表面の陰影活かす
重厚感あり表情も個性的
基礎断熱した布基礎の表面仕上げは、断熱材の上からモルタル仕上げとするケースがほとんどだが、モルタルにクラックが入ってしまうことが珍しくない。これは基礎断熱材の動きにモルタルが追従しきれないためと言われており、基礎断熱を採用しているビルダーにとって課題の一つとなっている。
同社でも以前は断熱材の硬質ウレタンボード表面にファイバーメッシュを張ってから、圧着強度を出すために吸着性のある液体のカチオンや粒子が一定の砂、保水剤などを水で混ぜ合わせたノロを塗り、その上にモルタル仕上げを行っていたが、ユーザーにクラックが入っても問題はないと説明しても玄関廻りなどにクラックが入ると見た目が悪くなることもあるため、四年程前からクラックが目立たないドイツ壁仕上げを採用したという。
施工は、断熱材の上からファイバーメッシュを張り、ノロを塗ってモルタルを7、8ミリ下塗り。それから竹べらでモルタルを叩き付けて仕上げる。表面が粗い凹凸状となって陰影ができるため、仮にクラックが入っても非常にわかりにくく、表情も一棟一棟異なり、同じものは二つとないため、同一視されてきた布基礎に個性を持たせることも可能だ。
ユーザーも見て納得
手間かけることに評価も
布基礎の化粧としてはとても個性的な仕上げとなるため、同社では施工中の現場にユーザーを連れていってドイツ壁の仕上がりを見てもらっているが、ほとんど全てのユーザーが納得して受け入れてくれるといい、好みに合わないというユーザーは年に一人いる程度とのこと。中には「こんなところまで手間をかけているのか」と感心してくれるユーザーもいるという。
なお、施工は材工で平方メートル当たり3000円となっており、以前行っていたモルタル仕上げとコストは同じだそうだ。
同社の奥野社長は「布基礎仕上げにドイツ壁仕上げを採用してから4年ほど経つが、それによってクラックに関するクレームはなくなった。職人によって仕上げが異なり、個性的な表情を出せるのもメリットの一つで、今後は機会があれば壁の一部にも使っていきたい」と話している。 |
表面が彫りの深い凹凸形状となるドイツ壁仕上げの基礎
先月小樽に竣工したドイツ壁仕上げの基礎の住宅全景
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