新聞記事

2009年06月25日号から

本物使い環境貢献/物林・イコロの森

20090625_01_01.jpg 物林(株)北海道支店は、苫小牧にあるイコロの森(企画運営・(株)ラウムランドスケープ)と協力して今年12月のクリスマスから「クリスマスツリーファームミッション2009」を実施する。クリスマスに北海道のアカエゾマツを送り、クリスマスを楽しんだあとに北海道に返送して苗木として翌春に植樹するという新しい企画で、クリスマスツリーをカーボンオフセットに使って環境意識を高める新しい試みに、自治体関係者や観光業界からも注目を集めている。
 
(写真...植樹について説明する物林の金川晃室長(左)。右下にあるのがツリーに使ったアカエゾマツの苗木) 

年末から事業開始

20090625_01_02.jpg 事業開始に先立ち、昨年12月に試験的にアカエゾマツの苗木を購入してもらい、クリスマス期間中は自宅にクリスマスツリーとして飾った。クリスマス終了後にイコロの森に送り返してもらって保管、それを森周辺にある荒れた林に植樹することで森の再生を願う。
 6月14日にイコロの森で関係者らを集めてクリスマスツリー植樹イベントを行った。昨年12月からの一連のプロセスを検証して問題点がないか探り、本番に備える。イコロの森は、ラウムランドスケープの鈴木敏司社長((株)アトリエアク社長)が企画し、花と炭をテーマに昨年開園した。
20090625_01_03.jpg 当日は雨が降り続く肌寒い天気にもかかわらず30名以上の参加者が集まった。植樹方法の説明を受けた後、お父さんが穴を掘ってみんなで苗木を植え、子どもたちが上に土をかけるなど、家族が仲良く役割分担しながら植樹を行う姿が見られた。
 鈴木敏司氏は、「イコロの森周辺は50年ほど前まで地元の木を使った炭焼きが行われていた場所で、適度に人の手が入っていたが、エネルギーが石油主体となって林が手入れされなくなった。植樹した場所は、放置されて細く曲がった木の多い25年生カラマツ林で、商品価値がほとんどないこともあり、すべて切り倒した。そこにアカエゾマツを4m間隔で植樹し、しばらくして間に広葉樹の苗木などを植えることで自然林に近い針交混交樹林に戻していきたい」と話している。
 物林の金川晃室長は、「夢のあるイベントだと思うので、今後イコロの森で継続的に植樹するだけでなく、自治体などにも声掛けをして同様のイベントを道内各地で開催できるようになればと考えている。今回、プログラムが無事開催できるメドもついたので、今年のクリスマス開催に向けて、道外も含め幅広く周知していきたい。航空会社や道内自治体関係者らも見学に訪れており、今後の展開に期待している」と話している。
20090625_01_04.jpg 「クリスマスツリーファームミッション2009」は、誰でも申込みが可能。高さ50~60センチのアカエゾマツの苗木を購入し、今年クリスマス前に申込者の自宅に宅配する。ツリーには木の実などオーナメント(飾り)がついた状態なのでそのまま飾って楽しめる。
 クリスマスが終わるとすぐに宅配便でイコロの森へ返送、来年のゴールデンウイークに植樹する。間引きされることも考え、ツリーとして使用した苗木以外にもう1本、合計2本植樹する。
 参加費用は2本の苗木代、往復の宅配料金、苗木の保管料、植樹料を含め1万3000円(税込)。植樹に参加する場合の交通費などは別。遠方などの理由で植樹イベントに参加できなくてもスタッフが代わりに植樹してくれる。
 問い合わせは、物林北海道支店(Tel.011・271・1685)。
 
(写真上...ラウムランドスケープの鈴木敏司社長 写真中...家族で土を掘って苗木を植える貴重な体験 写真下...植樹イベント参加者) 

記事の背景
 欧米でクリスマスツリーと言えば、本物のもみの木を使って飾る家庭も多いが、日本ではプラスチック製のツリーを使うのが一般的。プラスチック製のツリーは取扱いが簡単で何年でも使えるメリットがある一方、本物の木には香りの良さや環境にやさしいイメージがある。ただし、生きている木を使う以上、使用後の処理が問題となり、捨てられることもある。
 物林は、本物の木を使ったクリスマスツリーの楽しみ方を提案する一方、日本の住宅事情も考え、廃棄物とならず地球温暖化防止に役立つやり方を考えた。利用した後に植樹する試みは、このほかにも十勝・広尾町がサンタランドのイベントとしてノルウェースプルースを使い行っている。


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