秋野弁護士が解説 |
ジャパンホームシールド 200年住宅と瑕疵担保保険 |
講演中の秋野卓生弁護士 |
ジャパンホームシールド(株)(本社東京都)は、『「特定住宅瑕疵担保責任履行確保法」の成立と住宅業界の今後について』と題したセミナーを1月24日に札幌コンベンションセンターで開催した。当日の道内は発達した大型低気圧が通過中で、飛行機やJRの運休が相次ぐ大荒れの天気だったが約100名が参加、関心の高さを物語っていた。
セミナーでは、まず弁護士法人匠総合法律事務所の秋野卓生弁護士が「最新の住宅関連法律とコンプライアンスについて」と題し講演した。
話題の200年住宅法案については、「6月には法案が成立すると思われる。これは、200年持つ住宅を造りましょうということではなく、20年ごとに住宅を点検してリフォームなどを行い、適切な維持管理を行うことで住宅の寿命を延ばそうという考えだ。詳しい中身は現在詰めている最中のようだが、3月末には国土交通省から認定基準が発表されると予想している。基準を満たした住宅に対しては、固定資産税、不動産取得税などが減免される見込み。施主さんにとってメリットがある」と述べた。
平成21年10月1日から施行される「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」については、「瑕疵担保責任保険に加入する場合、保険料は指定保険法人ごとに設定されるが、住宅保証機構が行っている住宅性能保証制度の価格が1つの目安になる。住宅価額1600万円の戸建住宅で約8万円程度。現時点では検討段階だが、無事故年数に応じた保険料の割引制度のほか、瑕疵を多数生じさせて保険金請求を繰り返す住宅会社に対し保険料が上がっていく制度も導入する見通しだ」と述べた。
また、会場からの「保険引受時の検査基準は、保険法人にかかわらず統一した基準があるのか」という質問に対しては、「検査基準は各法人が独自に設定する」と回答、また住宅会社が「複数の保険法人と取引しても良い」と回答した。
真剣に耳を傾ける参加者 |
全力で初期対応
コンプライアンス(法令遵守)については、「顧客からのクレーム対応も、コンプライアンス体制を構築するチャンスと考え、社内体制を見直す必要がある。クレーム対応は嫌かもしれないが、初期対応に全力を傾け、顧客に安心感を与える対応がすべてと言って良い」と初期対応の重要性を強調した。「顧客からのクレームで『今日の午後6時に来てください』と言われて、『とりあえず様子を見よう』と何の準備もなく行くのではなく、1度行ったらすべて解決するつもりで適切な準備をしなければならない」と述べた。たとえば、金物のボルトのナットが緩んでいると電話を受けたときは、構造上問題ない場合はその理由を専門知識のない顧客にもわかりやすく説明し、場合によっては学会論文のコピーまで用意して納得してもらう必要がある。
また近年増えてきていると言われるクレーマーについては、「悪質クレーマーとは、過剰なクレームを発する顧客の中でも不公正に金品を要求したり、過剰なサービス工事を要求する人たちだ。これらはコンプライアンスの敵であるが、『しっかり調査して直すべき所は補修する』という原則論で立ち向かうことが大事。金品を要求されても個別対応をせず原則論で応戦し、なぜその部分を補修すれば十分なのかをしっかり説明し、『あなただけに不公正な対応はできない』とはっきり示す必要がある。
住宅の場合は、瑕疵がなければ慰謝料は原則として発生しない」と悪質クレーマー対策を伝授した。
秋野弁護士の講演後は、ジャパンホームシールドの地震補償プラン、提携住宅ローンとフラット35の紹介が行われた。
問い合わせは、同社札幌支店(Tel.011・241・4600)へ。 |