平成18年9月5日号から
カラマツ集成土台が好評
下川町森林組合 道内初の乾式防腐防蟻処理

乾式防腐防蟻処理によるカラマツ集成材土台。集成材ならではの寸法安定性が大きな特徴
 道北の山間の町・下川町で森林造成や木材加工などを行っている下川町森林組合では、昨年11月から乾式で防腐防蟻処理した地元カラマツ材の集成材土台『北海道の礎(いしずえ)』を本格的に生産開始。これまで200m3だった月産量を今月から250m3に引き上げるなど需要が増えつつあり、市場の評価も高まっている。


工場内の乾式防腐防蟻処理装置。下の釜にインサイジング処理を施したカラマツ集成材を入れ、上の釜から溶剤に混ぜた薬品をかけて減圧処理により集成材内部まで浸透させる
地場産材の用途拡大
  森林が町の総面積の9割を占め、林業・林産業が基幹産業となっている下川町では、町有林と同組合所有林を合わせてカラマツの製材向け間伐材が年間5000m3出てくるという。このうち3000m3は構造用集成材などに利用されているが、同組合ではさらに住宅部材としての用途を拡大したいと考えたほか、エンドユーザーの国産材・地場産材指向が高まり、3年ほど前から土台も含めてオール集成材の家を建てたいという声も寄せられていたことから、1億1500万円を投じてカラマツ集成材の防腐土台生産設備を整えた。
 集成材は無垢材と異なり、防腐防蟻処理する場合に薬品を水で溶かして加圧注入する湿式処理では表層部分しか薬品が残らない。そのため、同組合では道内初の乾式防腐防蟻処理を採用した。

カラマツ集成材を乾式防腐防蟻処理装置に入れる前に行うインサイジング処理
 これはインサイジングと呼ばれる処理によって集成材4面に深さ約8程度の線状の切り込みをまんべんなく付けておき、防腐防蟻処理装置にセットした後、減圧によって溶剤に混ぜた薬品を切り込みから集成材内部に浸透させる。その後、高周波によって溶剤を抽出し、薬品だけを集成材に残す仕組みだ。
 集成材は4プライで、含水率は10%±2%としており、防腐防蟻処理装置にセットして高周波処理が終わるまでは13時間。

寸法安定性に優れる

右が防腐処理前、左が防腐処理後のカラマツ集成材土台。処理後は色味が若干薄れるが、徐々に元に戻っていくという
 湿式処理とは異なり含水率の上昇や乾燥工程におけるねじれやそりもなく、形状変化が少なく寸法安定性に優れる集成材の特徴をそのまま活かせるのが大きなメリット。高周波処理を終えた後、すぐに加工することが可能で、日本住宅・木材技術センターが優良な製品に対して行うAQ認証も取得している。また、使用する薬品による健康への影響は住宅1棟でコーヒー一杯分と同じ。仮に直接土台を舐めたとしても食塩を舐めるのと変わらないほどという。
 サイズは長さ2750ミリ、3000ミリ、3650ミリ、4000ミリの4種類で、断面は105ミリ角と120ミリ角の2種類。価格は工務店入り価格で 3200~3500円程度(3650ミリの105ミリ角の場合)と、無垢材の防腐土台とヒバ集成材土台のちょうど中間。
 同組合加工部の伊藤進部長は「採用した道内の工務店からはプレカットの精度も良くなるため、とても施工しやすいと評価をいただいており、プレカット業者の反応もいい。現状では東京方面への出荷が多いが、道内での普及にも力を入れていきたい」と話している。
 問い合わせは同組合(Tel.01655・4・2159、Fax.01655・4・2720)へ。
ホームページhttp://www.shimokawa.ne.jp/shinrin/


基礎断熱のカビ対策
床下を暖房・換気
冬期施工の住宅ほど配慮

冬期に基礎工事を行っている現場。工事が冬期にかかると基礎コンクリートがなかなか暖まらず、竣工初年度は夏型結露の状態になりやすいと言う


床下基礎部分に放熱器を設置している現場。冬期施工の住宅の場合、床下暖房などにより基礎コンクリートを早期に暖める工夫を行いたい
 本紙8月5日付1面で“基礎断熱した床下がカビ臭くなった時の対応”について記事を掲載したところ、「床下も換気する場合、換気量はどの程度取ればいいのか」「当社ではこのように対策を行っている」といった質問や意見が編集部に寄せられた。そこで基礎断熱した床下におけるカビ対策について改めてまとめた。
 基礎断熱した床下のカビは、施工が冬期にかかった住宅で竣工初年度の夏期に発生する危険性が高いと言われている。例えば年内に基礎工事だけ終わらせておいて、年明けから建て方・木工事に入り、春先に引き渡しの場合などは、竣工初年度に基礎コンクリートの温度が上がらず、特に床下の空気が対流しにくいと夏期にコンクリート表面で夏型結露の状態となり、カビの発生につながることがある。
 また、1階床をプラットフォームで施工する場合、床下空間は閉鎖された状態となるため、屋根をかける前に雨の日が続いた場合などは、施工中でもカビ臭くなったという声も聞く。
 対策としては、床下空間を室内に取り込むという基礎断熱の考え方に基づき、床下空間を暖房・換気することによって室内と同じ環境に近づけることがポイントになる。特に冬期施工の住宅は、基礎コンクリートを早い段階から暖めるとともに床下通気による換気・乾燥を促すことがポイントになる。
 基礎コンクリートを暖めるためには床下を積極的に暖房するのが一つの手で、例えば床下に放熱器を設置するなど基礎断熱で施工するビルダーの間で採用例が増えている床下暖房を行うことが挙げられる。また、温水パネル暖房であれば温水配管を裸のまま布基礎外周に沿って1周回し、電気蓄熱暖房であれば1階床面を開けて土間に落とし込んで設置するといった工夫をしている例もある。


床下空間を換気する場合のイメージ図。機械換気の排気ダクトを1本床下に下ろし、床廻りの気密性が高ければ排気ダクトの対角線上に床グリルを設置する
換気量は0.5回/時
 床下の換気については、適切な間仕切り基礎の配置や人通口の確保を行ったうえで、機械換気のダクトを1本下ろしておく方法が考えられる。
 機械換気の排気ダクトを下ろしておく場合は、どれくらいの換気量にすればいいのかというと、(有)北欧住宅研究所・川本清司所長によれば「空気がきれいに流れるように人通口を確保するとともに、土台廻りの断熱・気密をしっかりやっておくことを前提として、室内同様0.5回/時の換気量を取ることが必要。この時に床ガラリをいくつも付けていると、ショートサーキットを起こして排気ダクト近くの床ガラリのまわりしか換気されないため、あえて床ガラリは付ける必要はない。床下へは床廻りの隙間から室内の空気が入ってくるから心配ない。ただ、プラットフォームの床など床廻りの気密性が高い場合には、排気ダクトの対角線上に床ガラリを付けることも検討すべき」としている。

ツーバイでは床にシート状の養生材を使うと、床下の密閉度がより高くなるので、屋根がかかった段階で養生材を早めに撤去することを考えたい
 床下の気積にもよるが、実際には20~30m3程度の換気量が求められることになる。床下に換気の排気ダクトを入れると、冬期に室内の暖かい空気が床下に流入して結露を起こすのではないかという声もあるが、床下暖房でなくても全室暖房を行っている住宅であれば、室温22度の時に基礎断熱した床下空間の温度は17度程度に保たれている測定データもあり、結露環境にはならない。
 このほか、施工中に床下で扇風機を回したり、土間部分に木炭塗料を塗布するなどの工夫を行うケースも見られるほか、ツーバイではシート状の養生材を床に使う場合、床下の密閉度がより高くなることから、屋根がかかった段階で養生材を撤去してしまうビルダーもいる。



高省エネ住宅の視点2
「省エネは断熱材の厚手化で決まる」
ニットーボー東岩(株)営業企画部・堀 敏樹部長に聞く
 住宅の暖房エネルギー削減でまず最初に行うのは躯体の高断熱・高気密化だ。100ミリ断熱で気密化も一定水準に達した北海道はこの最初のステップを終え、高断熱化の次のステップとして何を行うべきなのか。第3回の今回は、住宅用断熱材として代表的なグラスウールを製造するニットーボー東岩(株)の営業企画部堀敏樹部長に「省エネは断熱材の高断熱化、そして厚手化で決まる」と題して高断熱化の視点を聞いた。同社は日本で初めて高性能グラスウールを開発し、高断熱化をリードする断熱材メーカーでもある。

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給気を地中で予熱
十勝・水野建設 熱交換効率の維持に工夫

ガルバリウム張りを多用してモダンなイメージに。基礎から出ている給気管が外気の導入口。土間下を通って予熱されピットから換気システムに導かれる
 (有)水野建設(十勝・音更町、水野光義社長)は、NPO法人新木造住宅技術研究協議会(新住協)が推進するQ1.0住宅プロジェクトに参加して同社では初めてとなるQ1.0住宅を建設、このほど一般公開した。
【記事全文は紙面にて。見本誌をご請求ください】



厳しい気候でも快適
名寄・吉田組 外断熱採用し開口部強化

大屋根が特徴的な外観。外壁の一部をセットバックした空間を、エントランスや車の駐車スペースとすることで雪処理にかかる負担を軽減している
 (株)吉田組(名寄市、吉田竹治社長)では、外断熱の構造体を現場発泡ウレタンによる内側断熱付加やオリジナルの断熱内戸などで性能強化するとともに、食品庫やスキップフロア・地下室のあるプランなどによって、寒さ暑さが厳しい名寄でも快適で豊かな暮らしを送ることができる住まいづくりを進めている。
【記事全文は紙面にて。見本誌をご請求ください】

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