平成15年10月5日号から
特集:150mm断熱の時代へ
地域エネシンポ 太陽エネの有効利用推進
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独自仕様の屋根緑化
十勝・ホームテクト佐藤 随所に道産カラマツ材

緑化屋根の外観。雪止め金具で屋根に固定された土止めの様子がわかる
 (有)ホームテクト佐藤(十勝・幕別町、佐藤正幸社長)は、このほど十勝の芽室町上美生に内外装と構造材に道産カラマツを使用した新在来木造構法による屋根緑化住宅を完成、現場公開した。
 施主は本州から移住した若い夫婦で、延床面積は約30坪と小さめ。屋根緑化は、当初のプランにはなかったが、佐藤社長が一度取り組んでみたいと考えていたことから施主夫婦に提案したところ、理解を得てプランに取り入れたという。
 屋根緑化は、冬場の断熱効果や夏場の冷却効果から省エネにつながる工法として注目されているが、道内では防水性への不安から施工例が少ない。そこで同社では、通常の板金屋根に緑化屋根部分をかぶせるという方法で防水の安全性を確保した。具体的には、野地板に改質アスファルトルーフィング、板金屋根の順に張り、その上に防草シート、透水マット、150ミリ厚の土の順に施工している。軒先の手前で208材を使って土止めにし、雪止め金物を使って208材を屋根に固定した。排水は防草シートの軒先部分に切れ目を入れ、そこから板金屋根上をつたって軒先に設けられた雨どいに排水される仕組み。屋根にかかる荷重を構造計算した上で屋根組みは455ミリピッチで210を垂木に使っている。

大断面の軸組に合板気密
 躯体は道産カラマツ無垢材の4寸柱を使用した真壁の在来軸組工法で、梁は道産カラマツ集成材。床部分は根太を省略し1階は床束で大引きを支え、18ミリのカラマツ合板、15ミリのカラマツフロアを施工、2階は梁上に30ミリのカラマツ集成材フロアで一発仕上げ。2階リビング入口の梁はカラマツ太鼓梁、その梁とつながる真ん中の構造柱は五寸柱として大黒柱のイメージを持たせて視覚的アクセントにしている。
 断熱は、外壁は高性能グラスウール100ミリ充てんに押出スチレンフォームⅢ種30ミリを外張り、天井は垂木部分に高性能グラスウール180ミリ充てん、床下は基礎外周部に押出スチレンフォームⅢ種75ミリを外張りした基礎断熱。気密は、構造用合板を柱の室外側に張ってつなぎ目を気密テープで処理する合板気密工法。引き渡し前の気密測定で0.6平方センチ/メートルを記録したという。

自然素材にこだわり
無垢材や化石原料の塗り壁

 外装は、15ミリ厚のカラマツ下見板を張り、塗装することで古びた味わいを出している。内装も、カラマツ羽目板を腰壁下に張り、上部は阿寒町産出の古代化石プライオゾーアを原料にした塗り壁材f-wall(発売、(有)オバラ建商)で仕上げるなど、あらゆる部分に道産カラマツをこだわって使用している。
 暖房は1階が基礎断熱された床下空間にFFストーブを入れ、各部屋の床に設けられたガラリから暖気を出し、2階は薪ストーブを使う。換気はパイプファンに換気フードとして北風くん(発売、(株)タイガー産業)を組み合わせ、各階に2ヵ所設置。
 佐藤社長は、「屋根緑化すると相当なコストアップになると思われがちだが、設備をシンプルなものに絞り、今回の住宅は約1600万円ほどで引き渡すことができた。すべての窓にハニカムサーモスクリーンを使用するなど、断熱性・気密性の向上にはお金をかけているので快適に住み続けられる住宅になると思う」と話している。

緑化屋根には2階ロフト部分からハシゴで上がれるようになっている

製品プロフィール

製品名 ザバーン防草シート
部位等 屋根
価格 要問い合わせ
問い合わせ デュポン?高機能不織布事業部
東京都目黒区下目黒1-8-1 アルコタワー
03-5434-6136
http://jp.dupont.com/

基礎断熱にオメガ
北見アートホーム クラック起きず意匠性も
 (株)アートホーム(北見市、石川誉興社長)では、基礎断熱した布基礎表面仕上げのクラック対策として、耐久性に優れる塗り壁材「オメガアクロフレックスシステム」を昨年夏から標準採用。今までクラックの発生はなく、モルタルとは異なる意匠もユーザーから好評だ。
 同社では以前、基礎断熱した布基礎表面はモルタル仕上げとしていたが、基礎断熱材の動きにモルタルが追従しきれずクラックが入ると、見栄えが悪く、基礎にヒビが入ったと勘違いするユーザーもいたことから、昨年夏に外装材として採用したオメガアクロフレックスシステムの耐クラック性に着目。モルタルより材工コストは500円ほど高くなるが、クラックによるクレーム防止や独特の意匠性をメリットとして捉え、布基礎表面の仕上げにも採用することになったという。
 施工は、基礎断熱材の押出スチレンフォームの上に下地材のスタイログルーを塗り、ファイバーメッシュを埋めてプライマー処理した後、仕上材のマリブ16を塗って仕上げる。クラックや衝撃に強いので、目地を入れる必要はなく、40坪程度の住宅であれば、下地の養生期間1日を含めて2日で終了する。
 採用から1年経つが、定期点検でもクラックの発生は見当たらず、モルタルとは異なる表情や質感も他社との差別化につながっているそうだ。
 同社の平岡雄一設計部長は「今後もオメガアクロフレックスなどによって他社との差別化を進め、単価勝負に巻き込まれることのないオリジナル性を強調した家づくりを考えていきたい」と話している。
 なお、基礎断熱の表面仕上げのクラック対策としては、これまで札幌・奥野工務店のドイツ壁仕上げ(8月5日付1面)や、八雲町・加納工務店のスタッコフレックス仕上げ(9月5日付3面)などの工夫があるほか、炭素繊維入りのプレミックスモルタルなども使われている。
クラックに強く、独特の表情が個性的なオメガアクロフレックスシステムによる布基礎表面仕上げ

この住宅では布基礎以外に1階外壁のアーチ部分にもオメガを採用している

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