平成20年2月15日号から
秋野弁護士が解説
ジャパンホームシールド 200年住宅と瑕疵担保保険

講演中の秋野卓生弁護士
 ジャパンホームシールド(株)(本社東京都)は、『「特定住宅瑕疵担保責任履行確保法」の成立と住宅業界の今後について』と題したセミナーを1月24日に札幌コンベンションセンターで開催した。当日の道内は発達した大型低気圧が通過中で、飛行機やJRの運休が相次ぐ大荒れの天気だったが約100名が参加、関心の高さを物語っていた。
 セミナーでは、まず弁護士法人匠総合法律事務所の秋野卓生弁護士が「最新の住宅関連法律とコンプライアンスについて」と題し講演した。
 話題の200年住宅法案については、「6月には法案が成立すると思われる。これは、200年持つ住宅を造りましょうということではなく、20年ごとに住宅を点検してリフォームなどを行い、適切な維持管理を行うことで住宅の寿命を延ばそうという考えだ。詳しい中身は現在詰めている最中のようだが、3月末には国土交通省から認定基準が発表されると予想している。基準を満たした住宅に対しては、固定資産税、不動産取得税などが減免される見込み。施主さんにとってメリットがある」と述べた。
 平成21年10月1日から施行される「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」については、「瑕疵担保責任保険に加入する場合、保険料は指定保険法人ごとに設定されるが、住宅保証機構が行っている住宅性能保証制度の価格が1つの目安になる。住宅価額1600万円の戸建住宅で約8万円程度。現時点では検討段階だが、無事故年数に応じた保険料の割引制度のほか、瑕疵を多数生じさせて保険金請求を繰り返す住宅会社に対し保険料が上がっていく制度も導入する見通しだ」と述べた。
 また、会場からの「保険引受時の検査基準は、保険法人にかかわらず統一した基準があるのか」という質問に対しては、「検査基準は各法人が独自に設定する」と回答、また住宅会社が「複数の保険法人と取引しても良い」と回答した。


真剣に耳を傾ける参加者
全力で初期対応
 コンプライアンス(法令遵守)については、「顧客からのクレーム対応も、コンプライアンス体制を構築するチャンスと考え、社内体制を見直す必要がある。クレーム対応は嫌かもしれないが、初期対応に全力を傾け、顧客に安心感を与える対応がすべてと言って良い」と初期対応の重要性を強調した。「顧客からのクレームで『今日の午後6時に来てください』と言われて、『とりあえず様子を見よう』と何の準備もなく行くのではなく、1度行ったらすべて解決するつもりで適切な準備をしなければならない」と述べた。たとえば、金物のボルトのナットが緩んでいると電話を受けたときは、構造上問題ない場合はその理由を専門知識のない顧客にもわかりやすく説明し、場合によっては学会論文のコピーまで用意して納得してもらう必要がある。
 また近年増えてきていると言われるクレーマーについては、「悪質クレーマーとは、過剰なクレームを発する顧客の中でも不公正に金品を要求したり、過剰なサービス工事を要求する人たちだ。これらはコンプライアンスの敵であるが、『しっかり調査して直すべき所は補修する』という原則論で立ち向かうことが大事。金品を要求されても個別対応をせず原則論で応戦し、なぜその部分を補修すれば十分なのかをしっかり説明し、『あなただけに不公正な対応はできない』とはっきり示す必要がある。
 住宅の場合は、瑕疵がなければ慰謝料は原則として発生しない」と悪質クレーマー対策を伝授した。
 秋野弁護士の講演後は、ジャパンホームシールドの地震補償プラン、提携住宅ローンとフラット35の紹介が行われた。
 問い合わせは、同社札幌支店(Tel.011・241・4600)へ。

高性能住宅Q&A 掃き出し窓の冷気抑制
床下放熱器を上に
土間設置は暖気が上がらない

床下放熱器とガラリがセットになった商品もある。図はサンポットのカタログから。床のラフ開口が幅780×110ミリとなる
 Q…リビングなどに掃き出しの窓をつけて、ダウンドラフト(冷気流)を抑えるために基礎断熱した床下に放熱器を設置しているのですが、建て主から「寒い」と言われ確認にいくと、確かに床下からの放熱が弱い気がします。どうしたらいいでしょうか。(札幌市 工務店社長)
 A…このご質問も最近よくいただくようになりました。窓の断熱性能が上がったとは言え、札幌程度、つまりマイナス10℃前後の寒さでも、ダウンドラフトは防げません。また日が落ちると床面が冷たくなります。旭川や十勝などの極寒冷地になると、放熱器がないと窓辺は歩けないと言います。
 しかし、時代のニードは大開口部です。掃き出しで寒さをどう抑えるかは重要な技術テーマです。
 いろいろと取材してみたのですが、標準的工法はまだないですし、寒さの度合い・窓の断熱性能によっても対応は違ってきます。
 まず、窓についてはできるだけ断熱性能が高いことが望まれます。これは言うまでもありません。
 次に放熱器の位置ですが、基礎断熱をする・しないにかかわらず、放熱器は床下に埋め込み、ガラリを設けます。このとき、放熱器の上端がガラリ下端のすぐ下に来るようにします。
 基礎断熱の場合、土間コンの上に放熱器を設置すると、熱が上がらずに床下空間に逃げてしまいます。床面近くに設置することが大切です。

南面に大きな開口部を取るときは、すべてに床下放熱を設置すべきだ
 床断熱の場合は断熱ボックスで放熱器を取り囲むかたちになりますが、基礎断熱の場合はどうでしょうか。合板などで放熱器を囲ってしまう施工法と、全く囲わずに床下空間に露出させる方法があります。囲ったほうが熱は確実に床上に上がりますが、囲わずにだいじょうぶと語る工務店もあります。
 ガラリについて。ガラリの大きさはとても大切だと言われています。一般的な設計では、リビングなどの南面に掃き出し窓と床ガラリがつき、直射日光が入らない玄関まわり、階段下、ユーティリティなどに南面と同じ面積の床開口が必要です。空気の流れは、玄関まわりなどから床下に空気が流れ込み、南面開口から温風が吹き出す循環となります。暖かいほうから吹き出すわけですが、このとき玄関まわりなどにじゅうぶんな床の開口面積がないと空気が流れにくい(循環しにくい)のです。
 温水温度について。床下の放熱器はやや温度が高いほうがいいとも言われています。サーモバルブつきを使うならバルブ制御ができますが、そうでない場合は温水温度を上げるため、床上パネルヒーター用回路とは別に温水暖房回路を用意したほうがいいようです。

木造3階用の金物
タナカ 柱の横架材めり込み防止

105ミリ用、120ミリ用と2種類ある土台プレートⅡ
 (株)タナカは、3階建てなど大きな荷重のかかる柱と横架材の間に挟み込み、柱の横架材へのめり込みを防止する「土台プレートⅡ」をこのほど発売した。
 昨年の建築基準法改正施行後、前モデルの「土台プレート」に対する問い合わせが増えたが、プレートのはね出し部が大きいためホールダウン金物を施工するときに干渉してしまうのが難点だった。「土台プレートⅡ」ははね出し部を柱の片側のみにした。

土台プレートⅡの施工例。片側はプレートのはね出しがないので金物施工が楽にできる
 柱寸法が105ミリ用、120ミリ用の2種類あり、どちらも長ほぞ、短ほぞ両方の仕口に対応する。寸法は105ミリ用が155×105×12ミリ。なお、土台プレートⅡを使用した場合の許容めりこみ耐力と曲げ応力は別途計算書を用意している。価格は、105ミリ用が3000円(税別)、120ミリ用が3300円(同)。
 なお、同社では住宅関連金物カタログVOL.15を完成させた。「土台プレートⅡ」のほか、「2倍筋かい金物リベロⅡ」や、「スモールコーナー」など5タイプの金物が新たに掲載された。今月下旬から順次配布する。
 問い合わせは、同社札幌営業所(札幌市北区新琴似9条1丁目1-36、Tel.011・700・0100)へ。

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