道産材も値上がり気味で、木材は全面高の様相(いずれも本文と写真とは関係ありません) |
昨年から木材や建材などの値上げが相次いでおり、最終的には住宅価格に反映させるしかないという状況になってきた。木材、設備、建材とそれぞれ値上がりの現状と今後についてこれまでの取材をもとにまとめ、あわせてビルダーへの影響を分析した。
木材 国産材にも飛び火
南洋材を使った合板の高騰でコンパネやカラーフロアの価格が急上昇したのが昨年後半の状況だが、最近は他の輸入材や国産材にも値上げが飛び火した。
ラワン合板、コンパネやカラーフロアの値動きは落ち着きを取り戻しているが、高止まり。フロア材は1500円前後上がり、5000円台/坪の商品が同7000円に上昇した地域もある。
一方、値上がりが続いているのが構造用集成材やKD材、針葉樹合板。
ヨーロッパは景気が好調な上、一昨年6月の1ユーロ=約130円を境としてほぼ一貫してユーロ高が進み、今年2月下旬には1ユーロ=160円近くまで上昇した。現在も155円程度と依然高い水準で、輸入価格は上昇基調。
このため、ホワイトウッドや欧州赤松などが1万円/近く上がって、集成柱で8万5000円/程度となっているが、相場と輸入価格の上げ幅が逆ざやになっていることから、春先にもう一段の値上げがあり9万円台を突破するという観測もある。
この影響で国産材の引き合いも増えて値上がり気味。道産材の構造用集成材は、昨年11月に1万円/値上がりし、さらに今年春からは5000円/値上がりして8万円台になる。
ロシア産のカラマツ丸太は昨年あたりから値上がり気味だが、さらに今年夏にもロシア側の輸出税が3倍に上がるためさらなる価格上昇が見込まれている。この影響で道産カラマツも値上がり気味で、カラマツ集成材は7万5000円/前後だったのが9万円を超えている。
これまで価格的にCSPより若干安いと言われていたカラマツ合板もCSPと同等かそれ以上になっている。
針葉樹合板はコンパネの高騰を受けて代替品として需要が伸びるなど、値上がりが激しい。12ミリ厚の3×6板で昨年春に800円台だったのが今年始めに
1200円、今は1400円近くになっているという。根太レスパネルの24ミリ実付き3×6板は2000円前後から2800円程度へ高騰。
こうした合板市況をにらみ、札幌市内で開かれた展即で表面にパラフィン処理をしたパーティクルボードを出展した製材会社もあった。野地合板の代替品として12ミリ厚の3×6板を1000円以下で販売するという。
建材 値上げはほぼ一巡
昨年秋から今年春にかけてカタログ価格の改定=値上げが相次いでいる。最近の動きでは、トステムが内装建材全般を 4月から、YKKAPも4月から木質インテリア建材を値上げする。値上げ幅はそれぞれ5%前後で、木質系フロアに関しては坪当たり3000~5000円程度の大幅な値上げとなる。金属サイディングも10%程度の値上げを発表したメーカーがある。
さらに市況商品に目を移しても、石こうボード国内最大手の吉野石膏が4月21日から石こうボードを平均15%程度値上げする。原料石膏の輸送費が原油価格高騰で上昇し、古紙の価格も約2倍になったことなどで製造原価が上がり値上げに踏み切った。同様にチヨダウーテも3月から既に価格を改定している。
設備関連も昨年は値上げラッシュだったが、今年は落ち着きを取り戻している |
断熱材もグラスウールが今年2月から、ブローイングの原綿が4月出荷分からそれぞれ10%程度値上げに踏み切った会社があり、今後はその影響が徐々に出てくると思われる。
建築金物は、今年になっても値上げ圧力は衰えていない。特にステンレス金物は原料が大幅な値上がりを続けており、メーカーは値上げのタイミングをうかがっている。ビス類は値上げの案内が始まった。屋根板金も原材料の値上げで板金工事業者からの値上げ打診が増えている。
設備
工事もの10%上げ
昨年は合板、鉄、ステンレス、アルミなど素材価格の度重なる上昇でキッチン、ユニットバス、トイレ関連はほぼ全社が値上げし、カタログ価格を改定した。中には掛率を上げてきたメーカーもあるなど大きな動きだったが、今年も松下電工がシステムキッチンを6月から平均
5%程度値上げする。全体で見るとかなり落ち着いてきたが、素材価格の動向次第では安心できない。
このほか暖房工事、給水・給湯工事、電気工事は10%前後の値上げが始まっている。
ビルダー 約5%の上げ圧力
建築資材全般の値上がりがビルダーに与える影響は極めて大きそうだ |
木材、設備、建材などで昨年から続く値上げを住宅価格に反映すると、5%以上の値上げが必要になるという声が強い。注文住宅の場合はその都度見積もるため見積価格と実行価格とのギャップはさほど大きくないが、それでも木材製品の急騰で赤字が出ているようだ。深刻なのは、企画住宅や建売住宅。あるハウスメーカーの企画住宅は、「現在の価格は4月いっぱいまで。それ以降の価格はまだ決められない」と急激な値上げにとまどいを見せている。一方、道内のある住宅会社では4月から標準仕様の住宅価格を5%程度値上げする。コスト維持の努力も限界に達したという判断だ。
こうした中、コストダウンへ知恵を絞っているビルダーも多い。たとえば外装下地を合板からOSBに戻す動きもある。構造用集成柱を無垢KD材に変えたいと考えているビルダーもいるようだ。情報のアンテナを張り巡らし、値上げ前に針葉樹合板の大量仕入れに成功したビルダーもいる。 |