構造と断熱が問われる時代に
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地震や災害が多かった昨年。そのたびに住宅が人の命と財産を守れるか、という点がクローズアップされる。一方で快適な暮らしを送るために住宅内でのエネルギー消費は増え続け、地球温暖化防止京都会議(COP3)の約束であるCO2削減は、このままでは不可能という事態に至っている。安全性と快適性を追い求めるユーザーに、住宅はどのような提案をできるのか。21世紀5年目の今年、「150ミリ断熱とCO2削減」「小屋裏換気を考える」「在来木造の合理化新提案」の3つのキーワードに沿って、ユーザーへの『提案と信頼』の家づくりを考える。
150ミリ断熱とCO2削減
21世紀に必要な住宅に求められるものとして、さらなる省エネとCO2削減は避けられなくなってきている。平成9年の地球温暖化防止京都会議(COP3)で日本は、2008年から2012年の期間中にCO2など6種類の温室効果ガスを1990年度比で6%削減することが定められたが、現状ではほぼ達成不可能な状況。今後、エネルギー消費量の伸びが顕著な民生部門、特に家庭で使われるエネルギーの削減は至上命題と言える。その中で本紙でこれまで提言してきた150断熱による省エネとCO2削減を、改めて考えてみたい。
実際に150ミリ断熱と言っても、どれほどの省エネ効果があるのか。現在では旭川など冬の寒さの厳しい地域で、軸間断熱+付加断熱のダブル断熱を標準仕様としているビルダーは存在するが、暖房灯油消費量などの詳しいデータについては現在、手元にないために実態はわからない。それでは何も参考になるものはないのかと言えばそうではない。15~16年前に建てられたR-2000住宅がある。
■R-2000の事例■
年6~7リットルに納まる
R-2000住宅は、カナダが開発した超高断熱・高気密・省エネルギーのツーバイフォー住宅。断熱性能はツーバイシックス以上(140ミリ断熱)、気密性能は50パスカル時の漏気回数が1.5回/h、暖房・換気はセントラル方式と、現在でもトップレベルの仕様を誇る。ここで提言している150ミリ断熱の参考とするには最適だ。
弊紙では道内で1988年に5棟、翌年に1棟建設されたR-2000実験住宅のうち4棟を1年前に取材し、ユーザーから暖房灯油消費量をヒアリングするとともに気密測定も行った。その結果、1m2あたりの年間暖房灯油消費量は、現在でもおおよそ6~7リットルに収まっていることがわかった。 |