平成19年7月15日号から
積極提案で差別化できる電気暖房
 
 暖房の熱源は、電気の割合が急速に高まり、新築住宅の3割がオール電化。今回は、暖房メーカーにアンケートを実施して各方式の特徴を探り、電気暖房を積極的に提案している工務店からの話を特集した。今後の暖房提案の参考にと企画した。

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暖房費1/3を目指す
千歳・協栄ハウス Q1.0レベルを坪50万円以下で

土間床暖房のパイピング。回路を分け、施工長さは500メートル以上
 (株)協栄ハウス(千歳市、石黒浩史専務)は、暖房費が次世代省エネルギー基準仕様の灯油暖房比で3分の1以下を目指す省エネルギー性能を持ち、暖房・換気を含む本体価格が坪50万円を切るモデルハウスを現在、千歳市勇舞で建築中だ。昨年11月に完成した無暖房に挑戦したモデルハウスに次ぐ第2弾。ひと冬検証した上で、来春にも新商品として本格販売を始める予定。
 前回の無暖房住宅は壁の断熱材が335ミリで熱損失係数(Q値)はおよそ0.7W、150m2の暖房面積を年間1万5000円以下でまかなう提案。エアコン1台が入っているとはいえ、本格的な暖房設備は一切なく、同社自身も冬場の消費エネルギー計測などを通じて自信を深めた。ただ、一部に特注品を使うなど、商品としては勧めにくい側面もあった。
 今回は高い省エネルギー性を実現可能な価格と住設建材で、というコンセプトで企画。躯体の断熱強化とともに、暖房・給湯にはヒートポンプを採用し、トータルでエネルギーと光熱費の削減を目指した。
 構造はツーバイシックス工法。断熱は、Q値1Wを切るという目標を達成するため、壁に高性能グラスウール16K140ミリを充てんし、その外側に熱伝導率0・0186W(初期値)というアキレス(株)の高性能硬質ウレタンフォーム保温板「キューワンボード」30ミリを付加断熱。合計でグラスウール200ミリ相当とした。キューワンボードは道内初採用。
 窓は輸入木製トリプルガラスで、通常在庫があるアルゴンガス封入タイプ、小屋裏はブローイング410ミリ、基礎断熱は布外周・内周にそれぞれ押出スチレンフォームB3種100ミリ、土間下は同50ミリを施工した。


1階の床開口部。奥にみえるダクトで2階へ暖気を送り床から吹き出す
土間蓄熱ヒーポンで
 もう一つの挑戦である暖房方式は、オール電化で、ヒートポンプボイラーで作った温水を床下コンクリートスラブ内に配管して蓄熱。暖房は夜間時間帯の8時間だけとし、1階は床下暖房、2階は暖気を送風機とダクトで送り2階の床から吹き出す。これまで平屋では確認済みの暖房方法だが、2階へのダクト搬送は初の試み。
 このほか、熱交換換気には国産品を採用、給湯にはエコキュートを採用し暖房だけでなくトータルでエネルギーと光熱費の削減に取り組む。

キューワンボードを外張り付加施工中。大工によると通常品のウレタンボードよりもやや重く、しっかりした感じという
 試算ではQ値が0・99W、暖房設定温度を18℃として年間の暖房エネルギー負荷は灯油換算で約680リットル。ヒートポンプ暖房のCOPを2と仮定し電気代の割安な夜間だけの通電で足りるとすると、暖房費は年間3万円前後で済む。
 石黒専務は「高い断熱性を生かし土間蓄熱だけで2階の暖房もまかなえるかどうかがポイントだ。今回の暖房方式がうまくいけば、イニシャルコストの増加分をおよそ10年以内に回収することができ、消費者にとって現実的で魅力的な商品となる。冬場の測定結果が楽しみだ」と語っている。


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