平成14年9月5日号から
HP1台で冷暖房・給湯
札幌市東区で採用住宅完成
このほど札幌市東区に日本スティーベル(株)の地熱式ヒートポンプを採用した住宅が完成、現場見学会が開かれた。
1つのヒートポンプで暖房だけでなく、除湿冷房や給湯にも対応するこのシステムを取材した。


高塚邸の外観。2Fはゼオンサイディング
日本スティーベル 安定した地熱利用 省エネ性優れた除湿冷房
 施主は、住宅の内装工事やリフォームを手がける(株)高塚商事社長の高塚嘉嗣氏。これまでの仕事の経験から、アレルギーなどを起こさない健康住宅、環境への配慮と省エネルギー化が必要と考え、自宅を新築する際に様々な新技術を取り入れた。住宅は外断熱方式の在来木造工法。総2階建てで、延床面積約60坪、次世代省エネ基準をクリアし、熱損失係数は1.32ワット。
 ヒートポンプシステムは、日本スティーベルのWPFシリーズで、1台で暖房と給湯をまかなう。不凍液を満たした採熱管2本を地下約100メートルまで埋め込んで、年中ほぼ一定温度の地熱から採熱、地熱で温められた不凍液がヒートポンプ本体内の熱交換器で冷媒を加熱、コンプレッサーで冷媒を圧縮することで高温にする。給湯は、冷媒を貯湯タンク内で熱交換して水を50℃に沸かして蓄える。バックアップヒータは不要で、COP(投入エネルギー1に対する出力エネルギー値)は平均3.5程度見込めるという。タンク容量は600リットルある。暖房は、冷媒を熱交換して40℃に加熱した温水を、高塚氏が考案した床暖房システム「エコウオーム」の配管に送っている。比較的低温の温水なので、COPは平均4.0前後と高い。
 冷房は、採熱管の不凍液をそのまま部屋に引き上げて循環させ、エアコンの室内機を通過する際に部屋の暖かい空気を結露させて気化熱を奪って冷やす除湿冷房方式としている。室内機1台あたりの消費電力はわずか20ワット。冷房と暖房の回路はボイラー室のスイッチで切り替える。ボイラー室は1階に約4平方メートルのスペースを設け、ヒートポンプユニット本体、バッファタンク、貯湯タンクを収めている。


WPFシリーズのシステム構成(冷房は除く)

ボーリング中の高塚邸
 光熱費は五割安NEDO補助も 初期コストは、ボーリング費用、ヒートポンプ機器や冷房用ファンコンベクター、設備工事費を含めた総額が実行価格で約4,500,000円程度で、NEDOの高効率化エネルギーシステムの補助は申請中で、認められれば設計価格の3分の1が補助される。ランニングコストは、冷房を除く電灯、IHクッキングヒーターなど光熱費合計が年間160,000円程度と試算されている。高塚氏によれば、それまで住んでいた住宅では3分の2の床面積で年間310,000円もかかっていた。

左が貯湯タンク、右下がWPF本体
換気や内装に独自の工夫
 このほか、住宅の内装では、有害化学物質を封じ込める効果がある米AFM社のセーフコート(発売・(有)セーフコートジャパン)を下地処理、天井塗装、木部塗装用として使用、壁面はセーフコートで仕上げた下地に、VOC物質を吸着する働きがある、ホタテ貝殻粉末を焼成した自然塗料チャフウォール(発売・(株)チャフローズ北海道)を塗ったドライウォール仕上げ。換気は、1階は空気清浄機で使われるフィルターで吸気を清浄化してから室内に配分する独自の第2種換気、2階はスティーベル社の高効率熱交換換気システムLWZ―160を使用。
 高塚社長は、「私もシックハウス症候群で、試行錯誤を繰り返して、今回の内装に辿り着いた。さらに省エネ性に優れた冷暖房・給湯システムを採用することで、先進的な健康・省エネ住宅の取り組み例として、希望者がいれば今後も随時公開したい」と話している。
 問い合わせは、高塚商事(札幌市東区北30条東14丁目、TEL011-731-4716)、日本スティーベル北海道支社(札幌市白石区本通2丁目南3、TEL011-865-4649)へ。

室蘭・大和工業 手軽に木炭を製造
リサイクル時代で注目集める





持ち運びに便利な家庭用小型タイプと
中型タイプの簡炭炉で製造された木炭
 (株)大和(ヤマト)工業(室蘭市)では、高炉・コークス炉の築造など耐火物の施工実績と技術を生かし、廃木材から木炭を手軽につくれる簡易木炭焼成炉「簡炭炉」を製造販売しており、建設リサイクル法の施行に伴い廃木材の焼却処分ができなくなったことで、道内の建設業者から注目を集めている。
 同社では、3年程前に室蘭テクノセンターから要請を受けたのを契機に簡炭炉を開発。2年半前に販売してからすでに110件の注文があり、最近では本州からの見学者も訪れるようになった。
 簡炭炉には、持ち運びが可能な小型タイプから業務用の大型タイプまで3種類の大きさがある。小型・中型タイプには内部にアルミナシリカを原料にしたセラミック繊維状の耐火断熱材を内張りしてあり、大型タイプには耐火断熱煉瓦を施してある。使用方法は、簡炭炉の中に木材を入れて火をつけて炭化するのを待つだけで完成。また、炭を焼いたときの煙からでる木酢液を回収できる仕組みになっている。
 オイル缶を利用した家庭用の小型タイプKT─13型は、容量13リットル、木炭装入量約4.0キロ、焼成時間3~8時間、寸法は高さ460ミリ・240ミリパイ、価格は70,000円。
 ステンレス薄板を板金加工した一般用の中型タイプKT─100型は、容量100リットル、木炭装入量約40キロ、焼成時間5~10時間、寸法は高さ710ミリ・558ミリパイ、価格は280,000円。 鉄骨鋼板製の業務用大型タイプKT─2000は、容量2,000リットル、木炭装入量約500キロ、焼成時間7~13時間、寸法は高さ1,500ミリ・1,300ミリ、・長さ1,500?、価格は2,000,000円。
木材を3.5キロ投入すればおよそ0.9キロの木炭ができる。
 簡炭炉は受注生産のため製造日数に小型・中型は約10日間、大型は約1ヵ月かかる。同社の齋藤正夫部長は「廃木材のほとんどはまだ利用価値があるのに処分されてきましたが、建設リサイクル法の施行により廃木材は焼却処分できなくなったので、この機会に木炭として再利用する事の大切さをみんなに理解してもらいたい」と話している。
 問い合わせは、同社室蘭事業所(室蘭市仲町12番地、TEL0143-44-5521)へ。

ホームバイテル 加盟工務店を募集
合理化のシステムを提供
 (株)大洋建設(鏡原勲社長)とグループ会社のホームバイテル(株)、大洋ハウテック(有)は、高品質・低価格の外断熱住宅を提供する「ハピネスホーム21プロシステム」をパートナーシップ方式で全国展開する。
 パートナーシップ制とは、加盟金や1棟毎のロイヤリティを廃止、最低限の維持費のみで組織を維持していく方式。
 「ハピネスホーム21プロシステム」は、木造リフォーム、ロックウール外断熱、木造合理化、KMブリックレンガ、断熱材入り屋根パネルの5つのシステムを柱とし、このうち木造合理化システムは、軽金属下地の床、天井などを用い、外断熱や屋根パネル工法を使って50日の工期で住宅を完成させるノウハウ。外断熱システムはKMブラケットを使用したロックウール外断熱工法で、断熱材入り屋根パネルシステムは、一夜城パネルを使い、屋根組みが1日半で完成する。
 同システムを利用した住宅建設の流れを説明すると、加盟したビルダーや分譲業者は、送られた標準プラン集の中からプランを選び、関連会社のホームバイテル?のホームページから発注する。発注を受けた提携プレカット工場は、必要な木材をプレカット加工し、工場敷地内に在庫しているロックウール断熱材や軽金属下地の床・天井材などの主要部材と共に発注者に直送する。また、同システムでは安価な小型ウインドウズCE端末とPHS通信カードを使用し、現場からホームバイテル社のサーバーと直結、資材の発注や工程管理、品質管理、原価管理などができる。このシステム全体に関して、同社ではビジネスモデル特許を出願している。
 このように、建材の仕入れ先・保管先を1本化し、プランを規格化することで資材コストを安く抑え、大幅なプレカット化で品質の安定も図れる。さらにIT技術を活用した現場管理で管理費が削減できるため、高品質で低価格の住宅提供が可能になる。
 例えば、大洋建設ではこのシステムを使用して、「リミテット34」(約34坪)を第3種換気やオール電化設備一式を含んで9,800,000円(坪単価288,000円)で施主に提供する。なお、標準プラン以外は、複数の設計事務所からプランを公募、プランの発案者に対して一定のライセンス料が支払われる。
 現在、本州では提携プレカット工場が決まり、加盟を希望する工務店も見学に訪れており、東京都内に加盟第1号店も誕生した。
 大洋建設の鏡原社長は、「ハウスメーカーの下請けで苦しんでいる工務店が生き残るためには、自立して高品質住宅を速く安く消費者に提供できるノウハウが必要。ハピネスホーム21プロシステムに加盟していただき、共にアイディアを出し合いながらやっていきたい」と話している。
 同システムの加盟に関する問い合わせは、ホームバイテル(札幌市豊平区福住2条3丁目6―6、TEL011-836-1717、ホームページ:http://www.homebytel.net)へ。

盛況の「リミテット34」の現場見学会



「ハピネスホーム21プロシステム」の仕組み

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