5つの快適

指標1
暖かさ-「寒い」という感覚を分析

 最も漠然とした希望である「暖かい住宅」を評価するためのランク。
 現在の住宅は20年前の住宅と比べれば確実に暖かいと評価できる。そこで逆に「寒い」と感じるのはどういう状況なのかを分析し、評価の指標とした。
 寒いと感じるのはすきま風や冷輻射など、冷たい気流があるとき。もう一つは暖房器の配置が不適切で、温度が上がらない部屋があるとき。これらを性能評価に置き換えた。
 ポイントになるのは1.ガラスの断熱性2.気密性能3.暖房器。断熱した壁の表面温度は、100ミリ断熱でも150ミリ断熱でもさほど変わらず、体感的な違いはないことから、この点は重視しなかった(省エネルギー面では大きな違いとなる)。
 室温が何度あると暖かいと感じるかは個人差があるため、ここでは触れない。

窓の断熱性アップは重要なポイント>>


指標2
結露-地域により仕様は変わる
 ユーザーにとって結露は暖かさと並んで重要なポイントだ。高性能住宅を建てているビルダーは結露しないことをPRしている例も多い。ただ、例年にない寒波が訪れると、結露しないはずの家に結露が発生し、対応に走らなければならないことも多い。
 また結露は外気温に影響されるため、札幌と旭川では必要となる断熱仕様は異なる。
 評価は1.ガラスの断熱性2.機械換気の実換気風量3.暖房器。このうち難しいのは換気だ。7月以降はシックハウス新法による換気義務化もあり、設計段階では機械換気で0.5回/h以上のスペックをすべての住宅が満たしているはずだ。しかし現実は違う。測定すると0.2回程度しか換気していないという例もあるほどで、気密性能と同じく、測定してみないことには性能値はわからない。
 そこで快適ランクによる評価と合わせて竣工後に測定を行い、また、これまでの測定例を示すことでユーザーに理解してもらうことになろう。
 なお、室内で発生する水蒸気量は設計段階ではわからないため、この点は評価の対象から外した。また、カーテンをかけた出窓は非常に結露しやすいが、この点については説明が必要だろう。

指標3
省エネ-灯油消費量を試算できる
 性能指標の中で最も客観的に評価できる項目だ。断熱性能が高い(熱損失係数の小さい)住宅は燃費面でハッキリと現れるからだ。性能はランクのほか、灯油消費量で示すこともできる。
 不確定な要素もある。それはユーザーが暖房温度を何度くらいに設定して暮らすかだ。設定温度が1℃違うと灯油消費量は約1割違う。2℃違えば2割の違いとなり、大きな差となる。
 ただ、断熱・気密性能が高くなればなるほど、冷気が発生しなくなるため、特別な人を除いては設定温度24℃程度で暮らすことができるはずで、大きな誤差は生まれないと考えた。
 札幌で40坪程度の住宅の場合、次世代省エネ基準を上回るAランクでは灯油換算で1000リットル程度、新省エネ仕様のCランクでは1400リットル程度と考えてよい。
 なお、省エネランクでは特Aランクとして太陽熱などの自然エネルギー利用や、ヒートポンプなどの高効率機器を採用した場合の仕様を盛り込んだ。どこまでゼロエネに近づくかはケースバイケースだが、ユーザーに提案する上での参考にしてほしい。


それぞれのランクごとの灯油消費量の概算
※上段が札幌・軽井沢。これより少し少なくなるのが函館・室蘭 下段が旭川。
これより少し少なくなるのが北見・網走(日本で最も暖房負荷の大きな地域)
その他の地域はお問い合わせ下さい。

仕 様
面積(㎡)
Q値(W)
120
140
160
180
200
Aランク
(次世代省エネ基準以上)
1.20
840L
1,040L
980L
1,220L
1,120L
1,390L
1,260L
1,560L
1,400L
1,740L
Bランク
(次世代省エネ仕様)
1.40
980L
1,220L
1,150L
1,420L
1,310L
1,620L
1,470L
1,820L
1,640L
2,030L
Cランク
(新省エネ仕様)
1.74
1,230L
1,520L
1,430L
1,770L
1,640L
2,030L
1,840L
2,280L
2,050L
2,530L
Dランク
(新省エネ基準以下)
2.00
1,400L
1,740
L
1,640L
2,030
L
1,870L
2,320L
2,100L
2,610L
2,340L
2,890L
指標4
シックハウス-過敏症の人には個別対応
 シックハウス対応は、基本的には省エネと関係はない。ただ、健康対策は最も関心の高いところであり、1つの項目とした。
 7月のシックハウス新法施行後は、すべての住宅が建材対応と換気設置を行うことになるが、『結露』の項目でも説明したように換気については測定してみなければ実際の風量はわからない。また、過敏症気味のユーザーにとっては個別対応で建材を選ばなければならない。
 そこでAランクはFC0相当以上の建材対応と、換気回数0.5回/hとし、特Aランクとして過敏症対応の仕様を盛り込んだ。
 ただし、特Aランクは常に個別対応となるため、決まった仕様があるわけではない。

指標5
耐久性-将来見据え間取り可変性
 性能面から耐久性を判断すると、1.結露防止・木材腐朽対策 2.設備更新への配慮 3.外装建材の耐久性配慮―が主なポイントだが、Aランクではこれに加えて間取りの可変性を盛り込んだ。
 住宅の耐久性を50年以上と想定した場合、所有者が変わることはほぼ間違いない。その時、内装のリフレッシュと多少の間取り変更だけで再び使える住宅であるための条件は、間取りをある程度変更できる構造的な配慮ということになろう。
 もちろんこれは絶対に必要な性能ということではないが、将来への布石としてユーザーへの説得力はある。また、将来の資産価値も高まる。
提案書について

『住まいの快適ランク』は一般的な仕様を想定して制作したが、各社がそれぞれの仕様を盛り込むこともできる。
詳しくは編集部まで電話かFAXで(011-736-9811、fax011-717-1770)。
 なお掲載した提案書は変更を加えない限り、そのままコピーして使うことも可能(著作権は本紙に帰属します)。
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