平成18年8月15日号から
穏やかに拡大し急後退か
この先3年の住宅着工予測
キーワード…団塊ジュニア・金利・消費税

平成9年11月のたくぎん破綻など北海道の特殊事情により、10年以降は長期低迷のまま18年を迎えた。この間全国ベースでは同じく下降線をたどるものの10年以降の落ち込み幅が小さい
 全国の今年1~6月の持家着工が対前年比1.3%増、北海道はこれを上回る6.7%増で、近年にない好調を記録している。成長がさらに加速し年計で2ケタ増という強気の予測も出始めているが、同時に3年後に想定される消費税率アップ後の反動減を心配する声もあがっている。
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デザインで差別化
札幌・ベストホーム 住替え前提の都市型住宅

北入り玄関だが閉塞感を感じない外観。側壁は光をコントロールするための小窓が並んでいる
 地下鉄駅に近い都市の暮らしと利便性、スタイリッシュでモダンなデザインを一次取得者が手に入る価格で。札幌市北区の地下鉄麻生(あさぶ)駅にほど近い北向きの間口の狭い敷地に、デザインの統一感を意識した2棟の木造3階建て建売住宅が発売された。老後の住み替えを前提に大胆なプランと売却時の資産価値を実現するため、若手の建築家が設計した。

札幌の市場に変化
 札幌の戸建住宅市場はここ数年変化を見せている。都心回帰志向が強くなり、マンションの購買層をターゲットにした、地下鉄駅から近い狭小敷地の建売住宅がヒットしている。立地条件、価格が周辺のマンション並みという手頃さと、プライバシーや駐車場確保など戸建住宅のメリットが評価されているようだ。
 (株)ベストホーム(札幌市、藤江真吾社長)は、この流れに目を付けさらに付加価値を加えた建売住宅を考えた。こうした住宅の販売対象は30代から40 代の一次取得者層。モダンデザインを支持する年代で、こだわりを持つ人も比較的多い。そこで内外観のデザインに力を入れた。
 また、間口の狭い3階建住宅は老後の生活には必ずしも便利ではないと考え、「ライフステージに応じた住み替え」を想定して売却時になるべく高い値段で売れる住宅づくりを考えた。
 価格をなるべく抑えながら高い強度を実現するため組込車庫の入口と玄関部分に門型ラーメンフレーム構法を採用した。消費者へ安心を提供するために構造計算は専門の設計事務所に依頼、プラン上必要ならば門型ラーメンなど新しい工法にもチャレンジする。


2階から上の階段は蹴こみがなく、手すりも細い素材で目立たなくしている。金属の素材感だけではクール過ぎるので、木質建材と明かり取りの窓を設けて温かみも演出

南向きの明るいダイニングキッチン
建築家がデザイン
 現在販売中の「キアラ麻生」は、地下鉄麻生駅や大手スーパーから徒歩3分という好条件の立地で建物込み3480万円という価格を実現、延床面積は約41坪(車庫込)と家族4人が暮らせる十分な広さと建築家に平面プランと空間デザインを依頼することでデザイン面で付加価値を高めた。
 建築家はスタジオ・シンフォニカ(有)の畠中秀幸代表。市内の設計事務所に所属して札幌ドームほか施設の設計にたずさわり、その後現会社を設立、個人住宅などの設計経験を積んだ。一方、別の顔として吹奏楽団の代表で指揮者兼フルート奏者、コンサートイベントのプロデューサー、舞台の空間美術を担当するなど、多方面で活躍している。
 畠中氏は3階から風や光がうまく入るように吹き抜けなどを工夫、1年中直接光や反射光が2階のリビングに射し込むよう配慮した。
 こうした空間デザインを生かすため室内は凸凹を極力避け、フラットにした。照明は一部を除いて埋め込み式とし一部屋を複数の白熱灯で照らし、窓枠も室内に見えないようにしている。外観もフラットな形状にするため平板サイディングのジョイント部をパテで埋め、その上から耐紫外線劣化が少ないフッ素樹脂系塗料をローラーで塗って木造住宅らしさを消し、スタイリッシュな雰囲気に。

3階から射し込む光がドラマチックな2階リビング
 組込車庫の入口は電動シャッター、玄関ポーチのタイルには床暖房を埋め込むなど、冬の生活に配慮している。また、ボイラー室をユーティリティーから独立させ、来客時に洗濯干し場としても使えるよう提案している。3階にはルーバー状の手すりで目隠しをしたバルコニーを設置、隣地と接近した狭小地のハンディを克服し、開放感を演出している。暖房は温水セントラル式でキッチンはIH。

今後も同様の建売を企画中
 同社によれば、来場しているのは想定通り30代から40代前半の家族連れで、来場者アンケートなどの分析結果ではプランニングに対する評価が特に高く手応えを感じている。今後も西区山の手などで同様の建売住宅を計画しており、不動産売買などの本業を生かして利便性の高い立地の土地仕入れを行い、付加価値の高い建売住宅としてシリーズ化する考えだ。



外断熱の耐震性確保
道建築技術協会 構造設計指針案を発表

解説する植松氏
 (社)北海道建築技術協会(荒谷登会長、北大名誉教授)ではこのほど外断熱工法の構造設計指針案を発表、7月28日に札幌で開かれた研修会でその内容を解説した。
 この指針案は主に6階建て程度までのRC造外断熱建築を対象に、外断熱の断熱材と外装が地震や強風で脱落しないように構造安全性を確保する目的でまとめられたもの。現在市場に出回っているさまざまな工法の実験データや実績を踏まえ、各種法規を参考にしながら設計時の指針として1.地震力、風圧力、外装材自重 2.躯体の変形に対する追従性 3.地震などによる力が加わったあとの残留変形に対する配慮―について指針を定めた。
 これまで高さ20メートル程度(5~6階建て程度)までの建築物に採用された外断熱工法の剥落事故が1件も起きていない実績をもとに、構造安全性を確保するための必要項目と目標を整理した。
 研修会で解説した道立北方建築総合研究所生産技術部の植松武是氏は、「振動実験などの結果から、既存の工法はしっかり施工されていれば高い耐震性を示す一方、施工ミスを想定して止めつけ金物をはずすなどして実験を行うと、その部分から脱落などが始まる。当然のことではあるが、施工管理がとても重要になる。また、外断熱工法の耐震性も、躯体の耐震性がしっかりしていることが大前提。断熱改修の時などは躯体の耐震診断をしっかり行ってほしい。躯体に問題があると、外に張る断熱材や外装材がはじかれてしまう」と話を締めくくった。
 この指針案は同協会のホームページからダウンロードすることもできる。主に工法開発時に構造安全性を確認する参考として提案されているが、会員外の企業が参考として利用することもできる。
 問い合わせは事務局へ(札幌市中央区大通西5丁目11大五ビル、Tel.011・251・2794)。
ホームページhttp://www.phoenix-c.or.jp/~hobea/



高省エネ住宅の視点1
本気で無暖房ですか?
北信商建(株)・相澤英晴社長に聞く

北信商建・相澤社長とFBソーラー無暖房住宅のカットモデル
 京都議定書の発効や石油価格の高騰などによって、高断熱化や高効率熱源機で暖房エネルギーを大幅に削減する住宅が注目を集めている。本紙ではこの動きを一過性のもので終わらせないため、一歩進んだ省エネ住宅に取り組む挑戦者・識者らに、それぞれの視点から省エネ住宅のあり方について語って頂く連載記事「高省エネ住宅の視点」を企画した。第1回目は長野で無暖房住宅の普及を目指す北信商建(株)の相澤英晴社長に話を聞いた。
【記事全文は紙面にて。見本誌をご請求ください】

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