十勝から塗り壁普及へ

NSアート工業会 独自の工法を責任施工
 左官材料を取り扱う(有)北原産業(帯広市)では、クラックが入りにくく、施工性に優れた新しい塗り壁工法としてNSアート特殊工法を開発して特許を申請。昨年4月から本格的に販売を開始し、「NSアート工業会」を十勝管内で組織して、施工指導を受けた会員の左官工事業者が責任施工する体制を整えた。
 同工法は、専用ラス網を従来比で三倍重くし、壁全体の耐震性を向上。網を止める専用針(ステープル)は長さ32~38ミリと従来よりも長く、構造材まで針が効くため、しっかりと止められるのが特徴だ。
 施工は、ラス下地を造った後、ラス網に専用特殊モルタルを塗ってからグラスファイバーメッシュを伏せ込み、さらに専用特殊モルタルを上塗りして鏝なみを取り、塗厚15ミリの平滑な下地を造る。約1週間養生してから専用シーラーを塗布し、最後に仕上げ材としてアクリルエマルジョン樹脂塗料のNSアートパレ(発売元・日本化成(株))を二度塗りして仕上げる。
 特殊モルタル層で微細なクラックが発生しても、NSアートパレが弾性に富み、2~3ミリの厚塗りができるため、クラックが表面まで拡大しない。工期も従来より短縮され、夏場であれば足場をかけて完成まで最短十日間程度。
 十勝管内限定で始めた同工法だが、今年は旭川でも入会した左官業者が揃ったため施工をスタートする予定で、さらに函館や釧路など道内他都市や、本州でも施工希望業者が出てきているという。
 コスト面は概算だが、中級の窯業系サイディングの材工価格と比べて若干高い程度だ。
 施工店の紹介など、問い合わせは北原産業(帯広市西20条南4丁目30-12、TEL0155-33-6350)へ。

同会会員がNSアート特殊工法で施工した住宅

原料の配合を工夫

日本化成  軽量化図りクラック抑制
 原料の適正配合により、一般的なモルタルと比較してクラックの発生を減少させた製品が、日本化成(株)の「NSタウンモルタル」。発売開始は10数年前だが、最近関東地方を中心に売り上げが伸びてきている。
 通常、モルタルは骨材として砂を使うが、この製品では発泡体などを混ぜた特殊骨材を使用して軽量化し、同時に割れ防止として合成樹脂製の特殊なスサを混入しているのが大きな特徴となっている。
 軽量なため作業性も良く、一度に15~16ミリ厚で塗ることができるため、工期も大幅に短縮することが可能だ。
 適用下地はラス下地、ノンラス下地、コンクリート、ALCパネルなど幅広い。材料は水以外をプレミックスした既調合品のため、水を加えればモルタルミキサーなどを使い十分練り上げるだけで使用できる。養生期間は通常1週間以上(冬場は2倍)。塗厚16ミリで1時間防火の準耐火構造に対応できる。
 一袋25キロで、塗り厚16ミリの場合、1.7平方メートル塗ることが可能。
 問い合わせは同社関東支社札幌営業所(TEL011-823-3001、FAX011-823-3002)へ。


プレミックス済みのNSタウンモルタル


軽量なので作業性も優れている

 

高強度の塗り壁材

ハウジング山地 米国で実績ある製品輸入
 ハウジング山地(株)では、ハンマーで叩いても割れないほどヒビ割れに強いモルタル風の塗り壁材・オメガアクロフレックスを、輸入・販売している。
 この製品は、アメリカ・オメガ社製の特殊モルタル材で、クラックが生じにくく、耐久性の高い塗り壁材としてアメリカで既に数十年使われているもの。本格的な塗り壁ながら、速乾性の製品なので工期短縮も可能だ。
 施工は不燃下地材(クボタのセラディール13無地塗装板を推奨)に下地材のアクロフレックススタイログルーを塗布し、スタンダードメッシュをその中に埋め込んで下地層を造ってから、アクロフレックスプライマーを塗布。最後に仕上げ材としてアクロフレックスマリブ16または同デコラティブを3ミリ塗って完成。
 通常のモルタルのようにコテの押し具合で仕上げを変えることはできないが、仕上げ材に含まれる骨材の大きさで仕上がりの表情を変えることができ、色合いは六十三色から選べる。
 問い合わせは同社(TEL011-641-3001、FAX011-641-3002)へ。

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オメガアクロフレックスの納まり図

 

メンテの負担軽減

(株)とかち工房 後藤 薫社長
 部分的な施工も含めればほぼ100%モルタルを使う。使用割合はお客さんの予算で変わってくるが、半数近くの物件はほぼ全面的に使用している。
 モルタルはきちんと施工すれば50年は持つと考えており、コストも材工で中級品サイディングの2割高程度で収まるため、長い目で見ると維持管理の面でモルタルの方がメリットが大きいと判断している。また、サイディングの施工コストは「1枚ごとにいくら」となるが、三角屋根の物件が多い当社では、サイディングはロスが多く、実際の塗布面積で積算されるモルタルのほうが割安感があるのも、採用する理由の1つ。
 施工は、広い面にモルタルを塗ると、下地の動く量が大きくなり、補修するときも面全体を施工することになるので、モールド材をデザインのアクセント兼用で入れて、一度に広い面積を施工しなくてもいいようにしているほか、サッシ廻りには必ずモールド材を入れて、将来のサッシ交換時にモルタルをいじらなくても済むようにしている。


モルタルとモールド材を組み合わせたとかち工房の住宅

多彩な意匠が魅力

(株)吉田建設社 吉田 寛専務
 数ある外装材の中で、コストや耐久性、メンテナンス性などをトータル的に考えた場合、モルタルが一番優れていると考え、ユーザーに対し積極的に採用を勧めている。
 採用は、ユーザーがコストや工期の面も含めてモルタルの特徴を理解してくれるかどうかにかかっているが、特に意匠性の面では、刷毛引き仕上げや掻き落としなど様々なパターンのデザインを行うことが可能で、個性的な外観の住宅を提案できるのがメリット。仕上げが同じ住宅は一つもないのも、ユーザーにとっては大きな魅力だ。
 耐久性で見ればレンガも考えられるが、コストアップにつながってしまう。その点、モルタルは築40年程度でも機能が損なわれていない住宅があるなど、耐久性とコストのバランスが良い。仮にクラックが入ったとしても、通気層をしっかり確保していれば、構造体に影響を及ぼすことはないと考えている。

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鏝押し仕上げで個性を出した吉田建設社の住宅

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