新聞記事

2012年09月25日号から

断熱住宅で移住誘導も

青森県蓬田村が木造の断熱村営住宅

 青森市に隣接する青森県蓬田(よもぎた)村は昨年度から5年計画で全50戸の村営住宅建設を開始。すべて木造の断熱住宅で、入居者から「最高だ」という口コミも広がっている。

20120925_01_01.jpg 同村は人口約3000人、県庁所在地の青森市からバイパス道路が完成したことで通勤圏内となり、移住も視野に住宅整備に乗り出した。1万7700m2の敷地に木造平屋の長屋建てを合計20棟建設する予定で、昨年度はこのうち6棟、15戸を完成させた。
 性能面は、Ⅱ地域の次世代省エネ基準であるQ値1.9W/m2・Kをクリアすることを条件とし、設計事務所や地元工務店が協力して断熱仕様と納まりを決定した。
 青森県はほとんどの市町村がⅡ地域だが、県庁所在地の青森市がⅢ地域で、雪に対する備えに比べて寒さ対策が遅れており、青森市の2003年度の調査では、暖房費が秋田市に次いで全国2番。はるかに寒冷な札幌より高いことが明らかになっている。青森では、戸建てなら年間で暖房灯油2000リットルと言われており、このような中、村営住宅では暖房費の安さと室内の快適性を特長としたい考えが計画段階からあった。
 蓬田村には、室蘭工業大学鎌田紀彦教授が代表理事を務めるNPO法人新住協に加盟し、断熱・気密施工の経験豊富な木戸建設(木戸鐵雄代表)、小松工務店(小松宗代表)、森の風工房・藤本建築(藤本好司代表)の3社がおり、みがいたノウハウを村営住宅の工事に投入した。
20120925_01_02.jpg 完成した住宅は高齢者タイプの2LDK74m2、一般タイプの2LDK67m2、1LDK54m2の3タイプ。高齢者タイプはスロープつきの車イス対応プランで、玄関、ホール、ユーティリティのスペースを広く取ったほか要所に手すりを配置した。設備はオール電化。
 入居は6月から。入居者の1人は「娘が嫁いで蓬田村に住んでいるので、青森市から引っ越してきた。とても快適だし、夏は風が通って涼しい。来年は畑もやりたい」と話してくれた。
 また、子育て世代の入居者は、勤務先の青森市内で蓬田村営住宅が「とても快適で最高だ」と同僚に宣伝し、口コミで空き室の問い合わせが舞い込んでいるという。
20120925_01_03.jpg 古川正隆村長は「子供も高齢者もいっしょに暮らすまちで活気があり、平屋なので生活騒音がうるさい心配もない。何より冬も暖かく省エネな家になっているので暖房費も安いはずだ」と語る。
 同村では、この冬、室温と暖房エネルギー消費のデータ取りも検討中だ。


[写真 上から]
・1棟3戸、高齢者タイプのエントランス。屋根は1/100こう配
・玄関たたきにもスロープがついている
・村営住宅を背景に古川村長


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