平成17年2月25日号から
既存モルタルを強化
小平町・吉田建設 樹脂製胴縁で押さえる

既存モルタルの上から樹脂製胴縁を施工した築35~36年の店舗
 (株)吉田建設(留萌郡小平町、吉田興悦社長)では、昨年9月に道内を襲った台風18号で外壁のモルタルが損傷した住宅に対し、樹脂製の胴縁を使って既存モルタルを躯体に押さえ付ける補修を行ったところ、同じく昨年12月中旬に発生した留萌南部地震で震度6弱を記録したにもかかわらずモルタルに被害はなく、地震に対し優れた効果を発揮した。

震度6弱で問題なし
 同社では台風18号で外壁のモルタルにはく離やクラックなどの被害があった築35~36年の店舗兼住宅など3軒の住宅の外装について、はがれ落ちた部分については塗り直したが、そのほかの部分についてはモルタルの上から樹脂製胴縁を躯体にビス止めする方法で補修。
 樹脂製胴縁は、発泡樹脂とアルミ芯材を一体成形することにより、熱による伸縮を抑えた製品(SK胴縁・セイキ総業)。この胴縁を縦使いで455ミリピッチで入れ、長さ75ミリのステンレスビスを300ミリピッチで柱・間柱に留め付けてモルタルを固定した。コストは約40坪の住宅で材工23万円くらいになる(足場除く)。
 その後、昨年12月に起こった留萌南部地震で改修した3件がある小平町鬼鹿地区は震度6弱を記録したが、モルタル外装の住宅の多くがモルタルのはく離やクラックが入る被害を受けたのに対し、同社が樹脂製胴縁を使って補修した3軒はいずれも被害がなかった。


一部の外壁は腰部分だけ樹脂製胴縁を施工。上部の壁はモルタルを塗り直したので胴縁は施工していない
製品プロフィール
製品名 SK胴縁
部位等 通気胴縁・押さえ胴縁
価格 1,020円/本(18×45×3,000ミリ。税別)
問い合わせ セイキ総業(株)
東京都杉並区上荻1-5-8
042-951-7221
[Home page]
断熱改修へ応用も可能
 この工法は、古い住宅でモルタルを全部剥がして改修するよりは手間がかからず、壁体内の気流止めとともに基礎断熱してから胴縁の間に断熱材を入れ、その上から通気層不要の樹脂製サイディングを張れば、構造強化と断熱改修が同時にできると同社では考えている。
 同社の吉田社長は「以前、モルタルを胴縁で躯体に押さえ付けると構造的に強くなるという話は聞いたことがあったが、実際に震度6弱でも相当効果的であることがわかった。耐震補強としてもモルタルを落としてから構造用面材を張るよりローコストで簡単にできる」と話している。

電化セントラル推進
北暖協 認定店制度スタート

北暖協・石原理事長
 北海道内の住宅用暖冷房・換気設備業者などで組織する北海道暖冷房換気システム協会(石原侑理事長、(株)第一セントラルシステム社長)では、電気ボイラーなどを熱源とする電気温水セントラル暖房の普及・促進を目的に、北海道電力(株)の協力を得て独自の認定店制度を立ち上げる。同協会が主催する講習会の受講を条件に、会員を「北海道電力推薦・北暖協認定電化セントラル設備優良技術店」として認定、技術・提案力で差別化を図る。
 同協会の会員はこれまで多くが、北海道の標準的な暖房方式である灯油温水セントラル暖房の設計・施工をメインに業務を進めているが、ここ数年で電気を熱源とする温水セントラル暖房が相次いで開発され、普及も進みつつあることから、これまで培ってきた温水セントラル暖房の設計・施工ノウハウを生かしながら、新たな熱源として電化セントラルを提案しようというもの。
 ただ、熱源が灯油から電気に変わることによって、電気料金体系や給湯・調理も含めたオール電化設備の特徴などを把握しておく必要もある。認定の条件となる講習では、これら電気にかかわる内容を重点的に勉強し、提案力を高める。
 講習会は3月8日に実施。受講した会員社には認定証とともに営業マン用のIDカードなどを発行する予定。
 同協会石原理事長は「灯油がメインだったこれまでから、電気・ガスも含めた熱源多様化の時代に入ってきた。この中で電気を熱源とした暖房方式の場合、快適性は温水セントラル式が最も優れているし、電気料金の面でも電気温水ボイラー式が最も低料金となるのは先進国の例でも明らか。これからはセントラル暖房の快適性とオール電化の安心感を併せ持つ電化セントラルという切り口で、会員各社が技術力を生かしながらエンドユーザーを巻き込んだ啓もうを進めていきたい」と語っている。
 また北海道電力は同協会側の取り組みを歓迎するとともに、協会員とともに電化のメリットを広めていきたいとしている。
 北海道電力によると、昨年4月から今年1月までの10ヵ月でヒートポンプも含めた温水セントラル暖房系のオール電化住宅は、およそ900戸。対前年比でも大きく伸びている。

レバー水栓に高評価
光合金 デザインコンペで特別賞
  ほっかいどうグッドデザインコンペティション実行委員会が主催する「ほっかいどうグッドデザインコンペティション2004」の審査結果がこのほど発表され、先月21~24日に一般部門、学生部門双方の入賞・入選作品の展示会が札幌市内で行われた。住宅建築関連では、一般部門で(株)光合金製作所(本社小樽市)の「カムハンドル」が特別賞を受賞、このほか同社からは「不凍水栓柱AK型、AKC型」が入選した。
 「ほっかいどうグッドデザインコンペティション」は、北海道発の優れたデザインを道内外に広めるため1987年から続いている「北の生活産業デザインコンペティション」の名称を変更したもので、新たにデザインを学ぶ学生のために学生部門を新設している。
 特別賞を受賞した光合金製作所の「カムハンドル」は、同社の住宅用AQ型・AM型水抜栓とビル・マンション用水抜栓DV7型に採用されている水抜栓操作ハンドルで、水抜き操作をレバー操作一つで簡単にできる点が評価された。住宅用の水抜栓への採用は初めてという。審査員からは、「シンプルで有用性の高いデザイン。必要最小限の要素で構成されている点に好感が持てる」と評価された。なお、カムハンドルは北海道の優れた工業デザインの製品に贈られる「グッドデザインほっかいどう」商品としても選定された。一方、「不凍水栓柱AK型、同AKC型」は、住宅や公園での散水栓として、まわりの風景に調和するようデザインされている。
 住宅関連ではこのほか、(株)藍杜工房の「ほたて漆喰ライト」が銅賞に、(株)ニチダン旭川の「廃断熱材の回収装置」と飛弾野産業(株)の「市松スライド障子」が入選した。

特別賞を受賞したカムハンドル


内装仕上げモイス
室蘭・増川建設 調湿など機能性高いボード
壁・天井と全てモイスで仕上げた室内
 (株)増川建設(室蘭市、増川智社長)では、天然鉱物を主原料とした内装ボードMOISS(モイス)を、室内の壁・天井の仕上げ材として採用。調湿機能やVOCを吸着・分解する働きに注目してのことだったが、使い方によっては、モダンデザインや和風デザインにもマッチするという。既に多くの見学者が訪れるなど好評だ。
 モイスの主成分はバーミキュライトという黒雲母が風化したもので、園芸用として土壌改良材や栽培用土に使われている。他にもシリカや石灰も含まれているが、これらは全て土壌改良材となるものなので、端材などを処分する場合は粉砕して肥料として利用することができるという。
 これまでは石膏ボード下地にクロス貼りという内装仕上げがほとんどだったが、昨年の12月半ばに竣工した2棟の住宅で初めてモイスを取り入れた。そのうちの一棟はおよそ36坪の住宅で、収納スペース以外の壁と天井を全てモイスだけで仕上げている。
 石膏ボード下地にクロス仕上げの場合と材料費を比較すると、モイスボードで仕上げた方がおよそ22万円ほど高くなる。しかし工事終了までの過程で、固定するネイル代、ボード張りの手間、石膏ボードの端材処理の金額を計算するとその差額が8万円程度に抑えられ、特に石膏ボードの場合は端材処理などにかかる費用が大きいことから、購入するときの材料費だけで一概に比較できないところがあるという。


オメガで仕上げた外観
コストアップ8万円程度
 建物は在来木造工法でフェノールフォームによる外断熱工法を採用。外観はオメガアフロフレックスによる塗り壁仕上げで、輸入住宅風のデザインを演出。室内はモイスの素材感を活かし、シンプルモダンをイメージした仕上がりとしている。現場で張ったモイスは厚さ6ミリの3×8尺板で、ボードの固定にフィッシャーネイルを使用。ネイル代では石膏ボードを固定するビスより2万円ほど安くなっている。施工はピンタッカーで打ち付けているだけ。
 防火性能については、厚さ6ミリの単体で30分防火構造認定を取得しており、壁倍率は在来木造工法で2.6倍、ツーバイフォー工法で2.8倍を取得している。
 同社の増川智社長は「自然環境と室内環境の両方にメリットのある製品なので、トータルで考えると多少はコスト高になるが、提案する価値のある製品だと思う」と話している。

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