高性能住宅Q&A
先張りを忘れてしまった!! |
「後張りでいいですが、手間がかかります」 |
写真1…2階の梁と柱の取り合いを下から見る。先張りは建て方の時に防湿フィルムを胴差しにタッカーなどで仮止めし、梁との接合部を×字に切り込んで梁を接合させる
写真2…同じく火打ち梁の先張り
写真3…先張りし忘れた火打ちまわり。工程はそのまま進み、グラスウールも入っている |
Q…在来軸組工法でこのほど初めて気密化工法を施工中なのですが、一部、ミスから先張りなどを忘れてしまいました。どうしたらいいでしょうか。(札幌市 工務店現場管理)
実例ではC値0.3を切る
A…現場管理の方からのご質問です。対策を説明する前に、最後まで施主のためにガンバリ通してほしいということをまずはお願いしたいと思います。『まあいいか』で中途半端に終わってしまっては施主がかわいそうです。専門家の誇りにかけて快適な住宅を提供してください。
在来工法の場合、気密化のポイントはいくつもありますが、先張りの施工忘れは建て方が終わったあとから、梁まわりなどを後張りで防湿・気密シート施工することになります。このとき、梁まわりを切り込んでシートと梁をテープ止めする手間が発生しますが、それはやむを得ません。
写真4(上)・写真5(下)…写真3と同様の部分を後張りした状態。火打ち梁の接合部を切り開いて火打ちとシートを丁寧にテープ止めする。この後ボード押さえとなるため、気密性能に影響はないが、手間はかかる |
写真4をご覧いただきたいと思います。これは梁まわり、火打ち梁まわりを後張りで施工した写真です。施工指導は(有)北欧住宅研究所所長・川本清司氏です。
防湿・気密材はポリエチレンフィルムを使用しています。
まずは先張りの写真です(写真1・2)。胴差しまわりに幅1メートル程度のポリエチレンフィルムをぐるりと回していくのですが、このとき、梁が入る部分は×印にカッターで切り込んで梁を落とし込むだけで施工が終わります。特にテープ止めする必要はありません。梁と胴差しがフィルムと密着するからです。施工中にフィルムが切れた部分だけ、テープで補修すればじゅうぶんです。
写真3は先張りがない部分です。本来、この段階では先張りシートがベルト状に回っていなければなりません。火打ち梁まわりの後張り施工が写真4です。フィルムと絡む部分をテープ止めしています。その後ボードで押さえるので気密性能は維持されます(写真5)。 |