既存のモルタルとシージングボードを撤去した後、OSBを張って付加断熱材の下地となる間柱材を施工した外壁面 |
(株)小井田工務店(旭川市、小井田勉社長)では、旭川市内にある築24年の住宅のリフォームで、既存グラスウール100ミリが充てんされた軸組の外側にグラスウール100ミリを新たに付加して外壁200ミリ断熱とし、基礎も高撥水グラスウールボードによる基礎断熱を行うなど、コストを抑えながらより高い省エネ効果が得られる断熱改修に挑戦した。
下地の間に付加断熱材のグラスウールを充てん |
築24年を高省エネ化
この住宅は昭和55年に建てられたもので、7年前に現在のオーナーが中古で購入。延床面積約31坪(増築部分含む)の2階建てで、改修前の断熱仕様は、外壁と天井がグラスウール100ミリ、床が同150ミリ、窓がアルミサッシ引き違いの二重サッシ。室内が寒いので暖かくしたいとオーナーから要望を受けたことに加え、モルタルの外装や屋根材の傷みも目立っていたことから、同社も加盟しているNPO新住協旭川支部が推進する200ミリ断熱での改修とともに、ガルバリウム鋼板の外装仕上げなどによって住宅全体のイメージを変えることを提案した。
工事は最初に外装の既存モルタルを撤去した後、2階の屋根を改修。適切な小屋裏空間が取れるように小屋組を造り直し、ブローイング300ミリを吹き込んでから屋根をかけた。続いて付加断熱材を納める2階外壁の下地造りを行い、同時に下屋部分の屋根を改修。下屋部分は2階外壁との取り合いに折り重ねたグラスウールを入れて気流止めとし、天井部分にブローイング300ミリを吹込み。その後1階外壁の付加断熱下地を造ってから、1・2階の付加断熱材の施工と外装仕上げ、基礎の断熱施工と化粧仕上げをそれぞれ行った。
外壁をガルバリウム鋼板、基礎を樹脂サイディングで仕上げた住宅の外観
基礎は高撥水グラスウールボードを下地材で押さえてコンクリートビスで固定 |
既存壁断熱材は流用
外壁部分は面材の既存シージングボードを撤去し、軸組外側にOSB9ミリを張ってから付加断熱材の下地となる間柱材をL金物を使って455ミリピッチで固定。土台・胴差・桁部分の室外側に上枠・下枠を付けてから高性能グラスウール16K100ミリを間柱材の間に充てんし、透湿・防水シートを張って通気層を取ってから外装仕上げとしている。
軸間に充てんされていた既存グラスウールは状態が良かったため、窓廻りや増築部分以外は室内側の防湿・気密フィルムごとそのまま残して防湿層とし、気密は軸組外側のOSBと透湿・防水シートで取る形としている。特に透湿・防水シートは断熱工事前に土台に屋外側から先張りを行い、さらに外壁に張ったシートは土台横の下地受け材の下で折り返して布基礎と基礎断熱材で挟み込むことで、土台廻りの隙間を解消している。
基礎は高撥水のGWボード使用
基礎部分は実験的なチャレンジ。布基礎外側をGLから200ミリ程度掘って暗渠と切込み砂利150ミリを入れ、高撥水グラスウールボード75を下地材で押さえてコンクリートビスで留めている。外装仕上げは縦張りの樹脂サイディングとし、一部に鋼板も使用。既存の床断熱材もそのまま残している。今後、床下空間の温湿度を計測して検証する予定だ。
このほか、窓はPVCサッシ・アルゴンガス入りLow-Eペアガラスに更新。暖房と換気はそのままで、暖房はツインバーナータイプの床暖房併用FFストーブ、換気はトイレやユーティリティーのパイプファンによるダクトレス3種換気。
内装工事や2階の一部増築なども含めて、総工事費は約750万円になるという。
同社設計・工事担当の真崎寿昭氏は「環境問題を考えると、これからは100ミリ断熱の時代ではなく、150ミリ断熱、200ミリ断熱の時代になる。今後も環境負荷が小さくコストメリットもあるグラスウールを上手に使って断熱性を高め、暖房エネルギーを減らしていきたい」と話している。 |