓回りや給排気口回りは、防水テープを用いて透湿防水シートをサッシのツバなどに密着させることが必要。乾式の外装仕上げでは、通気層の厚さを15ミリ以上取ることとしているが、軸組屋外側に構造用合板などを張る場合は15ミリ未満でも認めるとしている。
 このほか、屋根の下ぶき材の重ね幅やサイディングを留める釘・ビスのピッチ、外壁の透湿防水シートの重ね幅、バルコニーの防水施工などについては、フラットルーフのこう配と同様、保険法人が適切と認める場合に限り、部材メーカー独自の施工基準で施工可能だ。


2009年10月05日号から

進化する防水工法1

 瑕疵保証が義務化されてから、防水性能がより確実で、施工性の良い新工法、新部材が出てきた。今回はこの中から代表的な工法・部材を取り上げて紹介し、防水施工を見直すきっかけになれば幸いだ。
 
屋根工事に防水保証/ルーフマン
 20091005_03_01.jpg北海道特有の板金屋根は、「屋根材で防水する」という考えが主流で下地での防水には注意があまり払われていなかった。しかし、断熱・気密と小屋裏換気が不十分な住宅では、室内から小屋裏空間に上がってきた暖気の影響で野地裏に結露が発生し、その結露・結氷が室内を汚したり、暖気で融けた雪融け水がハゼ部分から入り込んでスガモリの原因になった。またスガモリなどを起こした住宅では、その原因特定に時間と費用がかかるという問題もあった。
 (株)ミスター・ルーフマン(札幌市、秋山信介社長)は、屋根施工会社数社などが共同出資して作った会社。同社はこうした屋根施工の問題点を解消し、責任ある施工体制を構築するため「ルーフマン工法」を数年前に考案、現在道内全域に施工店が広がっている。
 同工法は、屋根材の防水に加え、下地でもしっかり防水する2次防水の考え方が定着している本州の瓦施工を参考に開発した。野地板に改質アスファルト系ルーフィングを専用防水テープで留め付け、専用縦桟、屋根材の順番に施工する。縦桟を入れることで屋根材と下地の間に通気層を兼ねた排水層ができ、ハゼの間や万が一の穴あきなどで屋根材の裏側に水が回っても排水されるため躯体に影響がないという。
 さらに、同社ではこの工法をマニュアル化し、研修を受けた技術者に認定書を発行する方式で全道に一定レベル以上の施工品質が担保できる仕組みを作った。現在札幌市内で5店、その他全道10地区に認定加盟店が広がっている。標準施工法や工事記録の保管などの規定があり、認定技術者の施工に対して施工後10年間の防水保証を行っている。万が一屋根回りで防水事故が起きても、工事記録を参照するなどして原因の特定がしやすく、結果的に入居者へ迅速な対応ができる。
 同社ではこのほか、ルーフマン工法を応用した太陽光発電システムの施工も請け負っている。
 
(図上...縦桟でできた空間が排水路となるルーフマン工法 写真下...ルーフマン工法の施工)
 
 
先付け防水カバー材/フクビなど
 20091005_03_02.jpg開口部回りの防水施工に、「防水カバー材」という新ジャンルができたのは6年ほど前。フクビ化学工業(株)(本社福井市)が発売した「ウェザータイト サッシ用」が先駆けだ。
 それまではサッシ下地の隅角の防水処理など3面にわたる部分は、透湿防水シートの端部を一部切り落とすなど前処理して貼り合わせていたが、熟練度により施工精度に差が出ることがあった。より確実で能率良く防水施工をするため、専用のポリエチレン製先付け防水カバー材を開発した。
 施工は、サッシ用は、中間部材、角部材の2種類を組み合わせて使う。先に窓台回りにウェザータイトを固定し、あとは通常のサッシ施工と同じ手順で行う。立ち上がり高10ミリの水返し部分があるので、サッシ枠から漏水した場合でも躯体内への雨水の浸入を防げる。
 現在では、サッシ用のほか、換気口用やダクト用、エアコン配管用、バルコニー防水用とバリエーションが増え、シリーズ化された。
 換気口用、ダクト用、配管用は、オーバーフロー管に用いられる40ミリ径から、換気システムの換気口に用いられる150ミリ径まで、防水層を貫通する管材の大きさに合わせて4種類を用意している。同社では、曲面と防水層の取り合い部分の防水テープ処理のみに比べて、長期間より確実に防水施工ができるとしている。
 このほか、バルコニー防水用では(株)クワザワがEPDMゴム製の一体カバー「スパット」を今年から発売、瑕疵保険時代に対応した防水部材としてPRしている。
 
(図上...ウェザータイトは、エアコン用の75ミリ径ダクトにも対応 図下...ウェザータイト・サッシ用。本州向けに、アルミサッシで描かれている)


2009年10月05日

進化する防水工法2

外装材の新施工法/ゼオン化成など
 20091005_04_01.jpgゼオン化成(株)は、十数年前からオープンジョイント工法の塩ビ樹脂製サイディングを北米から輸入し、販売している。北米では40年の歴史があり、一般的な外装材の1つとなっている。
 樹脂は、朝夕の温度差でも伸び縮みする特性がありシーリングをその変化に追従させるのは難しい。そこでサイディングとサイディングを重ね合わせるだけでシーリングを使わないオープンジョイント工法が採用されている。
 同社では寒地住宅都市研究所(現・道立北方建築総合研究所)との共同研究でオープンジョイント工法でも十分な防水性があることを立証した。
 また、同社オリジナルの工法として、通気胴縁を省略する施工法も開発している。この新しい施工法に関しては、今年6月に住宅保証機構の瑕疵保険設計施工基準の第3条の認定を受け、通気胴縁を用いなくても通気層工法と同等の防水・排湿性がある工法と認められた。このため、瑕疵保険の申込みもスムーズになった。
 窯業系サイディングは、板材の表面塗装とシーリングで止水するが、塗装やシーリングの補修が必要だ。万が一劣化したときは通気層が2次防水の役割を果たすが、ゼオン化成では塗り替えが必要なく、長期にわたって防水性能が安定して維持できる点で樹脂製サイディングにメリットがあるとPRしている。
 現在は、同社が中層住宅向けにも用途を開拓し、また信越ポリマー(株)も戸建市場に参入していることから、普及に弾みがつきそうだ。
 
(図上...胴縁を省略したおさまり例 写真下...ゼオンサイディングの施工例) 
 
 
アクリル防水テープ/光洋化学など
 20091005_04_02.jpg気密防水テープは、粘着性が高く、柔軟ですき間を強力に塞ぐなど、実績と信頼性のあるブチル系が主流を占めていたが、そこに現れたのがアクリル基材を使った気密防水テープだ。
 光洋化学(株)は、十数年前からアクリル基材の気密防水テープ「エースクロス」を発売、徐々に販売実績を伸ばしてきた。手切れ性が良く、薄いので重ね合わせ部分に段差が発生せず、温度を問わず接着力が安定しており、コストも比較的安いことなどが評価されているポイントだ。日本窯業外装材協会(NYG)の推奨品にも選ばれており、この10年で普及が進んでいる。
 同シリーズは、スウェーデン基準に準じた防湿フィルムの耐久性規格・JIS A6930に準拠した独自の耐久試験を行い、初期接着力の約95%を維持するという。これにより、50年後も新品同様の接着力が維持されるとしている。気密防水テープは、防湿フィルムと同等の過酷な環境に置かれるため、このような試験を行っている。
 なお、同シリーズは従来、製造過程で溶剤として使われていたトルエンの代わりに安全性の高い酢酸エチルを使用、環境ホルモン問題が指摘される可塑剤も使用しないなど、健康住宅への配慮もなされている。
 特に透湿・防水シート、断熱板やツーバイパネルの継ぎ目などに適していると言われており、ブチルテープとの使い分けをしているビルダーも少なくない。
 このほか、日本住環境(株)が「ツーエステープ」を、住化プラステック(株)も「カットクロス」といったアクリル系気密防水テープを販売している。
 
(写真右...NYG推奨品の光洋化学のエースクロスSBW(両面接着タイプ) 写真左...道内でよく使われる片面接着のエースクロス011)
 
 
3次元防水テープ/光洋化学など
 20091005_04_03.jpg気密防水テープによる防水施工で厄介なのが防水層を貫通する配管部分や窓台部分の角などの施工だ。防水カバー材が新ジャンルの製品として市場に流通している一方、気密防水テープメーカーも縦横両方向に伸縮性を持たせることで、施工性を追求した専用テープを開発した。
 光洋化学は、アクリル系粘着剤使用のテープでは初めて縦にも横にも伸びる「3次元粘着」を実現した「スパンエースG」を発売している。
 スパンエースGは、アクリル系粘着剤の持つ高耐久性、低VOC、粗面にも安心の強粘着力、重ね張り可能などの特長はそのままに、これまでブチル系テープにしかなかった、のびて止まる『3次元粘着』機能を持たせた。これにより、配管貫通部や窓台部分などの防水施工が簡単になる。
 基材に特殊フィルムを採用し、元の長さの最大2.5倍に伸びる。製品は45ミリ幅と90ミリ幅の2種類で、長さは5メートル。スリット入りの片面剥離紙付。
 また、日東電工(株)ではEPDM系ゴムとブチルゴムの特性を最大限利用した「ハイパーフラッシュ」を5年前から発売している。変形しやすいゴム基材とブチルゴム系粘着材とはく離紙で構成されており、ダクト回りや窓台コーナー部などに一体的に追従して貼ることが可能。補助防水材を必要としないため、工程数が削減できるという。
 
(写真上...光洋化学のスパンエースG。縦横両方向に伸びる 図下...スパンエースGの使用イメージ)
 
 
キャッチ工法を展開/丸十商事
 20091005_04_04.jpg太陽光発電システムは、国の政策もあって人気が急上昇しているが、雨水浸入防止に重要な役割を持つ屋根の上に重量があるパネルを載せるだけに、取付方法は確実か、防水施工は万全な工法かなど、確認しておくべき事項がある。
 そんな中、独自の「キャッチ工法」を展開しているのが、丸十商事(株)(札幌市、関野光信社長)だ。同工法は横葺き勾配屋根に専用取り付け金具で屋根材を挟んでボルトで固定、その上に太陽光パネル設置用のレールを敷き、パネルを取り付ける。
 専用金具は雪止め金具と同様の施工方式だ。屋根面に穴を開ける必要がないので防水上の弱点を作りにくく、また太陽光パネルメーカー指定工法の1つにもなっているため、メーカー保証や国の補助金対象となる。
 (株)セキノ興産(本社富山市)が開発、道内では金属製屋根材の加工・販売を行う丸十商事が6年前から取り扱い、現在はキャッチ工法と太陽光パネル部材両方を道内二十数社の板金工事会社に供給し、責任施工体制を敷いている。工事会社は、セキノ興産とパネルメーカー両方の施工講習を受講し、施工品質を担保している。
 キャッチ工法は横葺き屋根のほか、折板屋根や瓦棒屋根、丸十商事が発売するオリジナル縦葺き屋根にも使える。ただしM型無落雪屋根や石付き金属屋根などは今のところ対応していない。
 
(写真...横葺き屋根へのキャッチ工法施工例)


2009年10月05日号から

◆シンプルモダンも終わり

◆シンプルモダンも終わり
札幌市 工務店 社長
 
 今年は昨年より忙しく、まずまずの1年になりそうです。これまではシンプルモダン系のお客さまが圧倒的に多かったのですが、去年ぐらいからお客さまの好みが変わってきて、無垢フローリングやシックなインテリアを好む方が増えてきました。南欧風ナチュラル系と言いましょうか。外観もこれまではガルバリウム鋼板をよく使ってきましたが、今回現場公開する住宅は塗り壁を使っています。長く続いたシンプルモダンデザインの流行も終わったのかなあと思います。
 
 
◆工事前に大きな壁が...
札幌市 建設会社 社長
 
 先日、市街地で古い住宅の大がかりなリフォームを行った時のこと。近所へ工事の挨拶にうかがったら、裏の家のおじいさんだけが「工事をやるのは許さない」と徹底抗戦の構え。もちろん法的に問題はなく、その家の奥さんも「気にしないで工事してください」と言ってくれたのですが、お客様の近所付き合いのことを考えると工事を強行するわけにもいきません。何日か通ってようやくおじいさんの承諾を得ましたが、こういうことで神経をすり減らすのはもう勘弁です。
 
 
◆気持ちの持ちようなのか...
札幌市 工務店 社長
 
 もともと数を追っているわけではないのですが、今年は意外にも感触がいいです。いままでは「性能や品質のこだわりを捨てて」という気持ちでお客さまと接していましたが、今年は「自分は20代、30代のニーズがわからない」と割り切ったので、気持ちもスッキリ。そうすると、反応もいいようです。「お客さまが望むものを提供する」と言葉で表現すれば、去年も今年も同じつもりなのですが、どこかが微妙に違うのです。仕様変更などはいっさいありません。


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