平成15年1月25日号から
建研コンペで大臣賞
J建築システム・耐震開口フレーム 耐力壁のバランス改善
 J建築システム(株)(札幌市、手塚純一社長)では、窓や入り口などの開口部に四辺から成る木製フレーム(剛接ラーメン)を設置することによって耐力壁のバランス良い配置を実現する耐震改修・新築用工法「耐震開口フレーム」(特許登録・第2946299号)を開発し、多様な実験を行ってきたが、このほど独立行政法人建築研究所主催による木造住宅の耐震補強構法技術コンペで最も評価の高い『国土交通大臣賞』を受賞した。
 敷地が狭く採光を得るため南側に居室が偏り、北側に水廻りが集中しがちなプランなどでは、耐力壁をバランスよく配置することが難しい。一般的な住宅はほとんどそうなっているが、壁倍率を高めると地震時に柱の引抜力が大きくなるため、金物による補強が必要で、木部の断面欠損や金物部分の結露を招く恐れがあり、施工が難しく、コストアップにもつながる。
 耐震開口フレームは、建物が潜在的に持っているこれらの問題を解決する耐震補強工法として、不可能と思われていた開口部の耐震化に着眼し、企画・開発されたもの。エンジニアードウッドであるLVLや集成材などによる114×150ミリ角(サイズは開口部の大きさにより変更)の木製L型及びI型部材を組み合わせた4辺から成るフレームを開口部の軸組内側にコーチスクリューボルトで固定し、部材のジョイント部分や最も力を受ける隅角部は、金物やアラミド繊維シートで補強。開口部を耐力壁として建物全体の壁量を増やし、万遍なく分散させて、耐力壁の配置バランス向上を可能にする。
 隅角部の剛接合のための補強については、アラミド繊維シート、金物のみ、両方の併用などが検討されており、道内企業で唯一選ばれた中小企業事業団の助成や道のノーステック財団の助成を受けて行っている実験では、壁倍率相当にして2.17~2.63倍という結果が出ており、アラミド繊維シートによる補強だけで十分な性能を発揮できる可能性も出てきたという。なお、この実験結果から、力をかけて壊れるまでに粘り強く耐える特性があることも新たにわかり、大地震による倒壊で圧死するケースも、かなり防ぐことができると考えられ、学識経験者らの注目を集めている。
 あらかじめ分割された部材を現場で接合・固定するだけなので施工性も良く、建物の室内外の意匠や間取りにもほとんど影響しない。木質部材のため熱橋になりにくく、開口部の面積はひと回り小さくなるが、大きい開口部が多い昔の住宅では省エネの面で有利になるとも言え、雨仕舞いも良いなど、高耐久化の面でも効果的だ。
 工期は幅1,800ミリ×高さ2,400ミリの場合、大工2人で半日程度。部材費は経費込みで6万円を見込んでおり、施工費は2万円を予定している。
 発案者である同社の手塚社長は「このシステムは、偏った耐力壁の配置をバランスよく整え、建物のねじれを抑えることができるのが最大の魅力。今回の受賞は、木造の構造力学に関する考え方、そしてこれまでの取り組みが理解・評価されたことを、大変嬉しく思う」と話している。
 3月5日には建築研究開発に関する各講演のほか、同コンペの表彰式や手塚社長もパネラーとして発表・参加するパネルディスカッションも行われる建築研究所の講演会があり、工法の市販化への動きはそれ以降となりそうだ。
 同工法の問い合わせは同社(TEL.011・573・7779、FAX.011・573・7811、担当/相馬部長・山下課長)へ。

 L型部材による箱形フレームの実験風景




耐震開口フレームのコンセプト

 再生ゴムで音・振動抑制
蝶理・CSマット エコマーク取得の環境対応型製品
 蝶理(ちょうり)(株)では、再生ゴムを使用した遮音制振マット「CSマット」をこのほど発売した。床下地に使用して衝撃音を抑えるもので、木造軸組、ツーバイフォーなど工法を問わず下地合板などに置敷きして使用する。 この製品は、高比重の添加剤を混ぜた再生ゴム、ゴムを覆う不織布からなっている。アスファルト系の材料に比べると夏場の高温時でも変形がなく、冬期の低温時に割れが発生しないため季節を問わず施工しやすい。制振用に鉛などの物質を芯部分に使っていないため切断加工も容易だ。
 VOC(揮発性有機化合物)は含まれておらず、また製品自体がタイヤなどゴム製品のリサイクルでできているため、エコマークも取得した環境対応型の商品となっている。従来ゴムを使用した遮音マットはアスファルト系に比べてかなり割高だったが、本製品は海外での生産にシフトすることでコストダウンを実現、アスファルト系と同等かそれ以下の実勢価格になる予定だ。
 製品は幅455ミリ×長さ910ミリで厚さは4ミリと6ミリの2種類。いずれもオープン価格(設計価格を定めない)。同社の測定によれば、6ミリ厚の製品を使うと通常の床組に比べて10~15dB程度の遮音効果が期待できるという。
 同社は文久年間に創業した繊維・化学品・情報機器の総合商社で、近年は建築・土木資材などにも力を入れている。本社は大阪市にある。
 問い合わせは、同社産業資材BU(東京都中央区日本橋掘留町2-4-3、TEL.03・3665・2522)へ。

表面が不織布、中が再生ゴム


CSマットを使った床組の例

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