道内 依然として多いスガモリ
全国は窓まわりなど |
保証事故の傾向と来年 |
来年10月から10年瑕疵(かし)保証を保険などで裏付けることを義務づけた新しい制度がスタートする。ほとんどの住宅会社は保険に加入することになると見られるが、現状で任意加入の瑕疵保証保険はどのような事故に対して保険料を支払っているのか。
全国的には外壁の雨水浸入事故が多く、特に窓まわりや換気口まわり、バルコニーと外壁の取り合いが原因と見られる事故が多いとされる。
窓まわりについては、北海道との施工手順の違いが事故原因の1つとなっていると指摘する専門家もいる。
こういうことだ。北海道では通常、建て方が終わり、外壁下地の構造用合板などを張る。その後にすぐ透湿・防水シートを施工し、そののちサッシを取り付ける。このためサッシまわりの防水はツバと透湿・防水シートを上からテープ止めするかたちになる。
一方、本州以南ではサッシと透湿・防水シートの施工順が逆、つまりサッシを取り付けてから透湿・防水シートを張る手順が多いという。そうするとサッシまわりの防水は北海道のようにツバと透湿・防水シートを上からテープ止めすることができない。
各種仕様書でこの部分の防水が、両面テープを使ってツバの上から透湿・防水シートを密着させる納まりになっているのはこのためだ。
しかしこの施工がなかなか現場では難しい。
またバルコニー防水も問題が多いとされる。(株)クワザワがEPDMゴム製の防水カバーを開発・発売した(4月25日号7面で既報)のもこういった背景がある。
M型スノーダクト屋根に改質アスファルト系防水シートを使った札幌市内の現場。ただ、コストの問題もあり、普及していない |
減らないスガモリ事故
一方、北海道では屋根の防水が依然として問題となっている。北海道建築指導センターによると、細かく分析はしていないものの、事故件数としては屋根と外壁の雨水浸入が多く、次に構造関係という順。件数では屋根、金額ベースでは修理の際の施工面積の関係で外壁となる。
屋根が多い理由は、M型またはフラットの無落雪屋根で起きるスガモリ。スガモリが雨水浸入かどうかは難しいところがあるが、住宅性能保証制度(住宅保証機構)ではスガモリも保証事故の対象としている。
スガモリの原因は1つではないが、全体の傾向として施工ミスを防水シールでごまかす、原因を突き止められないまま改修し、事故が再発する―ケースが見られるという。釘での打ち抜きをシールでごまかし、事故につながった初歩的ミスも見られる。
また外壁では、最近の住宅は軒がほとんどないため雨に弱く、換気口の開口部からの雨水浸入がひどくなるケースもあるようだ。
新制度で基準見直しも
来年10月の新制度開始へ向け、瑕疵保証保険を取り扱う保険法人の指定がすでに始まっている。保険料を低く抑えるためには事故の発生を減らす必要があり、そのための図面や施工検査の態勢も決まる。 |