新聞記事

2009年03月05日号から

太陽光発電に熱視線

20090305_2_1.jpg 経済産業省ではこのほど、家庭用太陽光発電システムの普及を加速させるため、家庭や企業などが太陽光で発電した電気を、電力会社が現行の2倍ほどの価格で買い取る制度を来年度までに始めると発表。
 これにより償却期間の短縮や光熱費の大幅な削減、さらには売電による収入の増加まで可能性が広がり、住宅会社もこれを機に太陽光発電と自社の住宅を組み合わせてユーザーに訴求するケースが増えそうだ。
 今回の発表によると、これまで電力会社による太陽光発電の買取価格は24円/kWh前後だったが、これを50円弱に引き上げ、10年ほどにわたって続けるという。その一方で電力会社はこの制度にかかるコストアップ分を電気料金に転嫁することになるが、その金額は一般的な家庭でひと月数10円から100円程度に設定される見込み。
 もともと太陽光発電の普及促進は、昨年の北海道洞爺湖サミット前に福田元首相が「2050年までに温室効果ガス排出量を現状より50%削減するという目標を掲げ、そのためにドイツに奪われた太陽光発電導入量世界一の座を奪還する」と発表したことを受けて一気にヒートアップ。
 国では太陽光発電の国内導入量を2020年に現在の10倍、2030年には40倍に引き上げる考えで、そうなると新築の持家の7割以上が太陽光発電を採用することになるという。経済産業省も地球温暖化防止のための新エネルギー政策の中で、太陽光発電システムの設置価格を3~5年後には現在の半額程度まで引き下げると発表した。
 これら一連の流れの中で今年から住宅用太陽光発電システムの設置に対し、1kWあたり7万円を補助する助成制度が復活。国ではさらに電力会社の買電金額を引き上げることにより、一般家庭への普及を加速させる考えだ。
 
(写真...設置枚数を増やすため南面の片流れ屋根とした住宅。これからは片流れ屋根が増えるかも)

利回り10%の投資
20090305_2_2.jpg すでに大手ハウスメーカーの中にはエコや環境重視の姿勢をアピールするため、太陽光発電を標準化した商品をラインアップすることも珍しくはないが、今回の経産省の発表によってその動きはいっそう活発になりそうだ。
 現状で太陽光発電の設置価格はkWあたり70万~100万円、発電コストは大体46~62円kWh程度と一般家庭用電力料金の倍以上。これが買取金額の引き上げによって、発電コストが一般家庭用電力料金と同じくらいになれば、設置するシステムの最大発電出力にもよるが減価償却は10年以内になる可能性もあり、10年目以降は何もしなくても売電した分だけもうかる計算になる。
 
(写真...一般の住宅では設置面積の関係で3.5kWが限度と言われている)

アピールポイント
 実際には10年目以降に維持管理費がかかってくるものの、ユーザーにとってはお金を生み出すシステムと言えることになり、出口の見えない不況や社会不安、雇用不安などで購買意欲が減退している住宅取得予備軍を刺激するうえで「宣伝に使える」とはやくも動き出す住宅会社もいる。
 例えば最大発電出力4kWのシステムを設置した場合、売電による収入は約24万円。設置コストが240万円だとすると10年で償却可能であり、利回り10%の投資商品になるとも言える。住宅取得に200万円余計に出せるユーザーであれば、貯金や投資信託よりずっと投資効果は高い、とも言える。
 最大発電出力を増やせば副収入源として大きな魅力を持つことにもなる。「低金利時代の屋根上貯金住宅」とか「老後資金支援住宅」などと名付ければ、老後の資金を持っている団塊世代の心に響く広告になるかも。
 太陽光発電を自社の住宅のアピールポイントとするのも一つの方法。今年のモデルハウスはぜひ採用しておくべきと考えるがどうか。"光熱費ゼロ"は言うに及ばず、目に見える、手が届く楽しさとエコ、節約効果。集客面ではアイデア次第の強力ツールになりそう。


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