新聞記事

2010年10月05日号から

特集 リフォームを拓く "準新築"という新しい市場

20101005_01_01.jpg 「新築が縮小したらリフォーム」という動きとはちょっと違う。掘り起こしが始まったばかりでまだ市場は小さいけれど、いずれは住宅取得のメインが新築から中古に置き換わるという予想もある。ただ、現在はその過渡期にあり、新築市場は曇天が続く一方、リフォームも先が見えない。そのような中、本紙では10月からリフォーム面を新設し、情報発信を強化する。今回は拡大特集として、住宅会社やリフォーム会社の取り組み、経営者の考え、工法・技術の概要などについてまとめた。

リフォームに注目するユーザー側の事情

 リーマンショックに端を発した不況の影響は、昨年、住宅着工戸数にくっきりと表れた。全国では80万戸割れと45年ぶりの低水準、道内も2万6千戸台と5年前の半分近い水準となった。今年は昨年よりプラスで推移しているものの、ここ数年の落ち込みを取り戻すほどの勢いではない。
 国は住宅分野の経済対策として、新築とともに断熱・耐震・バリアフリー改修という性能向上リフォームに手厚い補助を開始している。しかし、リフォーム市場全体としては単価下落で売上が伸び悩んでいるといわれる。
 それでも今、リフォームが注目されるわけは、人口減少や収入の伸び悩み、団塊世代の第二の人生設計などを考え合わせれば、性能向上を柱にしたリフォームに可能性があるからだ。
 別の見方をすると、20代から30代の一次取得層で、新築戸建てを予算の都合であきらめた人たちの一部が中古住宅に流れ、その入居前改修が新しい需要となっている。ただ、この場合は予算の関係で性能改修に踏み込めないケースも多いといわれる。
 一方、退職前後の年齢層で、以前は2回目の新築を行った人たちの多くが新築を見合わせ、その一部が大規模リフォームを実施している。
 これまでは少なかった新築住宅の取得に近い"準新築"気分のリフォームが新しい需要になりつつあることは事実だ。

補助金や減税など行政が手厚い支援

 国では平成18年度から20年度にかけて耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修に対する減税措置を創設したほか、補助事業である長期優良住宅先導モデル事業では、最大補助額が新築同様の200万円、しかも今年度からは補助率を工事費の1割以内から3分の1以内に引き上げた。1年延長が決まった住宅エコポイントも新築に比べるとポイント還元率はリフォームの方が高いと言われている。
 また、札幌市が今年度から省エネ・耐震・バリアフリー改修への補助制度を創設するなど、地方自治体の支援も目に付くようになってきた。
 建築業とは言え、サービス業・店舗販売形態に近いリフォーム業にあって、性能向上リフォームは、新築で培った技術を活かせる。
 リフォームの主力がこれからも内外装材や設備の交換・更新で変わらないとしても、性能改修に関しては現在の新築市場以上に『技術』が物を言う。特に国が力を入れている断熱改修や耐震改修などは、基本原則を押さえた上で応用技術が必要とされる場面が多く、むしろ新築以上のスキルが求められる。
 幸いなことに、住宅会社はこれまで新築してきたOB客という宝の名簿を持っている。リフォーム営業で最初の大きな関門である"ユーザーの不安解消"がすでにできているので、すんなりリフォーム提案に進むことができるはずだ。

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