平成15年10月25日号〈特集「最良の換気を選ぶ」〉から
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新法の概要

新法1 概要
建材規制と換気義務化

 7月からホルムアルデヒドを発散する建材の規制や換気設備を義務化する、いわゆるシックハウス新法が施行された。まずこの新法の概要をまとめておきたい。
 規制対象はクロルピリホスとホルムアルデヒド クロルピリホスは全面使用禁止 ホルムアルデヒド規制は内装仕上げの規制換気設備設置の義務づけ天井裏等(下地)の規制―。
 このうち問題となっているのがのホルムアルデヒド規制だ。基本的な考え方は、ホルムアルデヒドの濃度を建材規制と換気の義務化によって抑えるというもの。いくら換気してもホルムアルデヒドの発散があまりに多ければ効果はないので、まず建材規制をしっかりと行い、ホルムアルデヒド濃度を抑えた上で、持ち込み家具やスプレー剤などから発散される生活発生物質も考慮して、換気も必ず行うという内容だ。


新法2 建材
F☆☆☆☆なら規制なし

 建材規制では、ホルムアルデヒドを発散する建材を指定した上で、発散量に応じて建材を四種類の等級に分けた。このうち第一種ホルムアルデヒド発散建築材料は内装仕上げとしては使用禁止。第二種と第三種は使用面積規制、そして第三種の上位規格となる規制対象外建材としてF☆☆☆☆が定められた。
 第二種、第三種建材の使用面積規制は、今後は意味のない規制となるだろう。面積規制の対象とならないF☆☆☆☆相当品がすでに建材の主流となっているからだ。
 次に規制対象部位は“居室”。建材・換気ともに居室だけが規制の対象となっているのがこの法律の特徴だ。建材については床・壁・天井と、開口部の建具が対象となり、巾木、軸材などは基本的には対象外。
 トイレや廊下は居室ではないので対象外だが、常時開放された開口部を通じて空気が行き来する部分は居室と見なすことになっているので、ドアのアンダーカットなどによって一体の設計になっている廊下などは居室扱いとなり規制対象となる。このため、換気量の設定についても、部屋単位ではなく居室と一体となった家全体として〇・五回/時などの換気量が確保できればいい。


新法の概要


ホルムアルデヒド規制 建材規制の区分

内装仕上げの制限
告示で定める建築材料
ホルムアルデヒド
発散量が
その他
名  称
対応する新規格
制限なし
(規制対象外)
・F☆☆☆☆
・非ホルムアルデヒド系
 接着剤などのJAS表示
少ない
・大臣認定を受けた建材
・旧JIS、JAS+試験成績書
使用面積を制限
(換気量との相関関係)
第3種ホルムアルデヒド
発散建築材料
☆☆☆
同上
第2種ホルムアルデヒド
発散建築材料
☆☆
同上
使用禁止
第1種ホルムアルデヒド
発散建築材料
多い
(無認定品)
F☆☆☆☆:JIS、JAS共通の規格。読み方は4ッ星とかフォースターとか言われている。
星の数がホルムアルデヒドの発散量を表し、4ッ星が最も発散量が少ない

新法3 天井裏等
F☆☆☆と気密層など

 天井裏や小屋裏、床裏、壁、物置、その他これらに類する部分(以下、天井裏等と略す)の規制は、これらの空間から居室へホルムアルデヒドなどが流入することのないようにする、というものなので、天井裏等の気圧が居住空間と同じか高ければ、流入の心配がないので、規制は受けない。第三種換気などで気圧が低くなる可能性のある場合、1.天井裏等にF☆☆☆(第三種建材)を使う、2.気密層や気流止めで居室と区画する、3.換気する―のいずれかか、3つの方法を組み合わせるなどして対応すればよい。


新法4 換気
“居室”を0.5回/h換気

 換気は居室を一時間当たり0.5回以上換気することが求められている。手法はセントラルでなければならないとは言っていないので、個別換気でもOK。ただ、換気手法が異なると換気する空間も違ってくる場合があるので注意が必要。
 原則は“居室”さえ換気すればいいので、トイレやユーティリティ、廊下、玄関ホール、収納など居室ではない空間は対象外。しかし、この方法だと現在一般化している換気設計の考え方と整合しない部分が出てくる。そこで換気経路の一部としてドアのアンダーカットなどで居室とつながっている廊下などは居室と見なし、全体として換気量基準をクリアできればいいことになっている。セントラル換気の場合は、ほとんどがこの方式だから、居室の換気義務化とは言え、室内空間のほとんどが換気対象面積になる。
 一方、パイプファンなどで居室の換気を行う局所換気は、最低限、居室の換気量さえ確保されていればOKだ。また、レンジフードも80立方メートル程度の常時換気モードが付いている場合は、それも換気量にカウントしていい。
 なお、吹き抜けなど天井高が高い場合は換気回数の緩和規定がある。計算方法はその他の一般天井との平均高さで計算する。
 換気設備は換気経路の全圧力損失を考慮すること、気流・温度・騒音などによって使用に支障がないようにすること、の二点が求められている。
 全圧力損失の計算方法としては住宅性能表示・評価制度の換気に関する計算方法による。また、レンジフードを常時回しっぱなしにすれば0.5回の換気など一台で簡単に確保できてしまうが、音や気流感などによって生活に支障を来すようでは問題だ。そこで生活に支障がないように80立方メートル程度の常時換気モードが付いているものはいいが、大風量のレンジフードは換気設備として認められない。


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