平成19年11月25日号から
給湯機や暖房機など
点検通知など義務化
長期使用による重大事故発生うけ

PL法による製造物責任に加え、長期使用による危険性の予告表示責任が発生することにより、住宅設備は法の対象になるかどうかを問わず、長期使用時の危険性表示が広く行われるようになるだろう。また住宅本体については、住まいのしおりなどの取扱説明書を全面改定し、長期使用によって予測される故障や不具合と、それによる事故の可能性を指摘した上で、早期点検・交換を勧める表示が大切になる
長期使用による重大事故発生うけ
 消費者向けの製品で経年劣化によって起こる重大事故を防ぐため、このほど消費生活用製品安全法(消安法)の改正案が可決・成立した。周知期間を経て、2009年春から施行される見込み。FF暖房機など9品目の製造メーカー等に点検時期の通知などを義務づけるほか、換気扇などについては劣化による故障によって事故に発展する可能性があることを製品本体に表示することを義務づける方向だ。

国は事故情報を公開
 ガス湯沸かし器や石油暖房機、扇風機の使用によって重大な事故が発生している。これらのうち、製品の欠陥や瑕疵が原因の事故については製造メーカーや輸入業者(以下製造メーカー等)の責任を問うことができるが、経年劣化が原因で起こる事故は本来的には消費者責任。ただ、重大事故を未然に防ぐためには、製造メーカー等の対応が必要となる。
 また、製造メーカー等から事故情報の提供が十分に行われていない状況を重視し、経済産業省では消費者用製品安全生活法の一部改正を行い、今年5月から製造メーカー等に重大製品事故について国に報告することを義務づけた。
 そこで、報告された重大製品事故の状況や、消費者の保守安全意識の低下を重視し、法改正の準備を始めた。
 改正法では、経年劣化による重大事故の発生を未然に防ぐため、長期使用時の製品保守サポート制度を導入する。これは、消費者自身による保守が難しく、経年劣化によって重大事故の発生するおそれが高い9品目について、①標準使用期間(耐用年数)や長期使用時の点検時期などを製品へ表示すること、②消費者への点検時期の通知、消費者からの点検要請の応諾、③基準に則った点検体制の整備―などを製造メーカー等に義務づける。
 現在、対象品目としてガス瞬間湯沸器、石油給湯機、ガス風呂釜、石油風呂釜、石油温風FF暖房機、食器洗乾燥機、浴室乾燥暖房機などが挙がっており、具体的には今後政令で指定する。
 標準使用期間を例えば10年と定めた場合、購入後10年前後で製造メーカー等が消費者に点検の必要性を通知する。消費者から点検を依頼された場合には適切な点検を行う。また、販売者に対しては、販売時に経年劣化のリスクや点検の必要性に関する説明を義務づける。販売者は『ユーザー登録』を勧め、所定の用紙を渡して記入してもらう。ユーザー登録カードは製造メーカー等が管理する。
 一方、国は経年劣化にかかわる危険情報の収集・公表などを行う。

換気扇などリスク表示義務
 このほか、経産省では長期使用で経年劣化により一定数の重大事故が発生している製品、たとえば扇風機などは長期使用時に経年劣化が原因で重大事故が起こる恐れがあることを製造メーカー等が製品に明示する方針を固めた。
 対象商品の指定については、換気扇、扇風機、エアコン、洗濯機、テレビの5品目を候補として挙げており、今後審議会を開催して業界関係者らの意見も聞いた上で来春までに省令で指定する方針。

責任の線引きが明確に
【解説】今回の改正法は、成立に至る経緯はともかく、製品本体に劣化による事故の可能性を表示するという点については評価できる内容だ。住宅に取り付けられる装備は、そのほとんどが長期使用を想定している。しかしその耐用年数の目安が示されていないため、製造欠陥が疑われるにもかかわらずユーザーが負担したり、逆に耐用年数を過ぎているのに業者負担になったりという細かな問題があった。
 改正消安法の施行により、こういった問題のすべてがなくなるわけではないが、販売側(元請側)と消費者の間に責任分担の線引きをすることができるようになる。また消費者にとっても表示等により事故や不具合の発生を未然に防ぐことができるようになる。
 ただ、消費者保護をお題目に行き過ぎた規制を行うことが本来の目的ではない。業界が襟を正すことは当然として、消費者教育と過度な規制排除も必要だろう。
 なお、対象品目の指定はこれからとされているが、燃焼機器や熱源機、モーター類を搭載した機器はいまから対応を進めておくべきかもしれない。


超高断熱が当たり前の時代へ
Q1.0と200ミリ断熱
 CO2排出量削減や石油高騰への対応など、住宅の省エネ化は避けて通れない状況となっているが、そんな中、北海道では暖房費半減を目指した高省エネ住宅を造る動きが広まりつつある。特に高断熱住宅のトップランナーであるビルダーは200ミリ断熱にチャレンジ。ユーザーからも良好な反応を得ており、標準仕様化を進めるビルダーもいる。もはや200ミリ断熱の高省エネ住宅は特別なものではなくなりつつある。

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温かみとメンテ両立
ミタカ工業 道産材と樹脂の複合サッシ


室内側は木製サッシ、屋外側は一般の樹脂サッシと見た目は同じ。引き違いは引き手の形状を工夫したユニバーサルデザイン
 (株)ミタカ工業(札幌市)は、道産集成材と樹脂の複合断熱サッシ「エコロウインド もくプラM」をこのほど発売した。木製サッシの断熱性、質感と樹脂サッシのメンテナンス性の良さを併せ持った製品として売り込む。
 同社は、福祉施設や病院向けにアルミ、道産材、樹脂の複合ドア「ミタカMシリーズ」を製造・販売しており、道内の多くの施設・病院で採用されている。こうした実績をベースに、今回住宅向けの建材へ参入した。
 「エコロウインド もくプラM」は、道産集成材を枠材として用い、室外側は耐候性を高めるため樹脂枠を採用した木と樹脂の複合サッシ。木と樹脂の枠材を一体成形する技術で、製造後の寸法の狂いを最小限に抑えた。最大で22ミリ厚の空気層のペアガラスまで使える設計としており、トリプルガラスにも対応する。
 道立北方建築総合研究所や道立林産試験場で断熱・気密・水密・耐風圧試験を行ったところ、断熱性能は空気層16ミリ厚の高断熱ペアガラスを採用した縦すべり出し窓で熱貫流率(K値)1・5W/m2Kを記録、気密性はA-4等級、耐風圧性はS-4等級、水密性はW―5等級を達成した。万が一、雨水が樹脂の裏側に回ったときも木製枠への浸水を食い止めスムーズに排水されるよう設計している。
 窓の種類は、引き違い、縦すべり出し、横すべり出し、固定と4タイプあり、組み合わせも可能。サイズはできる限り広範囲に対応していきたいとしている。使用する木材は道産のタモ集成材のほか、メープル集成材なども対応でき、ホワイト、ブラウン、ダークブラウンなど塗装済みで出荷することも可能。
 価格は樹脂サッシの3倍程度が目安で、標準的な納期は受注後10~20日程度。同社では、「大量生産を目指すのではなく、品質の良さと手入れのしやすさを評価していただける住宅会社にコツコツと作っていきたい」と話している。
 問い合わせは、同社(札幌市東区丘珠町712-80、Tel.011・784・6001)へ。
ホームページ:http://www.mitaka-k.com/

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