「真の健康住宅を造ることが目標」と語る福井理事長 |
「全国のユーザーに室内のVOC濃度測定を通じて健康性を実証した住宅を提供したい」と、北海道・オホーツク地域のビルダーなどで構成するオホーツク環境住宅研究会(O.E.H)と、全国のビルダー・建材輸入販売業者などが組織するNPO輸入建材協議会(IBMA)が中心となり、「NPO法人日本VOC測定協会」(福井政義理事長、フクイ産業(株)社長)を設立。VOC測定士の育成・認定などの本格的な活動を開始した。
北海道発の全国構想
現在では広告宣伝で健康住宅をうたう住宅会社を目にする機会も多いが、中には健康住宅の根拠としてF☆☆☆☆の建材の使用や24時間換気システムの設置などを挙げているに過ぎず、健康住宅であるという根拠に乏しいものもある。
また、ホルムアルデヒドを発散する建材の規制や機械換気を義務付けた平成15年の建築基準法改正後も、シックハウス症候群や化学物質過敏症はなくならず、逆にユーザーがシックハウスになったとして訴訟を起こすケースも出るなど、住宅会社としては自社物件の健康性・安全性をいかに確認・担保するかが重要になりつつある。
そのような中、日本VOC測定協会は、シックハウス症候群などVOCを原因とする健康障害への対応として室内空気質測定・分析の重要性を説いてきた北見工業大学・坂本弘志名誉教授の提唱を受け、室内のVOCに関する調査研究を北見工大の協力により行ってきたO.E.HとIBMAが中心となって設立。
室内のVOC測定を通じて各種建材やVOCに関する情報を広く提供するとともに、VOC測定士の育成・認定とVOC測定・分析体制の構築により、信頼性のある測定データに裏付けられた健康住宅を全国のユーザーに提供することを目的としている。
ホルム等8物質対象
事業の大きな柱となるVOC測定・分析は、住宅会社やユーザーの依頼により、同協会の講習を受け、試験に合格したVOC測定士が厚生労働省の示す測定方法に則って実施する。測定物質はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、テトラデカンの8種類。
測定・分析結果の信頼性を担保するため、登録されたVOC測定士が自社または関連会社の物件を測定したデータは、同協会で認定しない。また、分析は公的機関である北見工大が行い、アルデヒド類は高速液体クロマトグラフ法、その他のVOCはガスクロマトグラフ法で分析。同大学・坂本名誉教授が分析・管理者となり、同協会が報告書を発行する仕組みとしている。
同協会に測定を依頼する場合は、VOC測定士が所属する登録事業所または同協会事務局に申し込む。測定料については8~10万円で検討しているという。
網走で行われた講習会の様子。室内空気のサンプリングも実際に使用する機器を用いて解説を行った |
全国に98名の測定士が誕生
事業のもう一つの柱であるVOC測定士の育成・認定については、年1回の講習・試験を予定。すでに今年1月から3月にかけて第1回目となる講習・試験を網走、東京、群馬、岐阜、広島の5地域で開催し、全国に98名(道内22名)のVOC測定士が誕生した。将来的には1万名の測定士の登録を目標としている。
このほか建材やVOCに関する情報を提供する講演会・セミナーなども開催する意向だ。
同協会の福井理事長は「VOC測定が広く普及することによって住宅会社がエンドユーザーのために、本当に健康にいい住宅を造っていけるようになればいいと考えている。信頼性のある測定結果を得ることによってエンドユーザーに安心感を与えることができるし、万が一、シックハウスに関してトラブルになった時も、住宅に原因があるのか、他に原因があるのかをはっきりさせることができるので、問題解決に大きな役割を果たすはず」と話している。
同協会に関する問い合わせは事務局(Tel.0152・43・1588〈(株)ほつけん内〉、担当/菊池)へ。 |