新聞記事

2009年10月05日号から

進化する防水工法1

 瑕疵保証が義務化されてから、防水性能がより確実で、施工性の良い新工法、新部材が出てきた。今回はこの中から代表的な工法・部材を取り上げて紹介し、防水施工を見直すきっかけになれば幸いだ。
 
屋根工事に防水保証/ルーフマン
 20091005_03_01.jpg北海道特有の板金屋根は、「屋根材で防水する」という考えが主流で下地での防水には注意があまり払われていなかった。しかし、断熱・気密と小屋裏換気が不十分な住宅では、室内から小屋裏空間に上がってきた暖気の影響で野地裏に結露が発生し、その結露・結氷が室内を汚したり、暖気で融けた雪融け水がハゼ部分から入り込んでスガモリの原因になった。またスガモリなどを起こした住宅では、その原因特定に時間と費用がかかるという問題もあった。
 (株)ミスター・ルーフマン(札幌市、秋山信介社長)は、屋根施工会社数社などが共同出資して作った会社。同社はこうした屋根施工の問題点を解消し、責任ある施工体制を構築するため「ルーフマン工法」を数年前に考案、現在道内全域に施工店が広がっている。
 同工法は、屋根材の防水に加え、下地でもしっかり防水する2次防水の考え方が定着している本州の瓦施工を参考に開発した。野地板に改質アスファルト系ルーフィングを専用防水テープで留め付け、専用縦桟、屋根材の順番に施工する。縦桟を入れることで屋根材と下地の間に通気層を兼ねた排水層ができ、ハゼの間や万が一の穴あきなどで屋根材の裏側に水が回っても排水されるため躯体に影響がないという。
 さらに、同社ではこの工法をマニュアル化し、研修を受けた技術者に認定書を発行する方式で全道に一定レベル以上の施工品質が担保できる仕組みを作った。現在札幌市内で5店、その他全道10地区に認定加盟店が広がっている。標準施工法や工事記録の保管などの規定があり、認定技術者の施工に対して施工後10年間の防水保証を行っている。万が一屋根回りで防水事故が起きても、工事記録を参照するなどして原因の特定がしやすく、結果的に入居者へ迅速な対応ができる。
 同社ではこのほか、ルーフマン工法を応用した太陽光発電システムの施工も請け負っている。
 
(図上...縦桟でできた空間が排水路となるルーフマン工法 写真下...ルーフマン工法の施工)
 
 
先付け防水カバー材/フクビなど
 20091005_03_02.jpg開口部回りの防水施工に、「防水カバー材」という新ジャンルができたのは6年ほど前。フクビ化学工業(株)(本社福井市)が発売した「ウェザータイト サッシ用」が先駆けだ。
 それまではサッシ下地の隅角の防水処理など3面にわたる部分は、透湿防水シートの端部を一部切り落とすなど前処理して貼り合わせていたが、熟練度により施工精度に差が出ることがあった。より確実で能率良く防水施工をするため、専用のポリエチレン製先付け防水カバー材を開発した。
 施工は、サッシ用は、中間部材、角部材の2種類を組み合わせて使う。先に窓台回りにウェザータイトを固定し、あとは通常のサッシ施工と同じ手順で行う。立ち上がり高10ミリの水返し部分があるので、サッシ枠から漏水した場合でも躯体内への雨水の浸入を防げる。
 現在では、サッシ用のほか、換気口用やダクト用、エアコン配管用、バルコニー防水用とバリエーションが増え、シリーズ化された。
 換気口用、ダクト用、配管用は、オーバーフロー管に用いられる40ミリ径から、換気システムの換気口に用いられる150ミリ径まで、防水層を貫通する管材の大きさに合わせて4種類を用意している。同社では、曲面と防水層の取り合い部分の防水テープ処理のみに比べて、長期間より確実に防水施工ができるとしている。
 このほか、バルコニー防水用では(株)クワザワがEPDMゴム製の一体カバー「スパット」を今年から発売、瑕疵保険時代に対応した防水部材としてPRしている。
 
(図上...ウェザータイトは、エアコン用の75ミリ径ダクトにも対応 図下...ウェザータイト・サッシ用。本州向けに、アルミサッシで描かれている)


試読・購読のお申し込みはこちら 価値のある3,150円


関連記事

powered by weblio


内容別

月別

新着記事