新聞記事

2009年10月05日

進化する防水工法2

外装材の新施工法/ゼオン化成など
 20091005_04_01.jpgゼオン化成(株)は、十数年前からオープンジョイント工法の塩ビ樹脂製サイディングを北米から輸入し、販売している。北米では40年の歴史があり、一般的な外装材の1つとなっている。
 樹脂は、朝夕の温度差でも伸び縮みする特性がありシーリングをその変化に追従させるのは難しい。そこでサイディングとサイディングを重ね合わせるだけでシーリングを使わないオープンジョイント工法が採用されている。
 同社では寒地住宅都市研究所(現・道立北方建築総合研究所)との共同研究でオープンジョイント工法でも十分な防水性があることを立証した。
 また、同社オリジナルの工法として、通気胴縁を省略する施工法も開発している。この新しい施工法に関しては、今年6月に住宅保証機構の瑕疵保険設計施工基準の第3条の認定を受け、通気胴縁を用いなくても通気層工法と同等の防水・排湿性がある工法と認められた。このため、瑕疵保険の申込みもスムーズになった。
 窯業系サイディングは、板材の表面塗装とシーリングで止水するが、塗装やシーリングの補修が必要だ。万が一劣化したときは通気層が2次防水の役割を果たすが、ゼオン化成では塗り替えが必要なく、長期にわたって防水性能が安定して維持できる点で樹脂製サイディングにメリットがあるとPRしている。
 現在は、同社が中層住宅向けにも用途を開拓し、また信越ポリマー(株)も戸建市場に参入していることから、普及に弾みがつきそうだ。
 
(図上...胴縁を省略したおさまり例 写真下...ゼオンサイディングの施工例) 
 
 
アクリル防水テープ/光洋化学など
 20091005_04_02.jpg気密防水テープは、粘着性が高く、柔軟ですき間を強力に塞ぐなど、実績と信頼性のあるブチル系が主流を占めていたが、そこに現れたのがアクリル基材を使った気密防水テープだ。
 光洋化学(株)は、十数年前からアクリル基材の気密防水テープ「エースクロス」を発売、徐々に販売実績を伸ばしてきた。手切れ性が良く、薄いので重ね合わせ部分に段差が発生せず、温度を問わず接着力が安定しており、コストも比較的安いことなどが評価されているポイントだ。日本窯業外装材協会(NYG)の推奨品にも選ばれており、この10年で普及が進んでいる。
 同シリーズは、スウェーデン基準に準じた防湿フィルムの耐久性規格・JIS A6930に準拠した独自の耐久試験を行い、初期接着力の約95%を維持するという。これにより、50年後も新品同様の接着力が維持されるとしている。気密防水テープは、防湿フィルムと同等の過酷な環境に置かれるため、このような試験を行っている。
 なお、同シリーズは従来、製造過程で溶剤として使われていたトルエンの代わりに安全性の高い酢酸エチルを使用、環境ホルモン問題が指摘される可塑剤も使用しないなど、健康住宅への配慮もなされている。
 特に透湿・防水シート、断熱板やツーバイパネルの継ぎ目などに適していると言われており、ブチルテープとの使い分けをしているビルダーも少なくない。
 このほか、日本住環境(株)が「ツーエステープ」を、住化プラステック(株)も「カットクロス」といったアクリル系気密防水テープを販売している。
 
(写真右...NYG推奨品の光洋化学のエースクロスSBW(両面接着タイプ) 写真左...道内でよく使われる片面接着のエースクロス011)
 
 
3次元防水テープ/光洋化学など
 20091005_04_03.jpg気密防水テープによる防水施工で厄介なのが防水層を貫通する配管部分や窓台部分の角などの施工だ。防水カバー材が新ジャンルの製品として市場に流通している一方、気密防水テープメーカーも縦横両方向に伸縮性を持たせることで、施工性を追求した専用テープを開発した。
 光洋化学は、アクリル系粘着剤使用のテープでは初めて縦にも横にも伸びる「3次元粘着」を実現した「スパンエースG」を発売している。
 スパンエースGは、アクリル系粘着剤の持つ高耐久性、低VOC、粗面にも安心の強粘着力、重ね張り可能などの特長はそのままに、これまでブチル系テープにしかなかった、のびて止まる『3次元粘着』機能を持たせた。これにより、配管貫通部や窓台部分などの防水施工が簡単になる。
 基材に特殊フィルムを採用し、元の長さの最大2.5倍に伸びる。製品は45ミリ幅と90ミリ幅の2種類で、長さは5メートル。スリット入りの片面剥離紙付。
 また、日東電工(株)ではEPDM系ゴムとブチルゴムの特性を最大限利用した「ハイパーフラッシュ」を5年前から発売している。変形しやすいゴム基材とブチルゴム系粘着材とはく離紙で構成されており、ダクト回りや窓台コーナー部などに一体的に追従して貼ることが可能。補助防水材を必要としないため、工程数が削減できるという。
 
(写真上...光洋化学のスパンエースG。縦横両方向に伸びる 図下...スパンエースGの使用イメージ)
 
 
キャッチ工法を展開/丸十商事
 20091005_04_04.jpg太陽光発電システムは、国の政策もあって人気が急上昇しているが、雨水浸入防止に重要な役割を持つ屋根の上に重量があるパネルを載せるだけに、取付方法は確実か、防水施工は万全な工法かなど、確認しておくべき事項がある。
 そんな中、独自の「キャッチ工法」を展開しているのが、丸十商事(株)(札幌市、関野光信社長)だ。同工法は横葺き勾配屋根に専用取り付け金具で屋根材を挟んでボルトで固定、その上に太陽光パネル設置用のレールを敷き、パネルを取り付ける。
 専用金具は雪止め金具と同様の施工方式だ。屋根面に穴を開ける必要がないので防水上の弱点を作りにくく、また太陽光パネルメーカー指定工法の1つにもなっているため、メーカー保証や国の補助金対象となる。
 (株)セキノ興産(本社富山市)が開発、道内では金属製屋根材の加工・販売を行う丸十商事が6年前から取り扱い、現在はキャッチ工法と太陽光パネル部材両方を道内二十数社の板金工事会社に供給し、責任施工体制を敷いている。工事会社は、セキノ興産とパネルメーカー両方の施工講習を受講し、施工品質を担保している。
 キャッチ工法は横葺き屋根のほか、折板屋根や瓦棒屋根、丸十商事が発売するオリジナル縦葺き屋根にも使える。ただしM型無落雪屋根や石付き金属屋根などは今のところ対応していない。
 
(写真...横葺き屋根へのキャッチ工法施工例)


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