平成19年7月25日号から
値上げで仕様変更も
素材高、ユーロ高、受注も厳しい
 川上インフレ(素材値上げ)、川下デフレといわれるように、住宅業界でも相次ぐ素材の値上がりを最終価格に反映させきれず、いっそうの経費節減と人件費の抑制圧力が強まっている。加えて上半期の受注状況の悪さ。07年7月中旬の道内住宅業界の声を聞いた。


針葉樹合板は床下地などにも広く使われて需要が伸び、今でも高値を維持している(写真と本文は直接関係ありません)
複合フロア4割高
 昨年から加速した建材値上げの動きは今年前半も止まらない。鉄、銅、石油、丸太といった原材料の大幅な値上げに加え、円に対するユーロ高、ドル高の傾向が強まり、ほとんどの建材に値上げが波及した。
 聞き取り調査でひんぱんに出てきたのが合板類の値上がりだ。たとえば複合フロアは「1年で4割以上の値上がり」(札幌、A工務店)、「値上がりの結果7000円/坪以上もするが、あまり安物を使うとクレームになりやすいのでこれ以上グレードを落とせない」(札幌、B工務店)など深刻だ。床仕上げを複合フロアに頼ることが多いため、1棟あたり十数万円のコストアップ要因になる。
 構造用合板は輸入品、国産ともに値上がりしており、中には「国産品の値上がり幅が大きく、価格的にメリットが感じられないので輸入品に変えようかと検討中」(十勝、C工務店)という声もある。コンパネは一時期最安値が700円台半ばまで落ちたが、昨年急騰し1700円、1800円という声も聞かれた。最近は急激な価格上昇で販売量が減少したことからやや値下がり気味だ。販売側も「コンパネは最近下がり気味。買い控えの影響もある」(札幌、大手建材問屋)と話す。「苫小牧港には木材の在庫が増えており、合板類の売上げ数量は昨年比で3割は減っている」という建材問屋もいる。
 構造材も在来用を中心に値上がりが続いている。ロシア丸太や北欧製材類の価格が高騰、その影響で道産材の需要が高まり道産材も価格が急上昇し、全面高となった。
 昨年暮れと比較すると、正角材はあたり7000~1万円以上値上がりし、集成柱もあたり1万2000~1万8000円ほど上昇、ツーバイ材もバンドル買いも含めあたり2000~4000円程度上昇している。ツーバイ材は、北米での住宅需要減速で弱含みと言われていたが、円安傾向とともに在来用製材類との連鎖的値上げという面があるようだ。このほか、人工乾燥料やプレーナー料も10~20%ほど上がっている。


道産材は輸入材の値上がりに連動して上がってきている(写真と本文は直接関係ありません)
輸入品はユーロ高
 住宅設備は、国内メーカーの価格改定後はさほど影響がないという声と、「メーカーの戦略で中・高級製品へのシフトやオプション品を多数付けるようになったので影響が大きい」(道央、D工務店)という声に分かれた。高級品など金額が張ると、全体の坪単価への影響が無視できないが、価格転嫁が進まないのは健全とは言えない。一方で輸入品は、為替の影響で値上げを余儀なくされており、電気オイルヒーターは次回見積から「25%値上げを打診され、温水セントラルに戻すことも検討している」(札幌、E工務店)など、困惑気味だ。
 一般建材については、国内メーカーの価格改定の影響は今のところあまり大きくないようだ。「室内ドアなど、価格改定後は仕切り率を下げたので実質同価格」という工務店も複数あった。断熱材も価格上昇のペースは鈍い。ところが輸入品は「木製サッシが、春に20%以上値上がりし、真空断熱ガラス入り樹脂サッシへ代替することも考えている」(道北、F工務店)など、為替の影響が出ている。

施主への影響じわり
 「毎週のように何かしら建材の値上げ要請のFAXが届いており、それに一喜一憂していても仕方ない」(札幌、B工務店)、「仕事が忙しいので建材店とやり合う余裕もなく、極端な値上げもないので通知をそのまま了解している」(道南、H工務店)など値上げに関しては諦めに似た声も聞こえる。
 そこで気になるのが末端となる住宅価格への影響だが、「坪単価2万5000円ほど値上げの予定」(道北、G工務店)、「春から企画住宅を5%値上げした」(道南、I工務店)など坪単価で2~3万円程度の値上げを予定あるいは既に実施している工務店は増えてきている。
 一方で「値上げせず頑張っている」(札幌、大手ハウスメーカー)会社や、「利益率に余裕をもって価格設定しているので今すぐ上げることはないが、今後人件費や経費を削減しなければいけない」(札幌、J工務店)、注文住宅専業の工務店では「標準単価を決めてないのでさほど影響はない」(札幌、K工務店)というところもある。
 また、急な価格上昇を施主に転嫁するわけにはいかないと、「発注業者に見積時の価格でやるよう念押ししておく」(札幌、L工務店)という工務店もある。
 素材、建材の値上げを十分に価格転嫁できない背景は、住宅市場の冷え込みが予想以上ということもあるようだ。今年5月の全道住宅着工は持家で2割減、全体では3割以上の減少となっているが、札幌市に限ってみれば持家3割減、貸家7割減、トータル半減の深刻な状況だ。「ハウスメーカーの上半期決算はかつてないほど悪くなる」(建材メーカー筋)という話も出てきた。
 消費者の収入がなかなか増えない中で、金利上昇や実質増税で支払い可能額が減っていき、値上げしにくい環境が生まれている。そういった中で「ローコストビルダーは一層厳しくなるのでは」という声もちらほら聞こえるようになってきた。

道内全域で協力者を募集
換気熱使った融雪
川本氏 燃料費ゼロで30m2以上

今年3月8日の午後4時過ぎの状況。前日から2日間で40センチを超す降雪があり雪は降り続いているが、ヒーティング部分は乾燥している。気温は真冬日(小樽市内)
 第3種換気システムの換気排熱を利用してロードヒーティングを行う省エネ・エコロジー型融雪システム「とけまるくん」を開発、この冬の設置実験で期待通りの結果を得た(有)北欧住宅研究所・川本清司所長は、融雪面積と施工可能地域の拡大に向けた研究を開始。このほど分析を終えて地域ごとの融雪可能面積を公表するとともに、道内全域で新たなシステムによる「とけまるくん」の融雪実証実験に協力してくれる会社を募集する。
 このシステムは、第3種換気の換気排熱を融雪のエネルギーに使い、燃料代ゼロ円で玄関前のスペースを融雪してしまおうというもので、設備は温水ロードヒーティングと似ており、ボイラーの代わりに排熱を回収する熱交換器を使う。その他の設備は基本的に同じ。ランニングコストは循環ポンプの電気代だけという超省エネ・エコロジー型の融雪だが、20℃程度の低温熱源を使うため、融雪可能面積にかなりの制約があると当初は考えていた。
 この冬、小樽市で行った実験では、ポーチ4m2を問題なく融雪し、その成果が確かめられた。その後、川本氏は雪氷工学の専門家の協力を仰ぎながら、融雪可能面積と施工可能エリアの拡大に取り組み、このほど試算値が出た。
 それによると、札幌とその近郊で最大42m2程度、厳寒の北見とその近郊でも32m2程度が可能という試算になった。
 この結果を受けて、川本氏は道東・道北を含む道内全域を対象に実証実験を行うことを決め、同氏が会長を務めるNEWソトダン住宅研究会と北方圏住宅研究会の協力を得て、実験に協力してくれる会社と現場を募集する。
 川本氏が設計・施工指導を行い、それぞれの地域で「とけまるくん」を使ってロードヒーティングを設置する。設置費用は協力する住宅会社などの負担だが、材料費の一部は川本氏が負担する。ひと冬計測を行う。計測器の設置などは川本氏が行う。
 施工費の原価は一般的な灯油温水式より割安になる。条件など詳しくは川本氏まで(札幌市東区北16条東1丁目3ノ25ノ708、011・712・0331)。


抽選でグアム旅行
光洋化学 今年もキャンペーン展開
 気密・防水用「エースクロス」、養生用「カットエース」など豊富なラインナップのアクリル系粘着テープを製造・販売している光洋化学(株)は、8月1日から11月30日まで、今年も海外旅行が当たる販促キャンペーンを行う。
 第5回目となるこのキャンペーンは、同社のアクリル系粘着テープを幅広く知ってもらい、愛用者を増やす目的で続けている。
 応募方法は、同社キャンペーン係に電話かFAXで応募用紙を請求し、FAXで送ってもらう。応募用紙に、名前、会社名、住所、電話のほか、現在使用中のテープについてテープ名、型番、購買先や使用目的など簡単なアンケート欄があり、すべて記入して折返しFAXする。粘着テープ(他社製も含む)を仕事で使用・取り扱う20歳以上の成人が対象で、応募は1人1口に限る。

光洋化学のアクリル系気密・防水テープ
 応募者全員の中から抽選で10組20名に2泊3日のグアム島ペア旅行が、また同社粘着テープの詰め合わせが50名に当たる。旅行日程など詳細は指定の旅行会社と個別に打ち合わせ、2人合計の旅行金額は合計で10万円を限度とする。また、旅行当選者には直接通知するほか、来年3月の北海道住宅新聞の同社広告に氏名を掲載する。
 応募・問い合わせは、同社キャンペーン係(03・3379・5361、FAX03・3379・5362)へ。


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