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ライフスタイルを設計した千歳の家/中村よしあき建築研究所

中村よしあき建築研究所

ライター 所村 文 | 断熱・省エネ・zeh | 自然素材 | 2013.08.22

ご夫婦で医療現場に関わるSさんが、ご主人の退職に伴い留萌市から千歳市へ越してきたのは今年3月。札幌と穂別に暮らす双方のお母様が訪れやすいよう選んだこの地で、「初めての家づくりに親身になってくれた」一級建築士の中村欣嗣(なかむら・よしあき)さんと地元の工務店と一緒に取り組んだ新居を取材しました。

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〈キッチンバックにはレンガを使用〉

大切な出会いが「札幌良い住宅」から

2人そろってマラソンを走る建て主・Sさんご夫妻と、建築家の中村さん、そして工事を担当した(株)キクザワの菊澤社長が集まり、当時を振り返る和やかな雰囲気のなか取材がスタート。 まず、家づくりの舵を取った奥様に中村さんと出会った経緯を尋ねました。すると「最初から自分でハウスメーカーを探して見積も取ったんですが、どうも企業的で、ただ書類がポンと送られてくるだけの形式的な対応に胡散臭さを感じて...、それでもっと調べていたら"札幌良い住宅.jp"の記事で中村さんを知ったんです」とのこと。(本サイト運営冥利につきます! ちなみにキクザワさんはこちら>>

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〈落ちついた外観。庭は、道路に対して閉鎖的にならない目隠しの工夫も〉

素人である建て主の立場に寄り添い、きめ細かいフォローを行ってくれる"味方"が欲しかった奥様にとって、記事やホームページから中村さんを"いい感じの人だなあ"と思ったのが大きな出会いだったのです。工事をお願いする会社も、地元の企業がいいと考えていたそうです。確かに、システムキッチンひとつとっても、メーカーや種類がいくつもあります。それぞれのメリット&デメリットをわかりやすく説明してくれる専門家が味方にいたら心強いですよね。
「外壁はレンガ」「年をとった時に階段を上がらなくてよい平屋を」「車椅子での生活になっても支障がないようにバリアフリーに」などの希望にも、中村さんは親身になってアドバイスをくれたそうです。とはいえ「いつも"次回までに読んでおいて下さい"と資料を置いていくので、毎回宿題みたいでした」とSさんからは笑いがこぼれました。

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〈2階からリビングを見下ろす。居心地良い広さと収納家具〉

階段に蓋をして断熱!?

今は元気なお母様と将来的には同居することになるかもしれない、そんなことも考えた中村さんが最終的に提案したのは、平屋ではなく、"2階に予備室を用意した薪ストーブのある家"。 玄関からゆったりとした幅の導線が続く1階は完全バリアフリーで、書斎や寝室など各部屋の間仕切り扉(引き戸)を開け放つと、階段を中心にぐるりとフロア全体がまるでワンルームのようになります。 2013_08ny_1F.jpg 〈大きな引き戸を開ければ回遊動線が生まれる〉

お風呂場と廊下の仕切り扉も引き戸ですが、換気システムがあるため室内へ湿気が流れることもないそうです。
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〈シンプルなタイル貼りのバス・洗面〉

また、階段の途中に施されたパネル台に蓋を乗せて2階を仕切ると、暖房を節約することもできます。断熱外壁の厚さは30センチ以上もあり、今年のような猛暑でも部屋は涼しく、冬は日射だけで暖かさを保ち、さほど暖房を使わずとも暖かさが外へ逃げることもありません。
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薪ストーブと畑のある暮らし

熱源については「薪ストーブの利用に備えて午前中の薪割りが日課になりました」とおっしゃるSさんですが、実は二回目の打ち合わせ行う直前に東日本大震災が起こり、電気を使わない暖房を考えたそうです。そこで、石油や原子力に代わるエネルギー対策を実践している中村さんは、生活スタイルなどを総合的に判断し薪ストーブと温水暖房の併用としました。 2013_08ny_stove.jpg

そういえばこの日、真っ先に案内された庭にはブロッコリーやおくらが植えられた(家庭菜園と呼ぶにはかなり)広い畑があり、ストーブにくべるために割られた薪や丸太が詰まった直径1.5メートルほどの大きな袋もふたつ置かれていました。そんな畑も薪ストーブも、建て主の話や人生設計に耳を傾けながら中村さんが建築家として提案する「戸建て住宅ならではの暮らし方」のひとつ。今はまだ住み始めたばかりの新居ですが、家主自身で手入れをしながら、季節を経た進化も楽しめそうなS邸でした。
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記者の目

工事そのものはスムーズだったそうですが、ぶ厚い断熱壁の採用や設計の都合上、通常の倍以上の工期を要したと聞いてびっくり。けれど、取材の合間に「使い勝手はどう?」「室温は?」と会話する中村さんとS夫妻の姿に「建てたらおしまい」ではない家づくりの在り方を見た気がしました。
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