新聞記事

2009年03月05日号から

超高断熱と自然エネ活用/秋田・池田建築店

国土交通大臣賞を受賞

20090305_1_1.jpg 持続可能な住宅の普及を目的として建築環境・省エネルギー機構が実施した「第3回サステナブル賞」の受賞作品がこのほど発表され、最も優秀な住宅に贈られる国土交通大臣賞に、室蘭工業大学鎌田研究室と(有)西方設計(秋田県能代市、西方里見社長)が設計、(有)池田建築店(同、池田新一郎社長)が施工した「Q=0.64臥龍山の家(サステナブル住宅)」が選ばれた。熱損失係数=Q値0.64Wという高い断熱性・省エネ性と自然エネルギーの有効利用、地場産材の積極的な採用などが高く評価された。
 
(写真...池田社長)

外壁はGW230ミリ断熱
20090305_1_2.jpg この住宅は平成18年11月末に完成した秋田県能代市内の物件。外観は秋田杉を外装材として使った5×4間の総2階建て、延床面積約150㎡というコンパクトな形状となっており、①外壁230ミリ断熱など高いレベルの断熱性能②太陽光や太陽熱、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの有効利用③地場の循環資源の利用の3つを持続可能な住宅のポイントとしている。
 断熱仕様は、外壁が高性能グラスウール24K2層充てん+グラスウールボード32K30ミリ内付加による230ミリ断熱、屋根が高性能グラスウール24K400ミリ、基礎が押出スチレンフォームB3種外側100ミリ+内側100ミリ。窓は木製サッシ・アルゴンガス入りトリプルLow-Eガラス、換気は第1種熱交換とし、Q値0.64WとⅢ地域ながら極めて高い断熱性能を確保した。
 このうち外壁の断熱構成は間柱に2×10材を使って100ミリ厚のグラスウールを2層充てんし、さらに室内側からグラスウールボード30ミリを施工した内側付加断熱。
 間柱の2×10材は柱の屋外側の面に合わせて配置しているため、室内側に130ミリほどせり出す形となるが、その分は建物の矩形を屋外側に広げることで、通常と同じ広さの室内空間を確保している。
 
(写真...「Q=0.64臥龍山の家」の外観。両サイドの1階から2階にかけて黒く見えるのが大工の造作による日射熱集熱壁)

日射熱集熱壁を造作
20090305_1_3.jpg 自然エネルギーの有効利用については、建物南面の両サイドに大工の造作による簡易日射熱集熱壁を設けたのが大きな特徴。
 これは耐熱ガラスで覆った密閉壁の中に秋田杉の下見板を入れたもので、下見板は空気が上方に流れるよう角度を付けて取り付けられており、太陽熱を吸収しやすいよう墨汁で黒く塗り、さらにその上からごま油を塗布している。
 この中で暖められた空気は90℃程度になるといい、住まい手が2階の暖気取り入れ口を操作して室内の暖房に利用する。
 また、太陽光発電の電力を動力に使った太陽熱給湯器や、地中に約16メートルの長さで埋設した塩ビ管を利用し、給気する新鮮外気の温度をコントロールするクールチューブ、ペレット兼用薪ストーブなども設置。暖房については簡易日射熱集熱壁の効果もあり、冬期は1日平均で長さ24㎝の105ミリ角材(薪)が8本あれば快適に過ごせるという。
 
(写真...秋田杉と珪藻土の塗り壁で仕上げた室内。暖房はペレット兼薪ストーブ1台で行う)

構造材と内外装材は秋田杉
 地場の循環資源の利用としては、外装材に加えほとんどの構造材と床・天井材、造作材に秋田杉の乾燥材を使用。合板も秋田杉合板を使っている。
 池田建築店の池田社長は「今回の受賞は室蘭工大の鎌田紀彦先生や西方設計・西方社長のご協力のおかげであり、これまで当社が進めてきた家づくりが間違っていなかったことが裏付けられたことにもなった。これからも地域に根ざして快適で高性能な住宅を提供し続けていきたい」と話している。


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