新しい節目の年 |
新住協総会・研修会 Q1と周辺技術の開発 |
NPO新住協の平成20年通常総会と全国研修会が5月23日に岩手県八幡平市のホテル安比グランドで開かれ、全国から会員など200名を超す参加者が集まり、研修と情報交換で賑わった。
総会では、今年度事業としてQ1(キューワン)プロジェクトの推進、基本技術の普及のため大工学校の本州での開催、断熱・耐震改修の推進、関東関西地域への夏対応―などとなっており、熱損失係数・暖房エネルギー消費計算ソフト「QPEX」の改良バージョンも公開された。
講演する鎌田代表理事 |
代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏は「Q1を提案して3年がたった。今年になって突然補助金が出るとか、灯油がリッター100円を超え電気代も上がるなど、ある意味で追い風が吹いている。しかし一方では住宅が建たなくなり、仕事が少なくなりつつある。総会は今年で通算21回目。20回を区切りととらえ、1回目の新たなスタートとしたい」とあいさつ。その後基調講演を行った。
講演では最新の研究として 1.木造住宅の熱容量アップ 2.新しい断熱工法―などが紹介された。
①の熱容量アップは、断熱性能が上がるにつれて2月ころの日差しでも簡単にオーバーヒートしてしまう問題を解決し、逆にオーバーヒート熱を蓄えることでエネルギー消費を減らすことを目指す。試算によれば、Q1レベルで札幌の場合、蓄熱容量アップで450リットルの暖房エネルギー負荷を300リットルへ3割も減らすことができる。
住宅内で蓄熱材として効くのはコンクリート。蓄熱容量が最も大きい工法は基礎断熱工法だが、実際には土間床のほうが暖房エネルギー負荷を減らすことができる。これは基礎の熱容量を生かしきれないからだ。
展示ブースには岩手県産の木質建材なども展示され、大いににぎわった |
今後は有効な蓄熱ができる工法の研究が必要になる。例えば床断熱で熱損失を減らした上で床下地にモルタルなどの蓄熱層を設置する方法も考えられる。
2.の断熱工法については、外壁200ミリ断熱を行う場合の100ミリ付加断熱パネルの開発などが紹介された。柱の外側に構造用合板を屋外面に張ったパネルを取りつけ、施工の省力化を目指す。構造面材としての評価が得られれば、外付加断熱の構造体と施工方法を合理化することができる。
このほか会員からの発表や、研修会の翌日には住宅見学会と市民合同住宅セミナーも開かれた。 |