平成15年11月25日号から
ステンレス雪止めでサビ
異種金属同士の接触による電食

ステンレス製雪止め金具の接触部分が電食を起こしたガルバリウム。赤サビになる前の状態

 溶融55%アルミニウム―亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)の屋根材に無塗装ステンレス製の雪止め金具を付けたところ、その取付部分が電食によって腐食したという事例が、札幌とその周辺で見つかった。屋根材メーカーは「異種金属同士を接触させれば電食が起こるのは業界の常識」と言うが、ビルダー・板金業者には常識と言えるほど知られておらず、メーカー側と施工業者側が改めて注意すべき問題点であることが浮き彫りとなった。

築1年未満でも発生
ガルバ屋根にステン雪止め

 施工物件の一部に三年前からガルバリウム鋼板のフラットルーフを採用し、近隣の状況や配置計画によってステンレス製の雪止め金具を設置している札幌のビルダーによると、今年春先に屋根上を点検中、ガルバリウム鋼板と雪止め金具の接触部分に腐食を確認。この仕様で施工した全物件を点検したところ、築後一年未満の物件も含めて全て雪止め金具の取付部分にサビが発生していることがわかった。同社では雪止め金具を塗装仕上げの亜鉛めっき製品に交換し、ガルバリウム鋼板は腐食が発生した部分を下地処理し、補修塗装を行って対処した。
 雪止めを付けるとサビが出やすいと以前から言われていたことだが、今回のケースは電食という異種金属同士の接触による腐食が原因。電食は異なる金属同士を接触させた場合、一方がプラス、一方がマイナスの電位となって微量電流を生じ、その電流の電解作用によって腐食が起きる現象を指し、水が加わると腐食がより促進される。ガルバリウム鋼板に限らず、一般的な亜鉛めっき鋼板(トタン)も電気的な特性は同じなのでステンレスとの接触で電食が生じ得るという。
 対策としては、同じ金属を使うか、塗装などで絶縁する方法が考えられるが、それ以前に「異なる金属同士を接触させてはいけない」という認識が、ビルダーや板金業者の間にあまり浸透していないというのが現実だ。
 鋼板のカタログを見ると、防錆保証の免責事項の1つに、「異種金属同士の接触による電食」が入っており、またメーカーは「板金業者団体の勉強会でも指導しており、板金業者としては常識で、住宅現場でもわかっていると思っていた」としている。
 しかし、札幌市内のある板金業者は「板金部分では、異なる金属同士はつながないが、雪止め金具などについては設計図や工事管理者の指示によるので異種金属同士の接触は意識したことがない」といい、設計・現場管理者も含めメーカーとは温度差があることがわかった。また、別の業者数社も確認したところ、いずれも同様の答えが返ってきた。

新部材採用時は注意
メーカーから情報収集を

 札幌ではM型の無落雪屋根が多いこともあり、雪止め金具を使うこと自体、あまりない。このため、電食という現象は知っていても、雪止め金具の材質まではチェックしないという側面があるとも考えられる。
 また、普通に考えれば、雪止め金具を選択する場合、サビに強いイメージがあるステンレス製の製品があればそちらを使おうと思うことも多いはず。そして絶縁しないまま異種金属の屋根材に取り付けてしまうことは十分考えられる。
 高断熱・高気密化により、今後は屋根形状や葺き材が変わることも考えられる。屋根材メーカーは、ユーザーであるビルダー・板金業者に対し、今回の問題を含め施工上の注意をより周知徹底することが望まれるし、ビルダー側も新しい部材を採用するときは、メーカーなどから採用上の注意点、施工上の留意点などの情報も集め、十分注意することが必要だ。

道内で地熱利用見学
地下熱利用とHP研究会 戸建用ヒーポンなど公開

日伸テクノの敷地内で行われた削孔デモを見学する参加者
 ヒートポンプ・蓄熱センターの関連研究会の1つで、地下熱を直接またはヒートポンプで間接的に利用するシステム技術などの研究を進めている「地下熱利用とヒートポンプ研究会」では、去る13日、札幌市内で地熱利用ヒートポンプを導入した住宅や、地中採熱用ボーリングなどの見学会を実施。翌14日には札幌市エルプラザ大ホールで第1回研究発表会が行われた。
 見学会では、初めに地熱利用ヒートポンプに積極的に取り組んでいる札幌の基礎土木工事業者・日伸テクノを訪問。同社敷地内で採熱用の穴(ボアホール)を掘るドイツ製の専用高速削孔機や、熱伝導率が高く、リサイクル可能という新日本製鐵の回転圧入鋼管杭・エコパイルの紹介とデモを行ったほか、エコパイルの中に直接冷媒を入れて採熱するという、新日本製鐵が試験中のヒートポンプシステムの説明も行われた。
 続いて西区に移動し、サンポットが開発中の地熱利用ヒートポンプシステムを導入した戸建住宅の新築物件とリフォーム物件を見学。このシステムはインバータ式スクロールコンプレッサーで冷媒を圧縮して熱を取り出す方式を採用し、一般的な小型灯油ボイラーと同じ感覚で暖房機器に温水を送れるのが特徴。暖房能力は7.0キロワット、COPは4.0となっており、同社では来年夏の販売を予定しているとのこと。参加者は同社担当者の説明に熱心に耳を傾けていた。
 14日に行われた研究発表会では、道内外の研究者ら20名が、地中採熱技術やヒートポンプによる暖房・融雪等に関する研究を報告。最後に同研究会の長野克則主査(北海道大学大学院工学研究科助教授)が「地熱利用のヒートポンプはインバータ式の製品が登場し、ビル用のものも改良が進んでいるが、その一方で給湯用をどう考えていくかという課題も残っている。今後も積極的に会の活動を進めていき、もっと情報発信・情報交換を行っていきたい」と総括し、2日間を締めくくった。


サンポットが開発を進めている地熱利用ヒートポンプの本体

簡単施工で雪庇防止
日新金属産業 振り子作用で雪を落とす
 日新金属産業(株)では、屋根の軒先に設置することによって雪庇の発生・落下を防ぐ逆アール形状の雪庇防止部材「スノーガード」(実用新案登録済)と、正面だけでなく側面も開閉できるようにすることで開放感と使い勝手を高めた業界初の側面開放式多目的オープンガレージ「キブン爽開」を好評発売中だ。
 スノーガードは逆アール状に反り上がったガルバリウム鋼板製の部材で、屋根の軒先部分に取り付けることによって軒先に雪を付きにくくし、雪庇を防ぐ役割を果たす。上端部が風によって振り子のように揺れるので、雪が付着してもふるい落とされる。
 施工は設置する位置に取り付けた専用金具にビス等で固定するだけ。無落雪屋根や片流れ屋根など、あらゆる屋根形状に対応でき、沿岸部など風が強い地域では、脱落しないようワイヤーで上端部と屋根材を繋ぐことによって、脱落事故を防止する仕組み。
 標準サイズは幅915ミリ、高さ580~600ミリ、奥行230ミリ。設計価格は約1万円(専用金具・ワイヤー除く)。

業界初の側面開閉ガレージ
 キブン爽開は、正面出入り口しか開閉しない従来のガレージとは異なり、側面も開閉できるようにすることによって、開放感と使い勝手の良さを高めた業界初の金属製ガレージ。
 夏は正面・側面とも開け放すことで、車庫以外にもバーベキューや日曜大工のスペースなどとして多目的に使うことができ、熱気の滞留も解消可能。物置や売店にも適しており、側面が開閉できるので物の出し入れや陳列がやりやすいといったメリットがある。
 側面が一方だけ開閉できるAタイプ、両側とも開閉できるCタイプ、Aタイプの天井を低くしたSタイプがあり、いずれも壁面に凹凸の山が小さい同社のオリジナル金属製壁材「セブン角山」を採用し、従来の金属製ガレージにはない落ち着いたデザインとしている。
 設計価格はCタイプで約40万円(配送・組立費は別途)。
 問い合わせは同社(本社=旭川市豊岡9条5丁目4-8、Tel.0166・32・8233、Fax.0166・32・8107)へ。

業界初の側面開放ガレージ・キブン爽開のCタイプ


アパートの軒先に取り付けたスノーガード

新製品を大量発表
光洋化学 ジャパンホームショー出展

ジャパンホームショーに出展された新製品061・SCW・071
 アクリル系建築用粘着テープ「エースクロス」で知られる光洋化学(株)は、14日まで東京で開かれたジャパンホームショーで、新製品五種と開発中の製品2種を発表した。
 新製品は、エースクロスシリーズの新ラインナップとして「エースクロス061」、「エースクロス071」、「エースクロスSCW」、「エースクロスSBX」、「エースクロスCS(クリアスノー)」を発売。このほか、開発中の製品として「エースクロスUT」、「パッキンエース」を発表。開発中の製品については発売時期が近づき次第、紹介する。
 「エースクロス061」は、片面粘着テープ「エースクロス011」の基材を変更して剥離紙をなくし、巻き長さを従来の2倍の40メートルにして使いやすくしたもの。半透明なので下地の確認もできる。「エースクロス071」は、片面強粘着タイプ「エースクロス031」の改良品で、窓廻りで気密テープを貼った後にコーキングが接するような収まりで施工するビルダー向けに、コーキングの乗りがよくなるよう背面密着性を向上させた。
 「エースクロスSCW」は、両面粘着テープ「エースクロスSBW」の基材を変更して接着したときに下地の確認が透けて見えるようにした製品。そのほかの性能は変わらない。「エースクロスSBX」は、同じくSBWをベースに改良した製品で、表面の接着力を従来よりも50%アップさせて「エースクロス031」と同等にまで引き上げたもの。裏面の接着力は従来通り。いずれの新製品発売後も、改良のベースとなった従来製品は販売を続ける。

エースクロス061。半透明なので使いやすい
 「エースクロスCS(クリアスノー)」は、全く新しい発想で作られた製品で、手切れ性が良く、低温でも安定した接着力を発揮するアクリル基材粘着テープの性能をベースに、背面に特殊はっ水処理を施して滑りやすく雪が付着しにくくしたもの。例えば屋根の軒先や看板、スコップや雪かきなどに貼り付け、滑雪材として使うことができる。屋外の厳しい条件でも一年程度の耐久性があるという。同社では同製品の発売にあたり、使い方の新しいアイディアや耐久性について評価するモニターを募集している。応募条件など詳細は、同社(東京都渋谷区笹塚1-60-2エステイ21 3階、Tel.03・3379・5361、Fax.03・3379・5362)へ。

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