平成15年8月5日号から
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布基礎仕上げにドイツ壁
札幌・奥野工務店 クラックにも美観損なわず
 (株)奥野工務店(札幌市、奥野諭社長)では、表面の凹凸形状が作る陰影によって万が一クラックが入っても目立ちにくく、重厚感ある個性的な表情も造ることができるドイツ壁仕上げを基礎断熱した布基礎表面に標準採用。基礎廻りのクラックに関するクレームがなくなるなど、成果を挙げている。
表面の陰影活かす
重厚感あり表情も個性的

 基礎断熱した布基礎の表面仕上げは、断熱材の上からモルタル仕上げとするケースがほとんどだが、モルタルにクラックが入ってしまうことが珍しくない。これは基礎断熱材の動きにモルタルが追従しきれないためと言われており、基礎断熱を採用しているビルダーにとって課題の一つとなっている。
 同社でも以前は断熱材の硬質ウレタンボード表面にファイバーメッシュを張ってから、圧着強度を出すために吸着性のある液体のカチオンや粒子が一定の砂、保水剤などを水で混ぜ合わせたノロを塗り、その上にモルタル仕上げを行っていたが、ユーザーにクラックが入っても問題はないと説明しても玄関廻りなどにクラックが入ると見た目が悪くなることもあるため、四年程前からクラックが目立たないドイツ壁仕上げを採用したという。
 施工は、断熱材の上からファイバーメッシュを張り、ノロを塗ってモルタルを7、8ミリ下塗り。それから竹べらでモルタルを叩き付けて仕上げる。表面が粗い凹凸状となって陰影ができるため、仮にクラックが入っても非常にわかりにくく、表情も一棟一棟異なり、同じものは二つとないため、同一視されてきた布基礎に個性を持たせることも可能だ。

ユーザーも見て納得
手間かけることに評価も

 布基礎の化粧としてはとても個性的な仕上げとなるため、同社では施工中の現場にユーザーを連れていってドイツ壁の仕上がりを見てもらっているが、ほとんど全てのユーザーが納得して受け入れてくれるといい、好みに合わないというユーザーは年に一人いる程度とのこと。中には「こんなところまで手間をかけているのか」と感心してくれるユーザーもいるという。
 なお、施工は材工で平方メートル当たり3000円となっており、以前行っていたモルタル仕上げとコストは同じだそうだ。
 同社の奥野社長は「布基礎仕上げにドイツ壁仕上げを採用してから4年ほど経つが、それによってクラックに関するクレームはなくなった。職人によって仕上げが異なり、個性的な表情を出せるのもメリットの一つで、今後は機会があれば壁の一部にも使っていきたい」と話している。

表面が彫りの深い凹凸形状となるドイツ壁仕上げの基礎


先月小樽に竣工したドイツ壁仕上げの基礎の住宅全景

排気だけなら天井裏
基礎断熱した床下空間の扱い
 改正建築基準法のシックハウス対策(いわゆるシックハウス新法)が施行になり、1ヵ月あまりが過ぎたが、確認申請窓口では混乱が続いている。そこで今回は、本紙購読者からの問い合わせをきっかけに、本紙が確認申請に関連するいくつかの疑問点を道・建築指導課に取材、その内容をまとめた(別ページにはチェックシートの記入方法を掲載)。

Q. 基礎断熱した床下空間は居室扱いになるのか、それとも天井裏等の扱いになるのか。


 居室扱いとなった場合、床下に面する床下地合板などはすべて仕上げ規制の対象となるほか、0.5回/hの換気が必要になる。一方、天井裏等の扱いとなった場合は、床下地合板などは仕上げ規制より1ランク劣るF☆☆☆でいいほか、換気の必要はない。
 まず、1階床面に床下との空気の流通を図るガラリを付けた場合、床下は居室扱いとなる。問題は床下に第三種換気システムの換気グリルを1ヵ所設け、排気だけを行っている場合。
 国土交通省などが編集した「木造住宅のシックハウス対策マニュアル」146ページでは、囲み解説の中で「居室から納戸やウォークインクローゼットを通って排気するだけの計画であれば納戸等は天井裏等の扱いになります」と書かれているが、例示の中に“床下”とは書かれていないために、自治体によっては床下は居室扱いとしてしまう例があるようだ。
 道建築指導課ではこの点について、床下も納戸などと同じく、排気するだけの計画であれば天井裏等の扱いになる、としている。またこの問題を含め、同マニュアルに記載されていないケースなども想定した新法の取り扱いについて、今後、確認業務を行う道内の窓口に対し連絡していきたいとしている。

消臭・不燃の断熱材
ホームインサル GWブローに籾殻炭を添加


天井ブローイング現場


壁BIB工法の現場。籾殻炭が入っても黒いわけではない
 ホームインサル(株)(本社札幌市)は、グラスウール吹き込み工法の原料に消臭機能や不燃性のある籾殻(もみがら)炭素を添加した「エコブロー+C」工法をこのほど売り出した。
 同工法は、床・壁・天井断熱工事として普及しているブローイング工法、BIB工法用のグラスウール吹き込み原料に、特許製法で作られた籾殻炭素を添加したもの。炭は有害物質の吸着に量的な限界があり、可燃性がある弱点があるが、籾殻炭素は有害物質を吸着した後分解するため効果が半永久的、不燃性で遠赤外線輻射、マイナスイオン放出、調湿効果などの性質も併せ持っているという。

原料の籾殻炭
 天井などのブローイング工法、壁体内に充てんするBIB工法両方に使用できる。グラスウールブローイングの原料はF☆☆☆☆を取得したニットーボー東岩(株)の「ニューダンブロー」(天井用)、「サンブロー」(床・壁用)を使用している。籾殻炭素を混ぜても、断熱性能は従来製品と変わらない。
 同工法を採用した(株)とかち工房(帯広市)の後藤薫社長は、「コスト的には従来品よりも若干アップになるが、施主が、のどが弱いなど健康面で不安があるため採用してみた。入居後、評判が良ければ幅広くお客様に勧めてみたい」と話している。
 問い合わせは、ホームインサル本社(札幌市白石区本通14丁目北5-30、Tel.011・846・8001)へ。

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