平成19年9月15日号から
高性能住宅Q&A クロスが臭いと言われた
パッチ試験で確認
特にリフォームは管理に注意

必ず施主立ち会いのもと、現場確認する。過敏な方の場合は事前のパッチテストもおこなう
 Q…お客さまが住みながらのリフォーム工事をしています。ちょうどクロスを貼る段階となり、一部屋貼ったのですが、お客さまから「臭い」と言われました。少々過敏な方なので、工事を止めて対策を考えています。どうしたらいいでしょうか。
 A…リフォームに限らず、新築でも同じ問題が発生する可能性があります。ただ、新築の場合はすべての部屋を貼り終えてから、または引き渡しの段階までこないとお客さまの反応がわからないのに対し、住みながらのリフォームだとすぐに問題が発生するという違いがあります。
 また、新築よりもリフォームのほうが化学物質などによる問題が発生しやすくなります。それは解体に伴うゴミ、養生材・こん包材などに使われる化学物質のにおい、時間を空けずに大量に現場の空気を吸い込んでしまう危険性があるからです。
 お客さまはクロスを貼って「臭い」とおっしゃったようですから、原因はクロスとノリにあると想像されますが、原因は複合的かもしれないという意識を持っていただきたいと思います。
 というのも、直接の引き金はクロス工事でも、それまでの工事がジワジワと体調不良を引き起こす原因となっているかもしれないからです。
 ご相談内容からはそのへんのことがわかりませんが、まずは現場管理を見直してください。大工さん、協力業者に対策を指示します。こん包を開くのはできれば屋外で行い、室内搬入前にできるだけ外気にさらすこと、包装材は速やかに室内から撤去すること、おがくずが飛ぶシナランバー類の加工は室内に飛ばないように細心の注意を払うこと、同じくサンダー掛けも十分に注意すること。できればシナランバーは加工済のものを持ち込むか使わない。サンダー掛けもやめたほうがいいでしょう。
 またお客さまにも注意を促してください。工事中はにおいやホコリが入らないようにできるだけ扉を閉める。工事終了後の夜は窓あけなどで換気を行うことなどです。また有機溶剤系の塗装を行うときは、工事終了後も3時間は家を空けてもらったほうがいいでしょう。
 それではクロスとノリについてみていきたいと思います。いずれもここに挙げる製品以外にたくさんあると思います。あくまでも一例として見てください。
 サンゲツのオレフィンウォール1000と矢沢化学のスーパーグルー96αの組み合わせは、複合過敏症の方の新築に使用して障害が発生しなかった組み合わせです。ただし人によって何に反応するかは違いますので、絶対だいじょうぶとは言えません。まずは製品のサンプルを触ってもらうパッチテストを行ってください。またこのケースでは取り合い部のシーリング処理を中止しました。シーリング材に対してお客さまが反応したからです。
 このほかキッチンや洗面化粧台のキャビネット、細かいおがくずなども要注意です。

シックハウス対策仕上げの一例
部位 メーカー・
ブランド名
品番など 備考 ホームページ

クロス サンゲツ オレフィンウォール1000 非塩ビ樹脂 http://www.sangetsu.co.jp/catalog/wall/
クロス 旭興 ノイエローヴ・
織物シリーズなど
自然派壁紙 http://www.seko.co.jp/
クロスのり ヤヨイ化学工業 ルーアマイルド 化学物質発生ゼロ http://www.yayoikagaku.co.jp/
クロスのり 矢沢化学 スーパーグルー96α 溶剤・ホルムアルデヒドゼロ http://www.nori-yazawa.co.jp/
物入れ・食品庫・クローゼットなど内部 吉野石膏 ハイクリンボード ホルムアルデヒド吸収分解。棚板はムク材 http://www.yoshino-gypsum.com/product/sickhouse/sickhouse02.html
洗面化粧台 タカラスタンダード スーリア ホーロー http://www.takara-standard.co.jp/
システムキッチン ナスラック セスパ ステンキャビ http://www.nasluck.co.jp/

複合過敏症の方の新築で採用した住設建材

夏の新製品を総括
高付加価値の設備
建材などエコや省エネ重視
 今年夏の新製品は、住設機器では高付加価値を競う商品が目立っている。また、エコや省エネにつながる製品が多いのも特徴だ。次々世代省エネ基準をにらんで、この分野の製品は活発になりそうだ。


ハウジング山地のキッチン「アモール」

2階にも設置しやすいTOTOの「ネオレストハイブリッド」
 住宅設備 
時代にあった製品
 住設機器は、定番商品の付加価値アップや、時代に合った商品の提案が目立った。
 キッチン関係の新製品が相次いでいる。クリナップは、主力製品の「クリンレディ」と「S.S.」をリニューアル。レンジフード自動清掃、フルフラットIHヒーターなど使い勝手やメンテ性に配慮した。サンウェーブ工業は、急速に増えるオール電化住宅専用キッチンとして「スタイルキッチン」を発売。高捕集ファンをIH調理器の後方に設置してレンジフードをなくし、開放的なデザインとした。ハウジング山地は、シンプルモダンに合うデザインの「アモール」を発売、「チヌーク」に代わって主力商品にする予定だ。
 トイレではTOTOがタンクレス型のネオレストにハイブリッドタイプを追加、2階など水圧が低めの条件でもタンクレストイレが無理なく設置できる。


コードレスで後付工事も簡単な日本ベルックスの「ソーラーバッテリーブラインド」
 その他建材 
自然エネ利用目立つ
 このほかの建材や設備機器では、「エコ」と「省エネ」がキーワードだ。
 緑川木材の道産材3層パネルは、輸送距離が短いためCO2排出量が少ない『エコ』な道産材を使用している。家具や内装材などに使用する。
 日本ベルックスの「ソーラーバッテリーブラインド」は、天窓のブラインドを太陽電池で充電した蓄電池で動かす『エコ』と『省エネ』を狙った商品。今年はラインナップを拡充、同社の既存天窓にも取付可能だ。
 このほか、ソーラーネクストの「ソーラーパンチ」は、壁面に取り付け、太陽熱をコレクター(集熱器)で集めて温風を作り、室内に温風暖房として供給する『エコ』暖房。

松下電工の「ライフィニティECO対応システム」は省エネ意識の啓蒙に役立つ
 まもなく発売される、松下電工の「ライフィニティECO対応システム」は、部屋別、設備別の電力消費量を計測・表示が可能な設備ネットワークシステム。住む人の意識を『エコ』化するツールとして注目される。
 セーレンの「ラミテクトサーモ」は、透湿防水シートの室外側をアルミ素材でコーティングした製品。特に夏場の遮熱効果で本州以南の冷房消費電力の低減など『省エネ』効果が期待されている。
 換気システムでは、日本住環境の「ピアラ24」、「ルフロ400」が風量調節コントローラーを無段階ボリューム式に改良した。住宅の広さに最適な換気量を設定できる。そのため、従来品よりも最高で消費電力を約半分に減らせるという。日本スティーベルは熱交換換気システム「LWZシリーズ」をフルモデルチェンジ。六角形熱交換素子により熱交換効率90%を誇る性能はそのままに、住宅の規模や用途に応じて3タイプ4機種に増え、メンテナンス性などが改善された。

コーナー札幌の電力測定器
 このほか、コーナー札幌の「電力測定器」は、6台までの電気機器の消費電力を詳細に測定することができる。ACコンバーターの待機電力も測定できる『省エネ』支援ツールと言えよう。

性能向上と防犯性
ガデリウス スウェドアモデルチェンジ

チーク・モーツァルト
 ガデリウス(株)はこのほど、同社の販売する木質系玄関ドア「スウェドア」の新デザイン導入と機能、性能を高めた日本初のフルモデルチェンジを実施した。
 主な変更点は機能、性能面では1.敷居の傾斜が緩やかな新構造でバリアフリー対応 2.敷居角に水を吸わない樹脂を採用することで水の吸収による枠の形状変化を防止 3.気密、遮音性を高めるために扉側にゴムパッキンを採用 4.上下左右に調整可能な2点の蝶番を設け、強度アップと取り付け、引き渡し後の微調整をしやすい改良など実施。
 デザイン面では重厚感のある「チーク」、シンプルでモダンスタイルの「ホワイト」、家を明るく引き立てる「パイン」、木目の美しいクラシックスタイルの「オクメ」にそれぞれデザインの異なる6種類のバリエーションを設定、そのほかカスタマイズにも対応する。防犯性能については錠前だけでなく、ドア全体がCP認定(警察庁・国土交通省・経済産業省と建物部品の民間会社が定めた「防犯性能確認試験」に合格した製品に与えられる)となった。
 具体的には1.ドア2カ所にキーを設置し、ピッキングなどによる侵入を防ぐダブルロック 2.防犯合わせ複層ガラス 3.主錠はロックガードとの一体成形で、外からかんぬきが見えず、バールなどによるこじ開け・こじ破りにも強い構造 4.補助錠は鎌式かんぬき 5.ピッキングに強い上下同一ディンプルシリンダーキーを採用するなどの対策を行っている。
 価格・バリエーションなど詳細は同社へ(札幌営業所Tel.011・743・7710)。
ホームページ:http://www.livingscandinavia.com/product/

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