冬期に基礎工事を行っている現場。工事が冬期にかかると基礎コンクリートがなかなか暖まらず、竣工初年度は夏型結露の状態になりやすいと言う
床下基礎部分に放熱器を設置している現場。冬期施工の住宅の場合、床下暖房などにより基礎コンクリートを早期に暖める工夫を行いたい
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本紙8月5日付1面で“基礎断熱した床下がカビ臭くなった時の対応”について記事を掲載したところ、「床下も換気する場合、換気量はどの程度取ればいいのか」「当社ではこのように対策を行っている」といった質問や意見が編集部に寄せられた。そこで基礎断熱した床下におけるカビ対策について改めてまとめた。
基礎断熱した床下のカビは、施工が冬期にかかった住宅で竣工初年度の夏期に発生する危険性が高いと言われている。例えば年内に基礎工事だけ終わらせておいて、年明けから建て方・木工事に入り、春先に引き渡しの場合などは、竣工初年度に基礎コンクリートの温度が上がらず、特に床下の空気が対流しにくいと夏期にコンクリート表面で夏型結露の状態となり、カビの発生につながることがある。
また、1階床をプラットフォームで施工する場合、床下空間は閉鎖された状態となるため、屋根をかける前に雨の日が続いた場合などは、施工中でもカビ臭くなったという声も聞く。
対策としては、床下空間を室内に取り込むという基礎断熱の考え方に基づき、床下空間を暖房・換気することによって室内と同じ環境に近づけることがポイントになる。特に冬期施工の住宅は、基礎コンクリートを早い段階から暖めるとともに床下通気による換気・乾燥を促すことがポイントになる。
基礎コンクリートを暖めるためには床下を積極的に暖房するのが一つの手で、例えば床下に放熱器を設置するなど基礎断熱で施工するビルダーの間で採用例が増えている床下暖房を行うことが挙げられる。また、温水パネル暖房であれば温水配管を裸のまま布基礎外周に沿って1周回し、電気蓄熱暖房であれば1階床面を開けて土間に落とし込んで設置するといった工夫をしている例もある。
床下空間を換気する場合のイメージ図。機械換気の排気ダクトを1本床下に下ろし、床廻りの気密性が高ければ排気ダクトの対角線上に床グリルを設置する |
換気量は0.5回/時
床下の換気については、適切な間仕切り基礎の配置や人通口の確保を行ったうえで、機械換気のダクトを1本下ろしておく方法が考えられる。
機械換気の排気ダクトを下ろしておく場合は、どれくらいの換気量にすればいいのかというと、(有)北欧住宅研究所・川本清司所長によれば「空気がきれいに流れるように人通口を確保するとともに、土台廻りの断熱・気密をしっかりやっておくことを前提として、室内同様0.5回/時の換気量を取ることが必要。この時に床ガラリをいくつも付けていると、ショートサーキットを起こして排気ダクト近くの床ガラリのまわりしか換気されないため、あえて床ガラリは付ける必要はない。床下へは床廻りの隙間から室内の空気が入ってくるから心配ない。ただ、プラットフォームの床など床廻りの気密性が高い場合には、排気ダクトの対角線上に床ガラリを付けることも検討すべき」としている。
ツーバイでは床にシート状の養生材を使うと、床下の密閉度がより高くなるので、屋根がかかった段階で養生材を早めに撤去することを考えたい |
床下の気積にもよるが、実際には20~30m3程度の換気量が求められることになる。床下に換気の排気ダクトを入れると、冬期に室内の暖かい空気が床下に流入して結露を起こすのではないかという声もあるが、床下暖房でなくても全室暖房を行っている住宅であれば、室温22度の時に基礎断熱した床下空間の温度は17度程度に保たれている測定データもあり、結露環境にはならない。
このほか、施工中に床下で扇風機を回したり、土間部分に木炭塗料を塗布するなどの工夫を行うケースも見られるほか、ツーバイではシート状の養生材を床に使う場合、床下の密閉度がより高くなることから、屋根がかかった段階で養生材を撤去してしまうビルダーもいる。 |