集客は営業の第一歩(写真はいずれも本文とは関係ありません) |
昨年の住宅着工は、全国で129万戸台と9年ぶりの高水準で道内も持家は4%増と好調だった。一方、今年の道内の戸建景気は、前号1面記事のように地域や人によってバラバラな答えが返ってくるなどまだら模様で先が読みづらい。地方都市では、ローコストビルダーの台頭と大手ハウスメーカーを中心とする高級注文住宅市場に挟まれる形で、これまで地場工務店が得意としてきた坪50万円台の注文住宅市場が細っているという見方も出ている。
こうした状況を打破するために、重要なのが営業力強化。ただ、昔とは違いイベントを打って待っているだけでは成果は得られない。今号から毎月1回程度、住宅会社の営業についてさまざまな例を紹介していきたい。
第一関門は集客
営業の第一関門は集客だ。建てた人の紹介客だけでやっていけるならばそれが一番だが、最近は生身の人間関係が希薄になり、その代わりインターネットで気軽に情報収集できる時代。都市部を中心に紹介客営業が成り立ちにくくなっている。だから、現場見学会などを通じて集客し、見込み客へとつなげることが大事となる。
この集客も悩みは多い。「広告を出しても以前のようには集まらず、土日2日間で十数組来ればいい方だ」という工務店。「イベントで人を集めても、それだけが目当ての人が多くて受注につながらない」と自嘲気味に話す人もいる。
イベントを通じて実のある集客を行うための知恵はさまざまだ。ある工務店では、協力業者から倉庫に眠っている住設建材や端材など売り物にならないものを出しあってもらい、チャリティバザーを開催する。売上は福祉関係に寄付し、地域に貢献している姿勢をアピール。また、こうしたチャリティーで購入した商品を据え付けるのに、大工が購入者の家まで出張指導するサービスもある。
「自社の建てた住宅をたくさん知って欲しい」と現場公開している4ヵ所の住宅をスタンプラリー形式で回ってもらい、全部スタンプを集めると注文住宅の価格から40万円値引く工務店もある。
OB客向けのイベントを集客に利用する工務店もある。見込み客などを招待して工務店とOB客の和気あいあいとした姿を見てもらう。楽しいアトラクションなどを催し、とにかく来場者に楽しんでもらう。そうすることで工務店と客が本音で語りやすい雰囲気が自然と生まれる。
広告の表現に工夫
イベントを運営しなくても、工夫次第で集客はうまくいく。来場者が少数でもその工務店に興味と関心を持ってくれる人が多ければ良い、という考え方だ。そのためには広告の内容が大事となる。
最近広告に力を入れているある工務店は、自社の魅力を分析し方向性をしっかり定めている。自社で採用している構造体の内容をわかりやすく表現し、技術系のこだわりを消費者にソフトに訴えている。また敷居を下げるために低価格の企画型住宅もPRしている。
その会社では、魅力はデザインなのか、お客の要望に応じてどんな家でも建てられる柔軟性なのか、自然素材たっぷりの健康住宅なのか、などじっくり検討して今の形に落ち着いたそうだ。
家を建てたいと考えている人は、モデルハウスはもちろん、雑誌・新聞の広告、折り込みチラシ、顧客のブログや住宅会社のホームページなど、いろんな情報チャンネルを通じて徐々に絞っていく。一度いいイメージを持ったり信頼するようになれば話はスムーズ。後々のトラブルも少ないという。
別の工務店では社長の人間性と技術力両方を売り込みたい、と社長のニコニコした顔写真と技術のうんちくの詰まった長い文章を広告に載せて成功している。写真はわざと文章の中に割り込んで入っているので一見読みづらいレイアウトだが、個性的な広告で目立っている。
フランチャイズを展開する住宅会社の中には、チラシの作り方を『塾』として加盟店に教えるところもある。何気ない文章やイラストにそれぞれ意味があるということを教え、効果的なチラシを短期間で作れるように指導していくのだ。
このように、伝えたいことによって広告・チラシの表現方法はいろいろ考えられる。既存概念に囚われず、広告制作会社に任せっぱなしにせず自分でじっくり考える必要がある。 |