道内の建築時期別の木造住宅戸数と持家の居住水準
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全道持家
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最低居住水準未満
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誘導居住水準未満
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住宅総数
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1,219,200
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2,500
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256,300
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昭和35年以前
(~46年前) |
58,200
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300
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14,000
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昭和45年以前
(45~37年前) |
100,500
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300
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21,300
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昭和55年以前
(36~27年前) |
309,400
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500
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60,300
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昭和60年以前
(26~22年前) |
170,800
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300
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35,700
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平成2年以前
(21~17年前) |
165,500
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300
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36,600
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平成7年以前
(16~12年前) |
175,700
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400
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41,900
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平成10年以前
(11~9年前) |
171,100
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200
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35,200
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平成15.9年以前
(8~3年前) |
62,600
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100
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10,000
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※最低居住水準
夫婦の独立寝室(6畳)、子供個室(人数によって4.5畳、6畳)、食事室兼台所(人数によって4.5畳、6畳)の確保など
誘導居住水準(一般型)
夫婦の独立寝室(8畳)、子供個室(人数によって6畳、8畳)、食事室(人数によって3畳、4.5畳、6畳)、台所(人数によって3畳、4.5畳)、居間(2人以上=人数によって6畳、8畳、10畳 余裕室=人数によって4.5畳、6畳、8畳 高齢者同居=6畳)の確保など
出典:総務省の住宅・土地統計調査報告(平成15年) |
第二次改良時代へ
これまでのポイントを整理します。1.既存住宅数と世帯数はほぼ同じで、表面的には住宅不足が解消した。2.高断熱・高気密工法が一般化し、冬暖かく夏涼しい住まいづくりの基本的な技術が確立した。3.兎小屋といわれてきた住宅も持家の規模では西欧水準に達した。
4.20数年で建て替えてきたフロー住宅が、構造部分では欧米と肩を並べられる耐久性の高いストック住宅になった。
しかし、そこには課題が山積しています。
総務省が5年ごとに調査している住宅統計によると、このところ家族形態の多様化を反映して単身世帯が増加傾向にあり、平成10年以降の全世帯数が住宅数を1%近く上回ってきました。
表は道内の既築持家を国の住宅建設5カ年計画の平成17年度までの目標としてきた居住水準で区分した状況です。平成2年以前の住宅で最低水準と誘導水準に達していないのが16万9600戸あり、総体では25万8800戸、全体に占める割合は21%に達しています。質的にはまだまだ未成熟です。
これは昨年の持家新築戸数(1万2900戸)の13年分に相当します。
本紙4月15日付け5面、連載・その2の表の新築住宅の周期、つまり築後30年以上経過した住宅のところに線を引くと、周期をオーバーしている住宅はおよそ31万3400戸です。昨年の新築木造戸数(2万8400戸)の11年分、持家(1万2900戸)の24年分に相当します。平成に入ってから新築戸数の最高を記録した2年(8万9900戸)との同比ではそれぞれ6年・12年分のボリュームに相当します。
従来であればこれらの住宅は全て建て替えられてきたわけです。
住宅はいまフローからストック時代への過渡期で、低質住宅をリフォームするか建て替えするかを選択する岐路にあるとも言えます。
伸び続けるツーバイフォー住宅。今年も出足好調
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市場環境が好転へ
現在の新築住宅戸数の水準は全国レベルで120万戸、それが10年後には100万戸になると言われています。不況が深刻だった道内は全国に先駆けて既にその水準まで落ち込んでおり、現状の5万戸程度で推移することになります。
しかし、先ほどの低質なストック住宅を建て替えるとなると、景気が回復すれば全国では年間140万戸まで着工量が戻るとする見方もあり、そうなると道内は5万8千戸前後、昨年比12%増となります。
昨年10月から住宅市場に変化が見られます。不振を続けてきた木造在来戸建てに持ち直しの気配が見られ、ツーバイフォーは引き続き好調を維持しています。
新築を見送ってきたユーザーの着工決断のタイムリミットがきた、景気上向きの感触を得た。一方、住宅ローンが上昇してきた、来年度以降に消費税アップの可能性が高い、などが好材料となり、駆け込み需要が見込める環境になっています。
安定顧客層の公務員の給与引き下げ、定数削減といったマイナス面もありますが、流れは総じて上向きになってきました。
在来木造持家に復活の気配
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建て替え選択の提案
ストック持家を現在の新築並みの居住水準や使い勝手、快適性に近いところまで本格的にリフォームするとなると新築並みの投資額が必要です。現実に1500万円かけてリフォームしたという話をよく聞きます。このケースですと坪50万で30坪の新築住宅ができる投資額です。
既築持家住宅で質的にストック価値があると思われるのは、建築時期別分類で大目に見て平成2年代に入ってからの新築住宅でしょう。低質のストック住宅を建て替えるためには、仮住まい、当面使わない家財道具の保管、建築費の捻出方法も含めてどのような提案ができるかが鍵を握っています。
ローン選びの助言も
建築費の捻出方法については、ユーザーにとっては大きく様変わりしました。これまでは庶民の政策融資を担ってきた住宅金融公庫のローンが中心でしたが、それに代わって民間ローンが主役となりました。
短期固定金利型、変動金利型など多様化した住宅ローンの中で、どれがユーザーにとって有利なのかなどについて適切なアドバイスが必要です。
工務店は住宅金融普及協会の住宅ローンアドバイザー育成講座などに参加してアドバイスする知識を身に付ける必要があります。 |