平成18年5月5日号から
溶剤が主な放散源
林産試VOC調査 トルエン高濃度の住宅多い
先月20日、旭川市大雪クリスタルホールで開催された道立林産試験場の「平成16年度北海道森づくり研究成果発表会」で、同試験場VOC対策プロジェクトチームがここ2年間に道内の新築住宅で行った室内空気質調査の結果などを発表。トルエンやテトラデカンなど新築直後で乾ききっていない塗料や美装に使う溶剤が原因と思われる化学物質の濃度が高かったこと、指針値のない化学物質が高い濃度を示すこともあり、それらの化学物質の人体への影響を明らかにする必要があることなどを報告した。

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木造戸建住宅復活の道・その4
「e-家」に住みたい-に込めた思い
(株)北海道住宅新聞社 会長 白井 丞
道内の建築時期別の木造住宅戸数と持家の居住水準

全道持家
最低居住水準未満
誘導居住水準未満
住宅総数
1,219,200
2,500
256,300

昭和35年以前
(~46年前)
58,200
300
14,000

昭和45年以前
(45~37年前)
100,500
300
21,300

昭和55年以前
(36~27年前)
309,400
500
60,300

昭和60年以前
(26~22年前)
170,800
300
35,700

平成2年以前
(21~17年前)
165,500
300
36,600

平成7年以前
(16~12年前)
175,700
400
41,900

平成10年以前
(11~9年前)
171,100
200
35,200

平成15.9年以前
(8~3年前)
62,600
100
10,000
最低居住水準
 夫婦の独立寝室(6畳)、子供個室(人数によって4.5畳、6畳)、食事室兼台所(人数によって4.5畳、6畳)の確保など
 誘導居住水準(一般型)
 夫婦の独立寝室(8畳)、子供個室(人数によって6畳、8畳)、食事室(人数によって3畳、4.5畳、6畳)、台所(人数によって3畳、4.5畳)、居間(2人以上=人数によって6畳、8畳、10畳 余裕室=人数によって4.5畳、6畳、8畳 高齢者同居=6畳)の確保など
 出典:総務省の住宅・土地統計調査報告(平成15年)
第二次改良時代へ
 これまでのポイントを整理します。1.既存住宅数と世帯数はほぼ同じで、表面的には住宅不足が解消した。2.高断熱・高気密工法が一般化し、冬暖かく夏涼しい住まいづくりの基本的な技術が確立した。3.兎小屋といわれてきた住宅も持家の規模では西欧水準に達した。 4.20数年で建て替えてきたフロー住宅が、構造部分では欧米と肩を並べられる耐久性の高いストック住宅になった。
 しかし、そこには課題が山積しています。
 総務省が5年ごとに調査している住宅統計によると、このところ家族形態の多様化を反映して単身世帯が増加傾向にあり、平成10年以降の全世帯数が住宅数を1%近く上回ってきました。
 表は道内の既築持家を国の住宅建設5カ年計画の平成17年度までの目標としてきた居住水準で区分した状況です。平成2年以前の住宅で最低水準と誘導水準に達していないのが16万9600戸あり、総体では25万8800戸、全体に占める割合は21%に達しています。質的にはまだまだ未成熟です。
 これは昨年の持家新築戸数(1万2900戸)の13年分に相当します。
 本紙4月15日付け5面、連載・その2の表の新築住宅の周期、つまり築後30年以上経過した住宅のところに線を引くと、周期をオーバーしている住宅はおよそ31万3400戸です。昨年の新築木造戸数(2万8400戸)の11年分、持家(1万2900戸)の24年分に相当します。平成に入ってから新築戸数の最高を記録した2年(8万9900戸)との同比ではそれぞれ6年・12年分のボリュームに相当します。
 従来であればこれらの住宅は全て建て替えられてきたわけです。
 住宅はいまフローからストック時代への過渡期で、低質住宅をリフォームするか建て替えするかを選択する岐路にあるとも言えます。


伸び続けるツーバイフォー住宅。今年も出足好調
市場環境が好転へ
 現在の新築住宅戸数の水準は全国レベルで120万戸、それが10年後には100万戸になると言われています。不況が深刻だった道内は全国に先駆けて既にその水準まで落ち込んでおり、現状の5万戸程度で推移することになります。
 しかし、先ほどの低質なストック住宅を建て替えるとなると、景気が回復すれば全国では年間140万戸まで着工量が戻るとする見方もあり、そうなると道内は5万8千戸前後、昨年比12%増となります。
 昨年10月から住宅市場に変化が見られます。不振を続けてきた木造在来戸建てに持ち直しの気配が見られ、ツーバイフォーは引き続き好調を維持しています。
 新築を見送ってきたユーザーの着工決断のタイムリミットがきた、景気上向きの感触を得た。一方、住宅ローンが上昇してきた、来年度以降に消費税アップの可能性が高い、などが好材料となり、駆け込み需要が見込める環境になっています。
 安定顧客層の公務員の給与引き下げ、定数削減といったマイナス面もありますが、流れは総じて上向きになってきました。


在来木造持家に復活の気配
建て替え選択の提案
 ストック持家を現在の新築並みの居住水準や使い勝手、快適性に近いところまで本格的にリフォームするとなると新築並みの投資額が必要です。現実に1500万円かけてリフォームしたという話をよく聞きます。このケースですと坪50万で30坪の新築住宅ができる投資額です。
 既築持家住宅で質的にストック価値があると思われるのは、建築時期別分類で大目に見て平成2年代に入ってからの新築住宅でしょう。低質のストック住宅を建て替えるためには、仮住まい、当面使わない家財道具の保管、建築費の捻出方法も含めてどのような提案ができるかが鍵を握っています。

ローン選びの助言も
 建築費の捻出方法については、ユーザーにとっては大きく様変わりしました。これまでは庶民の政策融資を担ってきた住宅金融公庫のローンが中心でしたが、それに代わって民間ローンが主役となりました。
 短期固定金利型、変動金利型など多様化した住宅ローンの中で、どれがユーザーにとって有利なのかなどについて適切なアドバイスが必要です。
 工務店は住宅金融普及協会の住宅ローンアドバイザー育成講座などに参加してアドバイスする知識を身に付ける必要があります。


シートで地盤補強
秋田・住宅地盤技研 支持力高め不同沈下防ぐ

砕石転圧後に補強シートを敷設し、端部を固定する
 秋田で地盤調査・補強工事や動的耐震診断などを手がける(株)住宅地盤技術研究所(田代義曠社長)では、ポリプロピレン製の連続繊維補強シートを地盤に敷設することによって、コストを抑えながら支持力を高められる地盤補強工法「ジオクロス工法」(総販売元・日建ウッドシステムズ(株))の普及に力を入れている。
 ジオクロス工法は、根切りした地盤の上に優れた引張強度・引裂強度を持つ補強シートを縦横2方向に重ねて敷設し、砕石転圧することで元々地盤が持っていた支持力を高めると同時に、地盤のせん断耐力向上と建物荷重の分散化も図り、不同沈下を防ぐ工法。これまで全国で約2000棟の採用実績があり、ヨーロッパでは空港や鉄道、高速道路などで広く採用されている。
 地盤補強工法の一つでもある表層改良工事ではセメント系固化剤から地盤に六価クロムが流れ出して土壌が汚染される心配もあるが、ジオクロス工法の補強シートは加水分解されず、生物劣化が少ないほか、酸・アルカリにも安定しているので地盤や地下水の汚染も起こらないという。
 同社では昨年10月に同工法を導入。良好な地盤を持つ住宅地が年々少なくなっている中、宅地開発で軟弱な地盤や支持層が極端に深い地盤にも対応できる地盤補強工法として多くのニーズがあると見ており、これから本格的に普及を進める考えだ。


補強繊維シート施工後の状態
施工は実質3時間程度
 施工は基礎外周から450ミリ以上外側まで含めて根切りを行い、ローラーで転圧してから、幅2メートルの補強シートを短辺方向にたるみのないよう敷設し、隣り合うシートは30センチ以上ラッピングさせて、両端部は専用の固定バーとJ型フックで固定。さらに上から長辺方向に同様の方法で補強シートを敷設した後、砕石を入れて転圧し、補強シート両端部の固定部分に幅30センチ、高さ10センチの捨てコンクリートを打設する。根切り完了後から砕石を入れて転圧するまで3時間程度と短く、基礎工事の流れの中で施工できるほか、雨天時でも施工は可能。振動や騒音を出さないので、狭い土地や住宅密集地でも作業しやすい。

他工法より低コスト
 施工費は他の補強工法と違って支持層の深度に左右されることなく、1階の床面積で決まる。地盤の支持層が10数メートル以上と深い場合、例えば支持層が15メートル、1階床面積が120m2とすると鋼管杭工法やパイル工法では150~200万円程度の費用がかかるとされるが、ジオクロス工法なら50~70万円程度と約3分の1の費用で済む。さらに支持層が20数メートルに及ぶ場合は、支持層に届く杭を打つことがコスト的に難しく、この工法が優位となる。同社では、軟弱地盤で支持層深度が15メートル程度だと、建物1階部分の総床面積が広い場合、コスト的に他の工法に比べて2分の1以下になる可能性も十分あるとしている。

ジオクロス工法採用物件の断面図
 ただし、採用できるかどうかはスウェーデン式サウンディング試験の結果を見て決めており、場所によって軟弱層の厚さが異なっている場合や、やわらかい地盤に新たに盛土した場合、著しく未分解な有機質土が分布している場合などは採用できない。なお、オプションで10年間の地盤保証を受けることも可能。
 問い合わせは同社(Tel.018・866・9821、FAX.018・862・1964)へ。

ホームページhttp://www.acnavi.ne.jp/~geo/

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